映画『エルネスト』ゲバラに影響され髭を伸ばした!?渡部陽一と、女性代表吉木りさが独自目線で徹底解説!

今年2017年に没後50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。革命家、反帝国主義のカリスマとして、また、革新を想起させるシンボルとして今もなお世界中でゲバラの存在は明確に息づいている。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権との戦いで、1967年8月に25歳の若さで散った実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を、日本・キューバ合作で描く映画『エルネスト』が10月6日(金)に公開される。

そしてこの度、公開に先駆けた9月26日(火)に、本作の公開直前イベントを実施。スペシャルゲストとして、舞台となるキューバをはじめ、これまでに130ヵ国以上の戦争や紛争地帯を取材し、100万枚以上の戦場写真を撮影してきた戦場カメラマンの渡部陽一と、バラエティ番組などで活躍するタレントの吉木りさが登壇した。渡部が、普段通りのゆったりとした挨拶で登場すると、続く吉木もそれを真似てゆっくりとした挨拶をし、「本日の打ち合わせも大分長くなってしまいましたね(笑)」とコメントし、会場は笑いに包まれた。

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渡部は、「チェ・ゲバラは、辿ってきた歴史以上にスタイルが際立っているイメージがあるかもしれませんが、今回の作品を見て、ゲバラが一番大切にしていた、“言葉” 。ゲバラの詩人の一面が、作品全体として良く出ていたと強く感じました」と独自の解釈を披露した。吉木は、「オダギリジョーさんのスペイン語が本当に流暢で、どんどんボリビアの誠実な青年に見えてきて、キューバの方たちとしっかりと絆を築いているのが画面から伝わってきて、とても愛情深い作品だなと思いました」と作品の魅力を語った。

さらに、写真家としての側面も持っていたチェ・ゲバラのことを同じ写真家として渡部は、「ゲバラの写真は、フィルムカメラの持っている、光をできるだけ落とし、影の美しさを際立たせていく魅力がある、そして、一撮入魂の思いが映画の中、ゲバラの撮影してきた写真から感じるものがありました」と同じ写真家ならではの見え方を披露し、会場を沸かせた。また本作では、まだ世界的に知名度のなかったチェ・ゲバラが1959年に広島に訪問していたことについて描かれている。それに対し渡部は「日本とキューバの共通点として、革命の前の様々な紛争や戦闘、それによって自由を奪われていく、そんな戦いのあった日本の歴史をキューバ革命のひとりの指導者として見てみたいという思いがあったのではないか、あのゲバラ自身が日本の土地に来ていた。それだけでもハッとさせられる大きな発見だと思います」と驚いた様子で話し、吉木はチェ・ゲバラの言動について「劇中にあった“これは自信ではなく怒りだ、だが怒りであって、憎しみではない。憎しみから始まる戦いでは絶対に勝てないんだ“という言葉が大変印象に残りました」と噛みしめるように話していた。

そして、映画でゲバラに影響を受けていく主人公フレディにちなんで、今までに影響を受けた人物について聞かれた渡部は、「20代の駆け出しのカメラマンの頃から、カメラマンとして、写真家であったゲバラに惹きつけられ、自分も髭を伸ばしたくらい憧れです」とゲバラへの思いを吐露。「世界中から戦争がなくなり、戦場カメラマンが不要になった後、“学校カメラマン”になることが夢です!」と長年の夢も語った。イベントの最後に、これから見るお客様に向かって、渡部は「世界情勢が大きくうねり、日本も厳しい局面に向き合っている今、これから自分たちが築いてく選択肢や引き出しは、歴史の中から学ぶことが多いのかもしれません。なので、たくさんの方々にフレディの声、ゲバラの生き様というものを感じ取ってほしい」と語り、本イベントを締めくくった。

サブ

『エルネスト』
2017年10月6日全国ロードショー
監督・脚本:阪本順治
出演:オダギリジョー 永山絢斗 ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ
配給:キノフィルムズ

STORY 50年前、チェ・ゲバラに“エルネスト”と名付けられ、行動をともにした、ひとりの日系人がいた。キューバ革命の英雄、エルネスト・チェ・ゲバラ。自らの信念を突き通した生き方、その比類なきカリスマ性によって、今なお世界の人々を魅了し続けているこの男は、1967年、ボリビア戦線で命を落とした。同じ頃、ボリビアでゲバラと共に行動し、ゲバラからファーストネームである<エルネスト>を戦士名として授けられた日系人がいた。その名は、フレディ前村。日系二世として生まれたフレディは、医者を志し、キューバの国立ハバナ大学へと留学する。そしてキューバ危機のさなかにチェ・ゲバラと出会い、その深い魅力に心酔し、ゲバラの部隊に参加。やがてボリビア軍事政権へと立ち向かっていく。

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