立川志らく × ティエリー・フレモー監督が登壇!映画『リュミエール!』第30回東京国際映画祭 舞台挨拶レポート!!

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マーティン・スコセッシ監督が「世界の至宝だ!」と絶賛し、いよいよ10月28日(土)より日本公開となる映画『リュミエール!』。公開に先立ち、26日(木)、第30回東京国際映画祭にて本作の特別上映が行われ、監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーションの5役を担当し、フランス・リヨンにあるリュミエール研究所のディレクターを務め、カンヌ国際映画祭総代表でもあるティエリー・フレモーが来日し、日本語版ナレーションを担当した落語家・立川志らくとともに舞台挨拶を行った。

今回、東京国際映画祭には初登場となったティエリー・フレモーは「122年前のリュミエール兄弟と同じ道を今辿っている気がします。リュミエール兄弟は二人で監督をつとめながら、彼らの撮影技師を世界中に派遣し、当時見たこともなかった世界各国をカメラに収めました。私はリヨンのリュミエール研究所の所長として、世界中にこの映像を知らしめることは使命であると思っています。映画のオリジン(原点)、そしてリュミエール作品がいかに美しいかを、是非知っていただきたい!」と満員の観客の前で熱く挨拶した。そして「最近はデジタル技術が革新されて、修復が楽にできるようになったので、フランス政府の援助を受け、約1500本のリュミエール作品すべてを修復する予定です。(本作を製作した)2年前がちょうど映画誕生120周年記念だったのですが、それ以前はパリやリヨンでさえ、リュミエール作品を一般のお客様に観てもらえる機会がなかった。今回このような形にすることで、一般のお客様にも映画館で観てもらえることになりました」と本作製作に至った思いを語った。

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ここで本作の日本語吹替版ナレーションを担当した、落語家の立川志らくが登場。「生まれて初めて映画のナレーションをやりました!TVの場合は短いんですけど、本作は90分ずっとしゃべりっぱなし。この声が90分ずっと流れますよ(笑)」という志らくに、「サイレントフィルムの鑑賞方法は3つあります。1つはサイレントをサイレントのままで観る方法、2つめはサイレントに音楽をつける方法、そしてサ3つ目がサイレントにナレーションをつけるという方法。今回はリュミエールの世界に誘うためにナレーションの形にしました」とティエリーは明かした。すると志らくは「私はリュミエールの名前は知っていたけれど、観たことがなかった。このお話を頂いて、チャップリンより前の時代の作品だから珍しいけれど、そんな面白いものじゃないだろうと予想していたんです。でもこれが観てびっくりした!構図は美しいし、単なる記録映像ではなく演出もしっかりされていて、つい90分仕事も忘れて見入ってしまいましたよ」と感想を述べると、ティエリーも嬉しそうに頷いた。

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さらに志らくからは「私の名前は志らくなので、フランスの前の大統領と同じ名前なんて縁も感じます」というユーモアも飛び出しつつ、「日本ではエジソンが映画の発明にかかわっていたことは知られているけれど、リュミエール兄弟のことはあまり知られていない」と志らくが指摘すると、ティエリーが「フランスではリュミエール兄弟の名前も、彼らがシネマトグラフを発明したこともよく知られている。エジソンが発明したキネマトスコープは映像を見るために小さな箱を覗く形だったけれど、リュミエール兄弟は映像を大きなスクリーンに投影して群衆の前で披露したんだ。こうやって同じ室内の中で大勢の人が一緒にイメージを共有し、気持ちを一つにするという体験を生み出したんだよ。だから私たちは映画館に行くのが好きなんです!」と語り、観客から拍手も起こった。そして「リュミエール兄弟の前にもエジソンなど多くの人たちが映画を発明しようとしていた。でもリュミエール兄弟が完璧な“シネマトグラフ”を発明したから、彼らの後にはもう発明家はいないんです。リュミエール兄弟は最後の発明家にして、最初の映画監督なんです。それに“リュミエール”はフランス語で“光”という意味。まさに映画を発明する名前ですね!」とティエリーは締めくくった。映画ファンが集まる東京国際映画祭に相応しいゲストの深い話に、観客も終始引き付けられ、濃密な時間となった。

【リュミエール!】poster_fix

『リュミエール!』
10月28日(土)東京都写真美術館ホール他全国順次公開
監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーション:ティエリー・フレモー
配給:ギャガ

作品概要 スピルバーグもルーカスもジェームズ・キャメロンもクロサワも小津も、映画はここから始まった。1895年12月28日パリ、ルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟が発明した“シネマトグラフ”で撮影された映画『工場の出口』等が世界で初めて有料上映された。全長17m、幅35mmのフィルム、1本約50秒。現在の映画の原点ともなる演出、移動撮影、トリック撮影、リメイクなど多くの撮影技術を駆使した作品は、当時の人々の心を動かした。1895年から1905年の10年間にリュミエール兄弟によって製作された1422本より、カンヌ国際映画祭総代表であり、リヨンのリュミエール研究所のディレクターを務めるティエリー・フレモーが選んだ108本から構成され、リュミエール兄弟にオマージュを捧げた珠玉の90分。4Kデジタルで修復され、フレモーが自ら解説ナレーションを担当、ひとつの時代、そこに生きる様々な人や場所、伝統の証人である映像とともに、20世紀を目前とした世界への旅に誘う。

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