映画『羊の木』釜山国際映画祭ワールドプレミアで吉田大八監督が錦戸亮を絶賛! 「普通の人を演じる天才的な能力がある人」

舞台は、ある寂れた港町”魚深“。市役所職員の月末(錦戸亮)は、男女6人(北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平)の受け入れを担当するが、移住してきた彼らは、どこかおかしい。魚深の町が抱える過疎問題を解決するために、元受刑者を受け入れるという“国家の極秘プロジェクト”であることを告げられた月末が知った、さらなる衝撃。“彼らは全員元殺人犯”だった。

公式上映中、前半は会場から笑いもおきており、「6名が町にやってきた時に、出迎える月末が毎回同じセリフをいうのが面白かった」という観客の声に対して、吉田監督は「最初、迎えに行った時に、月末は、市役所の職員として決まった手続きに乗っ取って、皆を同じように迎え入れたい、彼の仕事である新しい居住者を迎え入れるセクションでのルーティンの仕事と同じように受け入れたいと思ったんですが、今までの彼のルーティンの仕事とちょっと何かが違うなという事を月末自身と観客に知らしめたいという狙いがありました」とコメント。

多様なキャラクターが出てくる本作で、「監督にとって特に愛着があるキャラクターは?」という質問には、「もちろん全員に思い入れがあって、分け隔てなく撮影から仕上げまでそれぞれのキャラクターを愛してきましたが、自分でも見直す度に興味がわくキャラクターが変わることがありまして、今日の上映では大野さんを受けいれたクリーニング屋さんのおばさんと、福元さんを受けいれた理髪店の店主のことを考えることが多かったです」と、観る度にそれぞれのキャラクターに愛着をもつことができる作品であると明かした。

6名の元殺人犯のそれぞれの犯した罪の設定については、「この物語には原作があって、原作ではもっと新住民の数も多いし、殺人だけじゃなく窃盗や性犯罪、詐欺などもあります。今回、殺人だけに絞ったのは、2時間の映画の中で一つ自分がこだわって考えたのは、人を殺したことがある人と無い人の間の境目がどう見えてくるかに興味があって、それを念頭において話を作りました。人を殺すことについても、弾みで殺したのか、計画的に殺したのか、あるいは残酷な殺し方なのか、運悪く相手は死んでしまったのか…その経緯によって、目の前に人を殺したことがある人がいたとしても、相手にどういう感情も持てるのか、どう付き合っていけるのか、いけないのかを細かくやりたかったので、全員殺人犯として一人一人変化をつけました。自分も撮影しながら、何が見えてくるか考えながら撮っていました」と語った。

上映後、吉田監督は「映画祭のお客さんが皆、とても集中してご覧になっており、そのことを感じながら一緒に上映を見ることが出来ました。最初にお披露目する機会として、とても良い経験をさせてもらいました」と、ワールドプレミアとなった映画祭への参加、そして、釜山国際映画祭の初参加への喜びを言葉にした。

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『羊の木』
2018年2月3日(土)全国公開
監督:吉田大八 『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』
脚本:香川まさひと『クヒオ大佐』
原作:「羊の木」(講談社イブニングKC刊)山上たつひこ「がきデカ」 いがらしみきお「ぼのぼの」
出演:錦戸亮 木村文乃 北村一輝 優香 市川実日子 水澤紳吾 田中泯 松田龍平
配給:アスミック・エース

STORY ある寂れた港町“魚深(うおぶか)”にやってきた見知らぬ6人の男女。平凡な市役所職員・月末(つきすえ)は彼らの受け入れを命じられた。受刑者を仮出所させ、過疎化が進む町で受け入れる国家の極秘プロジェクト。月末、町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は知らされなかった。しかし、月末は驚愕の事実を知る。「彼らは全員、元殺人犯」犯した罪に囚われながら、それぞれ居場所に馴染もうとする6人。素性の知れない彼らの過去を知ってしまった月末。そして、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(木村文乃)を巻き込み、町の人々と6人の心が交錯し始める-。

© 2018「羊の木」製作委員会 ©山上たつひこ いがらしみきお/講談社

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