山﨑努、沖田修一監督がサプライズ登壇!『モリのいる場所』内覧試写会レポート

30年間もの間、ほとんど家の外へ出ることなく庭の生命を見つめ描き続け、97歳で没するまで生涯現役であり続けた、伝説の画家・熊谷守一(くまがいもりかず)=モリのエピソードをもとに、沖田修一監督が晩年のある1日をフィクションとして描いた映画『モリのいる場所』が2018年5月に上映される。日本映画の至宝、山﨑努&樹木希林が、結婚52年目、夏の1日に凝縮された老夫婦のあゆみを演じる。このほど、12月18日、「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展覧会開催中の東京国立近代美術館で、学芸員レクチャ―付映画『モリのいる場所』試写会が行われ、主演の山﨑努と沖田修一監督がサプライズ登壇した。

12・18 フォトスポット前

本企画は、画家・熊谷守一の大回顧展を開催中の東京国立近代美術館と、熊谷守一をモデルにした映画『モリのいる場所』の共同企画として開催され、映画『モリのいる場所』の試写会後に、蔵屋美香・東京国立近代美術館企画課長による、熊谷守一の作品や生涯の紹介や映画の中に登場するエピソード解説、その後に回顧展の内覧会が催され、まさに熊谷守一漬けのイベントとなった。

12・18 壇上

試写会イベントの最後には、沖田監督と山﨑努が舞台挨拶に登場。山﨑は「プロ野球選手ではありませんが、応援宜しくお願いします」と場内を沸かせた。モリカズ像を決定づけた代表的名著「へたも絵のうち」が効果的に翻案されているように、映画は今回の展覧会の目的とも多くの共通点がある。蔵屋企画課長は映画を交えたトークで、「外見は白いひげを伸ばしたおじいさん。昆虫や植物を描く作品は明るく楽しく飄々としている。何の悩みもない人が幸せに絵を描いている、と誤解している方も多いのではないでしょうか。しかし守一は、穏やかさの裏に人に見せない激しい部分を隠し持っていたのではないかと、展覧会をやって改めて思います。映画でも“人に見せず隠している部分がある”という守一のありようがきちんと描かれています。例えば、にぎやかな宴会が終わって、夜、一人でアトリエに入るシーン。実際に描くところは登場しません。ただ翌朝の場面で、映画冒頭に出てくる下絵のままの画面が写し出され、守一がこの作品を描きあぐねた夜の孤独な時間が暗示されるのみです。実際守一も、家族にすら油絵を描くところを見せなかったそうです。展覧会でわたしが感じたことと、映画が訴えていることとは、こうして何より“守一には人に見せない謎めいた顔がある”という一点で共通しています。主演である山﨑努さんの、“守一に素顔を隠す仮面をかぶせた”という演技のプランのお話を聞き、その通りだ!と思いました」と語った。

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『モリのいる場所』
2018年5月 シネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国ロードショー
監督・脚本:沖田修一
出演:山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 三上博史
配給:日活

【ストーリー】 自宅の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫など、守一の描く絵のモデルとなる生き物たちが住み着いている。守一は30年以上、じっとその庭の生命たちを眺めるのを日課にしていた。普段、守一は妻の秀子と二人の生活をしているが、毎日のように来客が訪れる。守一を撮ることに情熱を燃やす若い写真家の藤田くん、看板を書いてもらいたい温泉旅館の主人、隣人の佐伯さん夫婦、郵便屋さんや画商や近所の人々、そして、得体の知れない男…。今日もまた、モリとモリを愛する人々の、可笑しくて温かな1日が始まる。

(c)2018「モリのいる場所」製作委員会