満島ひかりが歌う島唄が切ない『海辺の生と死』予告編が解禁

傑作「死の棘」を世に放った小説家・島尾敏雄と、その妻、島尾ミホ。互いに小説家であるふたりがそれぞれ執筆した鮮烈な出会いと恋の物語を原作に、奄美大島、加計呂麻島でのロケーションを敢行し、完全映画化を果たした『海辺の生と死』の予告編が解禁された。

①海辺の生と死_メイン

物語の舞台は、昭和19年(1944年)12月、奄美 カゲロウ島(加計呂麻島がモデル)。国民学校教員として働く大平トエは、新しく駐屯してきた海軍特攻艇の隊長 朔中尉と出会う。朔が兵隊の教育用に本を借りたいと言ってきたことから知り合い、互いに好意を抱き合う。島の子供たちに慕われ、軍歌よりも島唄を歌いたがる軍人らしくない朔にトエは惹かれていく。やがて、トエは朔と逢瀬を重ねるようになる。しかし、時の経過と共に敵襲は激しくなり、沖縄は陥落、広島に新型爆弾が落とされる。そして、ついに朔が出撃する日がやってきた。母の遺品の喪服を着て、短刀を胸に抱いたトエは家を飛び出し、いつもの浜辺へと無我夢中で駆けるのだった……。

海辺の生と死_サブ5

島尾ミホがモデルのヒロイン・大平トエを演じるのは、ドラマ「カルテット」での好演も記憶に新しい満島ひかり。トエの恋人で若き日の島尾敏雄がモデルの朔(さく)中尉を演じるのは、3月に放送終了したNHK朝の連続テレビ小説の「べっぴんさん」でヒロインの夫役を演じ、お茶の間の好感を集めた永山絢斗。
海辺の生と死_サブ6

今回解禁となった予告編は、戦争という非常時のもと、どうしようもなく惹かれあう二人の恋の始まりの日々を綴じ込めた一本。奄美の深い緑の森で初めて言葉を交わすふたり、愛を伝えあう波音が激しく響く浜辺など、思わず引き込まれる映像に加え、豊かな音で抑揚を聞かせる満島ひかりの奄美言葉は、まるで遠い国の物語を見ているかのような不思議な感覚をもたらしてくれる。さらに注目すべきは、映画本編でもことさら印象的な満島ひかりが歌う奄美島唄。島の娘であるトエと本州からやってきた若い将校・朔との恋は、奄美に古くから伝わる、内地の男との恋は必ず女に涙をもたらすという悲しい島唄の世界そのもの。二人を待ち受けるはかなくも美しい運命を、満島ひかりが歌う島唄が切なく彩っている。

『海辺の生と死』
2017年7月29日(土)テアトル新宿ほかにて全国公開
監督:越川道夫
出演:満島ひかり 永山絢斗 井之脇海 川瀬陽太 津嘉山正種
配給:スターサンズ

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