板尾創路「黒澤組のオーディションに行った」、吉田光希監督作『三つの光』トークイベント レポート!

国内外で評価の高い吉田光希監督の最新作『三つの光』。本作の公開を記念したトークイベントが、9月21日、新宿K’s cinemaで行なわれ、板尾創路(芸人・俳優・映画監督)、増本庄一郎(映画監督・脚本家・俳優)、真木恵未(『三つの光』ミチコ役)が登壇した。

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深夜の倉庫街で楽曲制作をするマサキとKの元に、抑圧された日常から逃れるようにして3人の女が集まってきた。マサキとKとの出会いによって自分を解き放っていく3人。それは、共同で作り上げていく一つの音楽に結実していくように思われたのだが……。

橋口亮輔監督『恋人たち』(’15)の好演で、高崎映画祭優 秀新進俳優賞を受賞した池田良をはじめとする出演者と監督が対話を重ね、それぞれの個性や境遇をキャラクターに反映させ、観る者に圧倒的なリアリティをもって語りかける本作。もがき続ける人間の姿を通して、誰もが抱く希望や葛藤、焦燥を描き、心の再生に迫る意欲作となっている。

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本作の出演をオーディションで勝ち取ったという真木は「去年の2月に4日間のオーディションがあって、書類選考から30~40人ぐらい集められて、二人一組でエチュード(即興芝居)をしました。最後の日に組んだのがアオイ役の小宮一葉さんと、マサキ役の鈴木士さんで、一緒に合格した」という。オーデションは一度だけ受けたことがあるという板尾は、「黒澤組の映画『雨あがる』のオーディションに行った」と意外な発言で会場をどよめかせた後、「質問されただけで、特になんもやってない。エチュードはなかったし、一時間ぐらいで終わった」と笑顔で語り会場を爆笑させた。
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撮影中は本当に苦しかったという真木。「監督が、そんなに言葉にしないで追い詰めてきて(笑)。全然怖くないんです、優しい方なんです。声を荒らげず、穏やかな人で」とコメントすると、事前に映画を観てきたという板尾は「それわかる、映像に出ている、そういう感じが」と共感。続けて真木は「K、マサキ、アオイ、ミチコ、一人ずつクライマックスのシーンがあって、私が最後の撮影だったんです。そしたら撮影の直前に監督がスッと隣りに座って、『真木さん、みんな決めてきてますよ…』ってひとこと言って去って行くんですよ(笑)。で、お昼を挟んで撮影だったので、気持ちを作る為に、皆んなと離れた部屋で一人、ご飯を食べていたんですね。そしたら監督がカチャって扉を開けて「真木さん、次ですよ…(カチャ)って(笑)。そういう追い詰められ方でした(笑)」と撮影秘話を語った。

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そんなひと言演出についてエピソードがあるという増本は「『クローズZERO』にヤクザ役で出た時に、小栗旬くんとすれ違って無視されるシーンがあったんですね。その前日に旬くんから、『三池(崇史)監督はアドリブOKだからやり倒した方がいいですよ!』って言われたので、段取りで旬くんとすれ違った時に、「おい、お前えええええええええ!?無視ぃぃぃぃっ!?!?」ってやったらスタッフに大ウケだったんですよ。そしたら監督が横に来て『エンターテイメントいらないから』って(笑)」と、三池流ひと言演出の恐ろしさを面白おかしく語った。

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2017年11月公開予定の映画『火花』を監督する板尾。自身の演出について質問されると、「ほっといてもええ時はほっとくし。基本は俳優さんにやってもらうのがベスト。でも、ちょっと違うなって時は修正します」とコメント。監督・板尾をよく知る増本は「板尾さんは本当に役者を信じてますよね。役者が違うことをやりだしても、『ええねん、やらせておくねん』って。俳優の好きなようにやらせる」と板尾の監督としての度量の大きさを伝え、会場を感心させていた。

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『三つの光』
9月16日(土)より新宿 K’s cinema、9月30日(土)より渋谷 ユーロスペース他、全国順次公開
脚本・監督:吉田光希
出演:池田良 鈴木士 小宮一葉 真木恵未 石橋菜津美 後藤剛範 森下サトシ 佐々木大介 鳥越ゆみ 尾藤亜衣 小野孝弘 柴山美保 田中隆三
配給:シネマ☆インパクト