映画『三度目の殺人』興収12億円突破!!「こんなところまで観られているなんて怖いなぁ(笑)」是枝裕和監督、観客との濃厚トークに驚きと感謝!

Q:阿部寛さんが主演の『歩いても 歩いても』や『海よりもまだ深く』は、父親と母親の両方が出てくると思いますが、福山雅治さんが主演の本作や『そして父になる』では母親は出てこなくて、冷めた父親が出てきます。主演が阿部さんであったり、福山さんであるときに意識しているのでしょうか?

是枝監督:厳密にルール化はしていないので、たまたまですね。今回の話は、3組の父親と娘の話。弁護士と殺人犯と被害者、それぞれに”父親と娘の関係がうまくいっていない”という共通点を太く作っておきました。あの主人公(重盛)を肉付けしていくときに、母親より、父親かなと思って、父親にしましたね。こんなところまで観られているなんて怖いなぁ(笑)

Q:この映画は、“十字”っていうテーマであちこちに出てくるなと思いました。雪の上で寝転んでいるシーンでは三隅と咲江は十字で寝ているのに、福山は大の字。ほかにも、お墓の十字、最後の重盛が見上げた電線、重盛が立っている道路も十字です。雪のシーンのふたりだけが十字っていうのは、狙いがあったのでしょうか…?

是枝監督:北海道の留萌に十字街っていう場所があって、バスのシーンでは実は十字街行きのバスに乗せてたんですよ。それが見えるところはカットしちゃったんですが…。(質問者が)そういう風に意味があるように感じるということは、きっと、主人公もそう思ったんじゃないかな。そして、咲江も自分が何らかの加担をしていると、彼女自身が考えたんじゃないでしょうか。被害者じゃなくて、加害者意識を持つということが大事だと思っていましたから。そういう設定は考えていましたので、意識的に散りばめましたね。でも”十字”は劇中にまだあるんですよ。
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