映画『万引き家族』場面写真&是枝裕和監督が明かすキャスティング秘話

『三度目の殺人』が数々の賞で称えられた是枝裕和監督の長編14作目となる最新作『万引き家族』が、6月8日より全国公開となる。このほど、場面写真がお披露目となり、併せて、是枝監督が本作のキャスティングについて語った。

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本作は、「犯罪」で生計をたて、東京の下町でひっそりと暮らす家族の心揺さぶる衝撃の物語。息子と協力して万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、その妻・信代を安藤サクラ、彼女の妹・亜紀を松岡茉優、家族の“定収入”として年金を当てにされる祖母・初枝を樹木希林が演じる。さらに、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒形直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。そして、2人の子役がオーディションで抜擢され、治の息子・祥汰を城桧吏(じょうかいり)、治が連れて帰ったじゅりを佐々木みゆが演じる。

場面写真は、足りない生活費を万引きで稼ごうとスーパーに出向く治(リリー)と祥太(城)、冬のある日に近隣の団地の廊下で震えていたことから家に連れて帰ったじゅり(佐々木)を抱きしめる信代(安藤)、亜紀(松岡)と初枝(樹木)の姿、治と信代とじゅりが仲睦まじく川の字に寝そべる様子などが切り取られている。

4度目の起用となるリリーについて、『そして父になる』の電気店を営む父親役のイメージが大きかったという是枝監督は、「あんなリリーさんをもう一回撮ってみたいと思いました。人間の中にあるちょっとした悪い部分、駄目な部分を表現するのが、リリーさんはすごく上手なんですよね」と語る。母の信代に扮した安藤の起用については、「想像をはるかに超えて素晴らしかったので、どんな理由で彼女にオファーしたのか、もはや思い出せないんです。彼女でなければどうなっていたんだろうと思うくらい、本当に素晴らしかった」と大絶賛。また、安藤と同じく是枝作品に初参加となった亜紀役の松岡は、出演作を観ていた是枝監督が、当初想定していたキャラクターの設定も含め、松岡に合わせて脚本を書き直していったという。6作目の是枝作品となる樹木が演じた祖母・初枝も同様で、「初めから樹木さんを想定して脚本を書いているので、樹木さん以外にはできない役柄」と断言。オーディションによって選ばれた、祥太役の城、じゅり役の佐々木は、撮影現場では是枝監督の演出方法として知られる、台本を渡さず口立てで演出するという手法が行われたが、いつも通りとはいかなかったようで「どんなやり方がフィットするのか、演出の仕方はひとりひとり異なります。だから子どもへの演出はメソッドとして確立できないんですよね」と明かしている。

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『万引き家族』
6月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ 
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ

【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。

(C)2018『万引き家族』 製作委員会