『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』トークイベントに池上彰が登壇!「日本人はマクドナルド兄弟へ共感を得る人が多いと思います」

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が7月29日(土)より全国公開。7月25日、東京千代田区・神楽座でテレビ東京ビジネスオンデマンド・日経W倶楽部共同開催の特別試写会が開催され、上映前のトークイベントにジャーナリストの池上彰氏が登壇。挨拶もそこそこに、さっそく本作の主人公、マイケル・キートン演じるレイ・クロックについて話が及んだ。

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池上は20年ほど前に本でレイの存在を知り、本作を観て久しぶりに思い出したという。「(レイは)非常にアグレッシブな人物。ここまでやらなければならないのか、もしくはこれだけやったからこそ帝国(マクドナルド)を築くことができたのか。映画を観た人がそれぞれ判断を任されるそんな作品です。個人的には<ルート66(道路)>を東から西へ横断するシーンが出てきますが、私くらいの世代には、テレビドラマの影響でこれが大変懐かしくてたまらなかった。1950年代のアメリカってこうだよね、と思える。あの時代の雰囲気や車など、そういう見方も楽しいかもしれません」

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52歳でマクドナルド兄弟と出会ったレイ。池上の転機といえばNHKの退職時とも言えるのでは?と共通点について投げかけると「確かに辞めていますけどレイと一緒にしないでください!(彼と一緒なんて)ありえないですね、マクドナルド兄弟側になっていた可能性はあるかもしれないですけどね(笑)。兄弟の品質へのこだわりに共感をしました。たしかにとても実直で、もう少し融通がきけばレイとの衝突もここまでにはならなかったと思わない所もあります。どちらの側にも共感ができました。レイは兄弟が気付かなかったチャンスに気付き、その説得力はなかなかなものでした。一方で兄弟はFC展開をすることで自分たちの手にはおえないほど大きくなり、このままではいけないのではないかと葛藤する。販売するモノへのこだわりです。これは現代版の「集中と選択」ですよね」と現代に通じる会社を甦らせるために必要な成長戦略に紐づけて解説。劇中のミルクシェイクのエピソードでは、牛丼のFC店「吉野家」が一時使用したという粉末のタレ問題を思い出したと語り、画期的なシステムを構築し、発見した人間が成功者になりえたゆえんをマイクロソフト、ユニクロ、Amazonなどを例に出し、場内の多くの観客を唸らせていた。

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本作のタイトルについて「映画のタイトル「ファウンダー」はものすごい皮肉です。はたして創業者は誰か、という問題に行き着きます。この30秒でハンバーガーを提供するシステムのファウンダーはマクドナルド兄弟。マクドナルドの店を帝国にしたのはレイですから。今の時代だったら、どこかの国がすぐやりますけどパクっちゃえばいいことなんです。でもレイはこの<マクドナルド>に固執したんですね。なぜか?それが映画の最後に明かされるんですよ。ネタばれになるからここまで・・! アメリカの資本主義はこういう人達がいるから発展したんですね。日本人はマクドナルド兄弟へ共感を得る人が多いと思います。だから日米の経済の違いが出てくる。日本がデフレを突破できないのは、そういう見方もできるんじゃないでしょうか。観たくなるでしょう? 観たら観たで、知らない誰かに教えたくなる、そんな映画なんです!」と池上節が炸裂。自著の告知も交えながら、がっちり観客を掴み場内を沸かせつつ、トークイベントは終了となった。

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
2017年7月29日(土)角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿、渋谷シネパレスほか全国ロードショー
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:マイケル・キートン ニック・オファーマン ジョン・キャロル・リンチ ローラ・ダーン
配給:KADOKAWA

STORY 1954年アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店<マクドナルド>があった。合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得して契約を交わす。次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいく。