“本当は恐ろしい”グリム童話を映画化!長編アニメ『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』8月公開

“本当は恐ろしい”グリム童話を新たに蘇らせた長編アニメーション『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』が、8月に公開されることが決定し、併せてポスタービジュアルがお披露目となった。

19世紀初頭にグリム兄弟によって書かれたドイツの民話集「グリム童話集」。実は、残酷な描写は削られており、近年では“本当は恐ろしい”童話として日本でも大人向けに注目を集めてきた。本作は、「グリム童話集」に初版から収録されている民話「手なしむすめ」を原作に、フランスのセバスチャン・ローデンバック監督が独自の解釈も加え、悪魔に騙された父のために両腕を失い一人で生きることになった少女の旅を描く。2016年のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞と最優秀フランス作品賞をダブル受賞し、2017年の東京アニメアワードフェスティバルでも長編アニメーションのグランプリを受賞した。

ローデンバック監督は、故・高畑勲監督の実験精神に敬意を表し、全ての作画をひとりで手がけるという作画技法「クリプトキノグラフィー」を用いた。まるで線そのものが命を持ち、呼吸するかのような美しい映像には思わず息を呑み、そして少女を待ち受ける思いがけない物語は、原作とは異なる監督ならではのラストへと展開していく。ポスタービジュアルは、ローデンバック監督の書き下ろしのものとなっている。

さらに、『この世界の片隅に』の片渕須直監督や『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のトム・ムーア監督ら、現代を代表するアニメーション監督たちより本作を絶賛するコメントが寄せられた。

絶賛コメント

■片渕須直(アニメーション監督)
水墨画のように省略が行き届いたアートスタイルにたじろぐな。童話という言葉に心の窓を曇らせるな。ここにあるのは映画だ。重厚で凄まじい一本の映画だ。

■トム・ムーア(アニメーション監督)
アヌシー映画祭で見た「手をなくした少女」に言葉を失った。その完璧さと美しさに、ため息。

■山村浩二(アニメーション作家)
おとぎ話に血を通わせ、現代を生きる我々に訴えかける、切断と接続の物語。駒の間での線の欠落と補填、削ぎ落とした要素で成立させた画面は、見ることへの興味を沸き立たせる。アニメーション描画における省略の可能性の追求という点でとても共感している。

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』
8月、ユーロスペースほか全国順次公開
監督:セバスチャン・ローデンバック
声の出演:アナイス・ドゥムースティエ ジェレミー・エルカイム
配給:ニューディアー

【ストーリー】 貧しい生活に疲れた父は悪魔に騙され、黄金の代わりに最愛の娘を差し出す契約を交わしてしまう。辛くも生き延びたものの、父に両腕を切り落とされた娘は、家を出て放浪する。不思議な精霊の力にも守られた娘は、幸運にも助けられ、やがて一国の王子から求愛を受けることになる。しかし、悪魔は、用意周到にふたりの仲を引き裂く。娘は生後間もない子どもを連れ、王宮を後にする。娘と悪魔の闘いの結末は?娘が息子と選んだ未来とは?

© Les Films Sauvages – 2016