トランプ米大統領とマクドナルドの原点がここに!町山智浩 × 椎木里佳 トークイベント付き『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』試写会

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が7月29日(土)より全国公開。本作のトークイベント付き試写会が、7月3日に東京都内で行なわれ、映画評論家の町山智浩と、高校時代より“女子高生社長”として知られる株式会社AMF代表取締役社長の椎木里佳が登壇した。

★オフィシャル01

観終わったばかりの観客を前に、町山は「(主人公の)レイ・クロックは、最初はいい人かと思うんですけどね、だんだん本性がでてきますよね」、椎木「だんだん最後はもうレイ・クロックさんの事嫌いになりませんでしたか?!良い人だってもっていたのが悔しくなるくらい後半は嫌な人になっていました」と両極面を見せるマイケル・キートン演じるレイ・クロックという人物についてフォーカス。

★町山さん

町山は「レイは、ポジティブシンキングを最初に提唱したノーマン・ヴィンセント・ピール牧師の自己啓発本のレコードを持ち歩き聴いている。あんな気合いの入れ方すごいですよね(笑)。<成功した自分を想像しろ、成功してからの自分を想像していない人は成功しない!>という考えです。日本でも未だに売れていてベストセラーになっていますが、あの本のいちばんの問題はあのドナルド・トランプが唯一師匠として仰いでるのがピール牧師ということ。トランプは彼の教会で最初の結婚式も挙げてるくらいで……。レイ・クロックとトランプは同じ師匠をもった兄弟みたいなものなんですよ!」と明かすと会場は「へぇ~」とどよめき、頷く人の姿も。
椎木は「成功した時の自分をイメージする、大きな目標を立てる、ということはしてはいました。人を踏みつけてまで登りつめたい、というその欲求はすごい。私自身は彼のようなビジネスには憧れませんが……ビジネマンとしてはすごいと思いました」とコメント。

町山は「マクドナルドが出現したことによって、アメリカという国は均一化されていったんです。フォード自動車のすごかったところは、画期的な流れ作業のシステムを作ったこと。マクドナルド兄弟の作ったスピードサービシシステムで、アメリカ中どこの店に行っても同じ味が食べられるようになった。50年代、マクドナルドが出来たことでアメリカの味が均一化されたんです。面白いのが、看板メニューのビッグマックが出来たのは、勝手に支店がオリジナルメニューを作ったことで生まれました。同じメニューを提供するために勝手なことをするな、と言うけど皆それぞれ味を変えちゃうんです。掟を破って、生まれていく。(笑)でも、ビックマックの発明者も最後はマクドナルドに権利取られちゃったんですけどね……。それとは別ですが、映画にも登場する二番目の妻は慈善家としてアメリカでは有名です。よく言われているのが、貧しい人たちの最初のきっかけを作るという取組みが知られています。そういう意味では世の中の役には立っているのかもしれません」さらに、現在のアメリカでは、映画『スーパーサイズミー』や「ファースト・フードネイション(邦題:ファストフードが世界を食いつくす)」が出版されるなど、アメリカではここ2年位減収していること、均一化というマクドナルドのビジネスモデルが終わりにむかっているという現状も語った。

劇中レイ・クロックが“マクドナルド”という名前を欲しがったエピソードに触れ、椎木の会社「AMF」の由来を聞くと、椎木は「家訓で『感謝(appreciation)、謙虚(modesty)、全力(fullpower)』の頭文字からとりました」と話し、祖父の家に額装して飾ってあるという意外な(?)由来が明かされる一幕も。

★椎木さん

マクドナルド本社と本作の関わりについてMCから聞かれると、町山は「この作品はオーソライズ(公認)がされていないからマクドナルドのマーク(M)も勝手に使っているんです。この映画と似ている所もあるFacebookの創始者を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』も非公認でしたが、芸術を作るのに許可なんかいらない、これが出来ないと面白くならないんです!どんどんやった方が良い、日本も真似するべき。<フェアユース>といって無許可でやれるんですが、日本は名前をちょっと変えたりするけど誰かがやれば凡例ができる!」と力説した。

そして最後に、本作のみどころについて、椎木は「ビジネスパーソンとしては(レイは)確実にすごい人。特に若い人はこういう成功の仕方もあるのかと、知ることができる作品なので観てもらいたい」町山は「まさにアメリカンドリームの話。元は移民であった男の良い面、悪い面の両面を描いた、<これぞアメリカ>という映画になっていると思う」と締めくくりイベントは終了した。

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
2017年7月29日(土)角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿、渋谷シネパレスほか全国ロードショー
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:マイケル・キートン ニック・オファーマン ジョン・キャロル・リンチ ローラ・ダーン
配給:KADOKAWA

STORY 1954年アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店<マクドナルド>があった。合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わす。次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいく。

© 2016 Speedee Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED