ウォン・カーウァイ初期の傑作『欲望の翼』2月3日公開決定!予告編もお披露目

『恋する惑星』、『ブエノスアイレス』、『花様年華』を後に発表するウォン・カーウァイ監督の2作目にして、各国の映画祭でセンセーションを巻き起こした傑作『欲望の翼』が、デジタルリマスター版として、2月3日に上映されることが決定した。併せて、予告編も公開された。

1960年代の香港を舞台に、若者たちの恋愛模様を描いた群像劇。第10回香港電影金像奨で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞(レスリー・チャン)を受賞。それまでの香港映画と一線を画す、浮遊感と疾走感の入り混じる語り口と映像美。レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、トニー・レオン、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュンらの当時「香港映画史上最初で最後」と言われたほどに豪華な、6人のトップスターを起用したキャスティング。モノローグを多用し、時系列に沿わないストーリー、印象的な音楽──『欲望の翼』はウォン・カーウァイ監督独特のスタイルが確立された原点と言え、実際に本作のモチーフは名作『花様年華』、そして『2046』へと引き継がれた。

ポスター横:欲望の翼

クエンティン・タランティーノや、2017年のアカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督も影響を公言し、2015年にNY・メトロポリタン美術館で行われた「鏡の中の中国」展の芸術監督も任されるなど、ジャンルや国境をも超えて今なお熱烈に支持されるウォン・カーウァイ監督。その色褪せることない傑作群の中でも『欲望の翼』は2005年以降日本での上映権が消失しており、今回公開する劇場であるBunkamuraル・シネマが2017年初夏に開催したウォン・カーウァイ特集上映でも本作の上映は叶わず、スクリーンでの上映は実に13年ぶり。「あの時にしか生まれ得なかった」奇跡の傑作が、制作から28年の時を経て新たな疾走を始める。

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公開された予告編では、主人公ヨディ(レスリー・チャン)の「脚のない鳥がいるそうだ 飛び続けて疲れたら 風の中で眠り 一生に一度だけ地上に降りる」というテネシー・ウィリアムズの「地獄のオルフェウス」から引用された印象的なセリフが映し出され、二人の女に愛されながらも孤独を抱えた主人公の気持ちが独白される。「スーはヨディと恋に落ちた」「ミミはヨディの虜になった」一人の男を二人の女が愛し、その女たちに惚れてしまった男たち…。「彼はあんたを捨てあたしを選んだのよ」「愛してるのか そんなんじゃない 友達さ」「僕は君のことが心配なんだ」「俺がその日 何をしてたか」「彼を忘れるにはあの最初の一分から全部忘れないと」「俺は君にふさわしい男じゃない」。それぞれの登場人物を象徴する台詞が登場し、決して向かい合うことのない想いを懐き合った若者たちの感情が交錯する様が描かれている。恋人同士の親密な様子や、銃を手に暴れまわる様子、泣きながら不在の恋人を訪ねる様子など、陽気なラテン・ナンバーをバックに映し出された仄暗い1960年代の香港の風景が、刹那的に生きる若者たちの心象風景を切り取った予告編となっている。

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ポスター縦:欲望の翼

『欲望の翼 デジタルリマスター版』
2018年2月3日(土) Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
出演:レスリー・チャン マギー・チャン カリーナ・ラウ トニー・レオン アンディ・ラウ ジャッキー・チュン
配給:ハーク

【ストーリー】 「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」ヨディ(レスリー・チャン)はサッカー場の売り子スー(マギー・チャン)にそう話しかける。ふたりは恋仲となるも、ある日ヨディはスーのもとを去る。ヨディは実の母親を知らず、そのことが彼の心に影を落としていた。ナイトクラブのダンサー、ミミ(カリーナ・ラウ)と一夜を過ごすヨディ。部屋を出たミミはヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)と出くわし、サブはひと目で彼女に恋をする。スーはヨディのことが忘れられず夜ごと彼の部屋へと足を向け、夜間巡回中の警官タイド(アンディ・ラウ)はそんな彼女に想いを寄せる。60年代の香港を舞台に、ヨディを中心に交錯する若者たちのそれぞれの運命と恋──やがて彼らの醒めない夢は、目にもとまらぬスピードで加速する。

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