キルギスが誇る名匠アクタン・アリム・クバト監督作『馬を放つ』予告編公開

キルギスが世界に誇る名匠アクタン・アリム・クバト監督の最新作『馬を放つ』が、岩波ホール創立50周年記念作品第2弾として、2018年3月17日より公開される。本作は、第90回アカデミー賞外国語映画賞キルギス代表に選ばれているほか、各国の映画祭で高い評価を受けている。このほど、予告編が公開された。

中央アジアの美しい国、キルギス。妻、幼い息子と3人でつつましく暮らす男は、村人たちから“ケンタウロス”と呼ばれていた。そんな彼には誰にも打ち明けていない秘密があった。豊かな大地を馬で駆け、自然の恵みを受けてきたキルギスの民。遊牧民を祖先にもつ彼らの間には、馬と人間を結び付け、村人たちを団結させてきた伝説が息づいていた。しかし、時は流れ、暮らしは変わり、人々の記憶から伝説は消えようとしていた。そんな伝説をある理由から強く信じているケンタウロスは、夜な夜な厩舎に忍び込み、馬を盗んでは野に放っていた。次第に村では馬泥棒の存在が問題になり、犯人を捕まえる為に罠が仕掛けられるが…。現代を生きる我々が手に入れ、そして失ってしまったものとは何なのか。『馬を放つ』は、純粋なひとりの男の姿を通して、未来へ向けて普遍的メッセージを投げかける。本作は、第67回ベルリン国際映画祭 パノラマ部門国際アートシネマ連盟賞など数々の賞に輝いている、アクタン・アリム・クバト監督の最新作だ。

公開された予告編は、物語の壮大な展開を予感させる音楽と共に、凛々しい馬たちが大河を渡るダイナミックなシーンから始まり、一気にその世界観に惹きつけられる。そして“シルクロード”の拠点として栄えたキルギスの広大な大地、そびえ立つ山々、そして村人たちが纏う異国情緒溢れる民族衣装など、監督がこだわった映像美が次々に映し出される。また、心優しい主人公“ケンタウロス”が息子に馬の伝説を語るシーンからは、遊牧民だった人々と馬との深い関係性を感じさせる。そして、主人公を演じるクバト監督が挑んだ圧巻の乗馬シーンの一端も垣間見える。「牧歌的で異国情緒溢れる唯一無二の美しい映像。これは、どの世界にも通じる普遍的な物語だ」と絶賛の海外評のように、美しい印象的な予告編となった。

併せて、「西の魔女が死んだ」などで知られる作家の梨木香歩から絶賛コメントが到着した。一足先に鑑賞した本作について熱い言葉が寄せられた。

■梨木香歩(作家) コメント
村人が馬を操るシーンの全てに目が釘付けになる。文字通りのケンタウロス。天と大地と人が馬によって一体化するような疾走は、民族の魂の叫びのようだ

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『馬を放つ』
2018年3月17日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
監督・脚本・主演:アクタン・アリム・クバト
出演:ヌラリー・トゥルサンコジョフ ザレマ・アサナリヴァ
配給:ビターズ・エンド

【ストーリー】 キルギスのある村。村人たちから“ケンタウロス”と呼ばれている物静かで穏やかな男は、妻と息子の3人でつつましく暮らしていた。しかし、そんな彼には秘密があった。ある理由から、キルギスに古くから伝わる伝説を信じ、夜な夜な馬を盗んでは野に放っていたのだった。次第に馬泥棒の存在が村で問題になり、犯人を捕まえる為に罠が仕掛けられるが…。