國村隼の癒しは「渓流釣り」、門脇麦は「歩きながら瞑想」 『KOKORO』初日舞台挨拶 オフィシャルレポート!

島根県隠岐島で大部分のロケを行ったフランス・ベルギー・カナダ3か国合作映画『KOKORO』が11月4日に公開初日を迎え、東京・渋谷のユーロスペースで主演の國村隼、共演の門脇麦、そしてヴァンニャ・ダルカンタラ監督による初日舞台挨拶が行われた。

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自殺志願者に寄り添う元警察官・ダイスケ役の國村は、今回の起用について「なんて静かで優しい話なんだと脚本を読んで思ったし、監督に会って目と目があった瞬間に『この人とならば一緒に仕事ができるだろう』と感じた」と振り返り、「監督のスタイルは、スタッフ・キャストと同じスタートラインに立ち、ともに迷いや悩みを共有しながら一緒に旅をしている感じがあった。それはまさに映画を作る旅のようでしたね」とダルカンタラ監督との共同作業の感想を述べた。

主人公・アリスを演じたイザベル・カレについて、國村は「彼女がアリスとして心の痛みに堪えかねているときに、まるで本当に痛がっているような気がした。展開やセリフは脚本に書かれているものだけれど、そんな彼女を目の前にすると、その状況に対して自分がどうしたらいいのだろうか?という思いが湧き出てきて、自然とセリフが出てきた」と言い、「映画という嘘の世界の中で演じているのに…不思議な空気感がありましたね」と撮影の舞台裏を紹介した。

一方、好奇心旺盛な地元の女子高生・ヒロミ役の門脇もダルカンタラ監督の印象について「なんて凄く深くて静かな人なんだと感じた。英語セリフも海外の監督も初めてなので緊張するのかと思ったけれど、ダルカンタラ監督の人としての魅力に心が持っていかれた。それは撮影中も同じで、深く静かで優しく、幸せな時間を過ごすことができた」とその人柄に感謝しきりだった。

「この映画を製作する中で、キャスティングが一番簡単だった」というダルカンタラ監督は國村について、「俳優としても人としても素晴らしい方だと一目でわかったし、深い感情を分かち合えるはずだと思った。ダイスケは光と影を持つ役。それを演じるにあたり、國村さんは完璧な人物でした」と太鼓判。門脇には「ヒロミというキャラクターをより印象的にし、西洋人の観客にも共感を得る役にしてくれた」と好演を労った。

また映画にちなんで“KOKOROを癒す場所”を聞かれた國村は「渓流」と明かし、「時間ができると、渓流釣りに行くのが自分の楽しみ。魚は釣れなくても、そこに身を置くだけで日常から離れた癒しを得ることができる。日本には美しい川がたくさんあるので、皆さんにも一度は行ってもらいたい」と観客にオススメ。門脇は「山と海が好き。心が疲れたら山に登って下に流れる雲海を眺めたり、海では寄せては返す波をひたすら眺めたり」とネイチャー推しの一方で、「時間がなくて遠出できないときは、ひたすら歩く。新宿から六本木まで3時間かけて歩いたりする。すると邪念もだんだんと消えて、忘れかけていた本来考えなければいけないことが見えてくる。まるで歩きながら瞑想している感じですね」と独特なストレス発散法を観客に向けて伝授していた。

『KOKORO』
11月4日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:ヴァンニャ・ダルカンタラ
出演:イザベル・カレ 國村隼 安藤政信 門脇麦 長尾奈奈 葉山奨之
配給・宣伝:ブースタープロジェクト

STORY 夫と思春期の子供二人とフランスで暮らすアリスの元に、長い間旅に出ていた弟ナタンが戻ってきた。ナタンは日本で生きる意欲を見つけたと幸せそうに語る。しかしその数日後、彼は突然この世を去ってしまう。弟の死にショックを受けたアリスは、弟を変えた人々、そこにある何かに出会うため、ひとり日本を訪れる。ナタンの残した言葉を頼りに、弟の足跡をたどっていくアリス。そこで彼女は、海辺の村に住む元警察官ダイスケと出逢う。彼は飛び降り自殺をしに村の断崖を訪れる人々を、そっと思いとどまらせているのだった。求めすぎず、静かに傷をいやすことのできるその場所に、アリスはどこか安らぎを感じる。そしてダイスケをはじめとするジロウ、ミドリ、ヒロミ、ハルキら、その村で出会った人々との交流が、静かにアリスの心に変化をもたらしてゆく――。

Ⓒ Need Productions/Blue Monday Productions