まるでバケーションのような撮影だった!『さよなら、僕のマンハッタン』マーク・ウェブ監督 インタビュー

『(500)日のサマー』『gifted/ギフテッド』のマーク・ウェブ監督最新作『さよなら、僕のマンハッタン』が4月14日より全国ロードショーとなる。このほど、マーク・ウェブ監督が、本作の脚本の魅力や映画制作についてインタビューで語った。

The Only Living Boy in New York

本作は、退屈な毎日を送っていた青年が、おかしな隣人と父の愛人との出会いを経て、少しだけ大人へと成長する物語。主人公トーマスを演じるのは、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の出演が控える若手英国俳優のカラム・ターナー。このほか、ジェフ・ブリッジス、ケイト・ベッキンセール、ピアース・ブロスナン、シンシア・ニクソン、『DOPE/ドープ!!』やNetflix「イージー」で人気急上昇中のカーシー・クレモンズなど新旧豪華キャストが共演を果たした。

ウェブ監督は、何年も前に初めて読んで以来、心を掴まれているという本作の脚本の魅力について、「ずっと頭から離れないシーンがありました。ジョハンナとトーマスでの最初のシーンで、彼女が“人はいつも無意識に行動をしてしまうものよ”と言う場面です。彼らが初めて出会ったときの会話は本質を突いていて、とても考えさせられるものでした。私はこの先の展開を知りたくなりました。そのときのジョハンナのセリフは、ある意味現実となるわけで、私はこのシーンに引き込まれました。脚本を読んでいて、どんどん次の展開を知りたくなるのです」と語る。続けて、ジェフ・ブリッジス演じるW.F.ジェラルドと主人公トーマスの関係性について、「男性同士のこういった友情は珍しいですし、これには少し願望も含まれています。ジェラルドのようなメンターとの関係性は希少です」と、2人の関係性には自身の願望も投影されていることを明らかにした。

劇中の“ニューヨークはソウル(魂)を失ってしまった”という台詞に関しては、「この脚本は何年も前に書かれたので、私たちが練り直しました。若い人たちの意見は悲観的ですが、私はこの街に関して変わらないのは自己批判できるということだと思います。人々は常に“70年代は良かった”、“80年代は良かった”などと言っています。私が信じているのはニューヨークが常に進化していること、そして驚くほど雑然としていると同時に美しい街であることです。人種や文化のるつぼというアメリカの側面を象徴しつつ、全くだめな要素もある。それらが全て集約されていて、物語を描くにはピッタリの環境なのです」と、かつて憧れ、今は自身が暮らす街ニューヨークについての持論を展開した。

『アメイジング・スパイダーマン』といった大作を手掛ける一方、小規模作品も手掛けてきたウェブ監督は、それぞれの違いについて、「『アメイジング・スパイダーマン』を撮る前は、撮影がどんな感じになるか気になりましたが、撮影後に役者たちと交わす会話は同じでした。同様に、技術、展開、カタルシスやニュアンスについて考えますし、多くの側面で似ていました。違いと言えば、準備や人々の期待、そして作品が関わる様々なもののスケールですが、それは制作とは別のことです。これらの違いはありますが、全く違ったアプローチはできません。注目されず期待に応えなくてはというプレッシャーもない、解放された気分でしたよ。映画のクリエイティブな要素を全て集結させ、自分たちが作りたい作品を作れたことは素晴らしかったです。ファンの子どもがコスチュームについてどう思うかな、と心配する必要もありませんしね。とても楽しめました」と、様々な制約から開放され、よりクリエイティブに集中できるインディペンデントな映画制作について語った。さらに、本作の制作を振り返ったウェブ監督は「楽しくてウキウキする、まるでバケーションのような撮影でした。映画制作における11番目の戒律は“なんじ、ジェフ・ブリッジスと映画を作れ”ですね(笑)」と、制作を心から楽しんだ様子と共に、憧れのジェフ・ブリッジスとの仕事の興奮を垣間見せた。

『さよなら、僕のマンハッタン』
4月14日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督:マーク・ウェブ
出演:カラム・ターナー ケイト・ベッキンセール ピアース・ブロスナン シンシア・ニクソン ジェフ・ブリッジス カーシー・クレモンズ
配給:ロングライド

【ストーリー】 大学卒業を機に親元を離れたトーマスは、風変わりな隣人W.F.ジェラルドと出会い、人生のアドバイスを受けることに。ある日、想いを寄せるミミと行ったナイトクラブで、父と愛人ジョハンナの密会を目撃してしまう。W.Fの助言を受けながらジョハンナを父から引き離そうと躍起になるうちに、彼女の底知れない魅力に溺れていく。退屈な日々に舞い降りた二つの出会いが彼を予想もしていなかった自身と家族の物語に直面させることになる…。

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