水道橋博士が登壇!『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』トークイベント レポート

日本を代表する名俳優、三船敏郎の生涯とその映画人生を描いたドキュメンタリー映画『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』が5月12日より公開中。その公開を記念し、5月12日、代官山蔦屋書店にてスペシャルトークイベントが行われ、水道橋博士が登壇した。

水道橋博士が登壇すると「オフィス北野のラストサムライと自称しております」と会場を沸かせた。そして成城学園に勤務し「成城映画散歩:あの名画も、この傑作も、みな東宝映画誕生の地・成城で撮られた」などの著書であり、三船敏郎への造詣が深い高田雅彦も登場した。

水道橋は「この映画(『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』)は素晴らしい。これを見ずして邦画を語ることなかれ」と明言。さらに「邦画黄金時代を体験するには、名画座しかなかった。しかし、白黒のコントラストや音をきれいに補正して黒澤映画、そしてそれ以前の作品を見ることができグッときた」と過去の映像を美しい映像で見ることができる感動を述べると、続けて「三船敏郎と黒澤明の黄金タッグが、“なぜコンビ別れしたのか”という疑問があったが、最後まで敬意と愛情をもっていたことがこの映画でよくわかる」と本作の見応えを熱く語った。

Youtube動画企画にて成城周辺のロケ地案内人を務めた高田を水道橋が紹介し「先生は面白いことを言うんです」と振ると高田は「成城は日本のハリウッド!成城は日本のビバリーヒルズ!」と力強く主張し、会場から笑いが起こった。高田に成城のスタジオやロケ地を案内された水道橋も「成城は世田谷区が力を入れたら、太秦以上の映画村になると思う」と熱弁した。

水道橋は「三船は肉体性がすごく、この映画でスコセッシも言っているが三船はライオンに見える」と三船のバイタリティの強さを語ると、高田は「三船は野性的でスピードがある。『椿三十郎』は同じ脚本で撮られているが、黒澤版は1時間36分、森田版は2時間近い。これは三船の立ち回りの鋭さがあってこそのもの」と三船敏郎の立ち回りの素晴らしさを熱く語った。水道橋は「黒澤映画のリメイクは世界中でされているが、オリジナルと比べた際に、俳優としての三船の肉体性は凌駕できない」と語ると高田は「スピルバーグ監督も“『荒野の七人』を撮影する際、『七人の侍』の三船があまりにも素晴らしいのでやはり、リメイクは難しいのではと思った”と語っている」と三船の唯一無二の存在感を語った。

最後に三船の入門編的作品を聞かれると水道橋は『用心棒』と回答。「『用心棒』の全カット割りが載っている本があり、なぜこの映画が面白いのか解析されているため、より深く楽しむことができる」と観客に薦め、トークイベントは大盛況の中終了した。

『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』
5月12日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次公開中
監督・編集:スティーヴン・オカザキ
原案:松田美智子「サムライ 評伝 三船敏郎」(文藝春秋刊)
ナレーター:AKIRA
出演:香川京子 司葉子 土屋嘉男 加藤武 八千草薫 夏木陽介 二木てるみ 野上照代 宇仁貫三 中島春雄 中島貞夫 佐藤忠男 明石渉 三船史郎 黒澤久雄 スティーヴン・スピルバーグ マーティン・スコセッシ 役所広司
配給:HIGH BROW CINEMA

【作品概要】 スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシなど世界の巨匠に愛された唯一無二のサムライ俳優・三船敏郎。2016年にはハリウッド殿堂入りを果たすなど、今も世界中のファンの心を惹きつけ離さない“世界のミフネ”の波乱に満ちた生涯と映画人生に迫るドキュメンタリー映画。三船が出演した黒澤明監督『七人の侍』(1954年)、『蜘蛛巣城』(1957年)、『用心棒』(1961年)、『赤ひげ』(1965年)、そして稲垣浩監督『宮本武蔵』(1954~56年)などに焦点を当て、家族、日本の映画関係者や俳優、海外の著名人たちのインタビューと貴重な映像資料とともに、その生涯と世界に影響を与えた「サムライ映画」の進化を明らかにする。

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