ドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』沖縄先行公開記念イベントレポート

劇場へ続く長蛇の列

沖縄の戦後史を語る上で欠かせない、瀬長亀次郎を描いたドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』が、8月12日(土)より全国に先駆けて沖縄・桜坂劇場にて公開された。第二次大戦後、米軍統治下の沖縄で唯一人“弾圧”を恐れず米軍にNOと叫んだ日本人、「不屈」の精神で立ち向かった沖縄のヒーロー、瀬長亀次郎。民衆の前に立ち、演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させ、彼を恐れた米軍は、様々な策略を巡らすが、民衆に支えられて那覇市長、国会議員と立場を変えながら政治家、亀次郎は闘い続けた。その知られざる実像と、信念を貫いた抵抗の人生を、稲嶺元沖縄県知事や亀次郎の次女など関係者の証言を通して浮き彫りにしていくドキュメンタリーである本作。那覇市・桜坂劇場での初日<8/12(土)>の初回では、劇場外まで長蛇の列が100メートル以上続き、400人以上の大行列ができた。定員300席は満員となり、100名程の来場者が入場できないほどの大盛況となった。桜坂劇場のスタッフによると、初日の動員記録としては、スタッフが在籍している12年間では『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に次ぐ第2位、実写映画としては第1位を記録!さらに、過去12年間で「上映前にこんな風に拍手が起こったのは初めて」と驚いた様子だ。ネット上では「胸が震えるような映画。上映前に拍手が起こり、何度も涙が出そうになりました」、「この映画をあなたへ、心の底からお勧めします」などの大きな反響が寄せられており、沖縄県民の期待値・満足度の高さが伺える。

8月13日(日)には、公開記念イベントが桜坂劇場 ホールAにて行われ、佐古忠彦監督、演芸集団FEC、ネーネーズが登壇した。300席がすべて埋まる超満員のなか、本編上映後に行われたイベント。沖縄の演芸集団FECによるコントは「お笑いカメジロー」、「亀島太郎」、「クイズ瀬長亀次郎」の3演目。亀次郎に絡めたネタで、熱気に溢れた満席の場内からは終始大きな笑い声や拍手で溢れた。FECのコントの後には、FECのまーちゃんの呼び込みで佐古監督が登壇。まーちゃんは「亀次郎の映画をうちなーんちゅ(沖縄県民)ではない佐古監督が撮ってくれたことが自分も沖縄の人間も本当にうれしいんだ」と語り、佐古監督に感謝を述べた。佐古監督は「沖縄の戦後の歴史を本土の人はよく知らない。なぜ沖縄の人が辺野古反対と叫んでいるのか、本当のところを分かっていない。昨年、亀次郎に関する49分のドキュメンタリーを放送したところその反響がもの凄かった。そこで、亀次郎を通して沖縄の戦後史を描くことで、沖縄の人が声をあげている理由を少しでも分かってもらえればと、追加取材・撮影を行い制作した」と映画制作の経緯を明かした。その後、佐古監督とまーちゃんの紹介で登場したネーネーズによるミニライブでは劇中で印象的に使用されている「おしえてよ亀次郎」をはじめ、「ヤガマヤ」、「黄金の花」の3曲を披露。「ヤガマヤ」では自然と場内から手拍子が起こり、「おしえてよ亀次郎」「黄金の花」では、満席の観客はその唄声に酔いしれていた。「黄金の花」は、佐古監督が「筑紫哲也のNEWS23」のキャスター時代にエンディングで使用されていた時期もある想い出深い曲。300席が満席となった会場は、映画とコントとミニライブと贅沢な時間を堪能した。

▼演芸集団FECによるコント「お笑いカメジロー」
お笑いカメジロー

▼FECによる「クイズ瀬長亀次郎」
クイズ瀬長亀次郎

▼佐古忠彦監督とFECのまーちゃん
佐古監督とまーちゃん

▼ネーネーズ
ネーネーズ

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』
沖縄・桜坂劇場にて先行公開中
8月26(土)より、東京・ユーロスペース他全国順次公開
監督:佐古忠彦
語り:山根基世 大杉漣
テーマ音楽:「Sacoo」作曲・演奏 坂本龍一

STORY  男は、ガジュマルをこよなく愛した。「どんな嵐にも倒れない。沖縄の生き方そのもの」だと。那覇市を、かつてたった11ヶ月だけ率いた、その男が好んで使った言葉がある。それは「不屈」。1945年の終戦後、沖縄で、民衆の先頭に立ち、演説会を開けば毎回何万もの人を集めた男。その名は、瀬長亀次郎。団結して立ち向かったのは、戦後沖縄を占領したアメリカ軍の圧政。祖国復帰へ向けて民衆をリードした、その人物は、アメリカが最も恐れた男だった。

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