文芸ロマンの名作『モーリス 4K』ジェームズ・アイヴォリー監督が1987年製作当時を振り返る!メイキング写真も公開

20世紀初頭のイギリスを舞台に青年2人の愛を描いた文芸ロマンの名作『モーリス』が4Kデジタルで修復され、『モーリス 4K』として4月28日よりリバイバル上映される。それに先立ち、本作の監督と脚色を務めたジェームズ・アイヴォリーが1987年製作当時を振り返り、撮影時のエピソードや作品について語った。併せて、本作のメイキング写真が公開された。

▲ジェームズ・アイヴォリー

メインキャストのヒュー・グラントやルパート・グレイヴスは、今やイギリスを代表する人気俳優となったが、本作の製作時はまだ無名の若手役者。アイヴォリー監督は、「ヒュー・グラントは、オックスフォード大学在学中に学生映画の『オックスフォード・ラブ』(劇場未公開)で俳優活動を始めていて、ジェームズ・ウィルビーとルパート・グレイヴスは舞台の経験があったが、3人ともまだ駆け出しの頃だった」と当時を振り返った。劇中のモーリスとクライヴのお互いへのぎこちない触れ合い方については、「演技でいきなりキスして絡み合うのは、ストレートの若い俳優2人にとって気まずいことだ。実生活で同じシチュエーションに置かれたら、ぎこちなくなるのは当然だし、そこが役に立った部分もある。ただ、イギリス人俳優の方が、アメリカ人俳優と比べて肉体的というか、性的な触れ合いに積極的だと感じる」と語った。

また、映像の美しさが称えらえる本作。しかし、それとは裏腹に、撮影班には事件が起こっていた。「撮影班に仲違いが起こり、よりにもよって、モーリスとクライヴが喧嘩をする重要なシーンを撮影する日にボイコットが起きたんだ。キャストの準備ができ、いざカメラを回そうとしたら、突然カメラクルーがいない。代わりのクルーを探し出すのに何時間もかかり、キャストを気落ちさせてしまわないか心配したが、彼らがテンションを上げてくれたおかげで、現場にいた全員が元気づけられた」と、驚きのエピソードを明かした。

さらに、アイヴォリー監督は、「『モーリス』は、『眺めのいい部屋』(同監督の前作品)のコインの裏側のようなもの。両作とも、偽りの人生、真実の人生、自分にとって大切な本当の感情とは何かを描いている」と作品についてコメントした。

『モーリス 4K』
4月28日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
監督:ジェームズ・アイヴォリー
原作:E・M・フォースター「モーリス」
脚色:ジェームズ・アイヴォリー キット・ヘスケス=ハーヴェイ
出演:ジェームズ・ウィルビー ヒュー・グラント ルパート・グレイヴス デンホルム・エリオット ベン・キングズレー
配給:KADOKAWA

©1987 Merchant Ivory Productions Ltd. A Merchant Ivory Film in association with Film Four International and Cinecom Pictures