『どうぶつ宝島』氷川竜介×叶精二トークイベント!宮崎アニメの原点がここに

5月24日(水)、LOFT 9 Shibuyaで行なわれた『どうぶつ宝島』DVD東映 ザ・定番シリーズ発売記念トークイベント『このアニメはすごい!』にアニメ・特撮研究家の氷川竜介氏と映像研究科の叶精二氏が登壇。宮崎駿がアイデア構成で参加した東映長編アニメ『どうぶつ宝島』のすごさを語った。

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↑左から氷川竜介氏、叶精二氏

「(演出を務めた)池田(宏)先生はもっとハードなものにしようとしていたんですよね」という氷川氏に、「そうそう」と叶氏。

「池田先生は、高畑(勲)さんの『太陽の王子 ホルスの大冒険』に感化されていて社会的なテーマを盛り込んだ作品にしたかった。でも当時は作画監督が演出を指名出来るくらい力を持っていた。本作では作画監督の森(康二)さんが池田先生を選んでいます。だから池田先生は森さんを説得しようとしたんだけど、森さんは『楽しくやろうよ』って言って聞き入れてくれなかった」と叶氏はつなげる。

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そして話題は若き日の宮崎駿の仕事に。
本作の基になったロバート・ルイス・スティーブンソンの『宝島』には登場しないフリント船長の孫娘、キャシーを登場させたのは宮崎駿のアイデアだったことに始まり、彼女のキャラクター設定だけは宮崎自身が手掛けていることを紹介。彼が原画やイメージボードを手掛けたポークソテー号VSグラタン号の戦闘シーンやクライマックスの山岳追っかけシーンを、実際に本編を見ながら解説。『パンダ・コパンダ』や『ルパン三世 カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』といった後の宮崎アニメにつながる定番演出についてや、宮崎駿がアニメ公開当時に連載していた漫画『どうぶつ宝島』について、原画として参加していた彼の妻、太田朱美のことまで話題は広がっていく。

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アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』などのタイトルデザインを手掛けたソウル・バスを意識したという彦根範夫原画のオープニングや、湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』に受け継がれた(!?)という”黄緑色の海”についても2人は熱弁。今『どうぶつ宝島』を観る意義について語りつくした。

『どうぶつ宝島』
DVD発売元:東映ビデオ 2800円(税抜)