竹原ピストル×西川美和トークショー&スペシャルライブ!『永い言い訳』ブルーレイ&DVD発売記念イベントが開催

キメ 寄り『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督が、『おくりびと』以来7年ぶりの映画主演となる本木雅弘を迎え、直木賞候補となった自らの小説を映画化した最新作『永い言い訳』。昨年10月の劇場公開以降、国内外で高い評価を受けた本作のBlu-rayとDVDが、2017年4月21日(金)発売された。これを記念し、西川美和監督と、最新アルバム「PEACE OUT」を発売したばかり、大宮陽一役の竹原ピストルが登壇、トークショー&スペシャルライブを実施した。

ライブ2

ライブ後、西川美和監督は竹原のライブTシャツ、竹原は「MOTOKI MASAHITO」Tシャツを着て、登壇した2人。

MCより撮影で印象に残ったことを聞かれた竹原は、一番緊張したこととして、子役の最終選考に参加して、一緒にエチュードをやったことを挙げた。「できないとすごくごねたのに、参加させられたんですよね(笑)」という竹原に対し、監督は、「かっちりとした演技をされる幸夫役の本木さんに対して、陽一役はミュージシャンの人の対応能力は豊かだと思いキャスティングしたが、蓋を開けてみたら、『一挙手一投足指示されないと動けません』と言われ驚いた」そうだが、逆に、楽曲のイメージ、自由な振り幅をもっているだけでなく、職人的な積み重ね 緻密なものがある人だということを知って、同じものづくりをする人間としては、近いものを感じたそう。竹原は、監督から、エチュードで突然怒ってと指示された結果、子どもたちを泣かせてしまったり、色々なことをさせられ、自分にとっては陽一役のもうひとつのオーディションのようだったと思い返していたが、その様子を観察していた監督は、「おそらくご本人は意識していないだろう、子どもたちとの距離の近さを感じたし、この人なら任せられると安心していた」と語った。

次に、公開されて25週間が過ぎた今だからこそ聞いてみたいこと、という設問では、竹原から監督に「海外での反応はどうだったのか?」という質問が。本作は、カナダ・トロント国際映画祭を皮切りに、韓国、ローマ、台湾などで上映されてきたが、監督の印象としては、「正直あまり日本のリアクションと変わらない」とのことで、どこの国にも、自分は幸夫だという人はいたそう。ただ、香港で「女の人じゃなくて男を主人公にしたのは何故か?夫を亡くした妻の話じゃダメなのか」という質問があがり「妻を失った夫のほうが、ダメージが大きいんじゃないか?よりドラマティックになるんじゃないかと思ったからと答えたところ、香港は女性の社会進出率が高く、共働きで、喪失感の男女差がない」と言われたことは強く印象に残ったようだ。

事前にツイッターで募集した質問「本木雅弘さんのアップが多いのは何故か?イケメン好きだから?」に対して監督は、「確かに。顔立ちに関わらず、顔をいうものが好き。今までもアップで終わる映画が多い。山下敦弘監督にも顔好きですね、と言われた。思っていることを正直に言えない人間=幸夫を、本木さんも演じるのが大変だったと思う。複雑な心情を、ちゃんと撮りたいと思ったからじゃないかな。でも、アップに耐えられる顔こそ、映画俳優の顔。そういった意味では、竹原ピストルさんもすごく良い表情するので、これからもスクリーンで観続けたい」と語った。また、「劇中で一番好きなシーンは?」に対して、竹原は「ひときわ切ないのは、陽一が真平(息子)をトラックの助手席側にのせ走り出すシーンで、幸夫が手を振った後に振りかえって歩いていくシーン。実際には、あのトラックは、ドライバーさんが運転していて、本木さんの横にいたんだけど撮影中に近くなれた気がしていた本木さんが、スクリーンに戻っていってしまったような気が現場でしていて、今見ても切ない気持ちになる」。監督は「クランクアップの日(10月28日)に撮影した、ラストの場面で、ピストルさんが、幸夫にニコっと笑うシーン。このシーンを撮れたから、この映画は大丈夫だと確信した」とコメントした。

発売されたブルーレイの特典に、自信があるという監督は、その見どころもたっぷりと語った。まず、「本編の編集でカットしなくても良かったんじゃないか?」というシーンについて、そのシーンと、なぜカットしたのかというトークを挙げ、「ぜひ観てもらって、それぞれでも考えて観て欲しい」。長い時間をかけて丁寧につくってくれたメイキングについては、「映画づくりは、こんな些細なことを気にしながらつくっているものだ、ということをみて欲しい」。さらに劇中で、陽一の娘、灯が観ているアニメ『ちゃぷちゃぷローリー』を、自身の過去作をみて泣いたことがなかった自分が泣いた、素晴らしいアニメーターさんがつくってくれたもの」と絶賛。一方の竹原さんは、「メイキングで、撮影中の監督の表情にぐっときたので、そこも楽しんで欲しい」とPRした。

他に、監督から竹原さんの最新アルバム「PEACE OUT」は、「電車に乗っている間に聞くと、危うく泣いてしまう曲。家でじっくり聞くべき」という感想や、ロンドンからの本木雅弘さんのメッセージが読み上げられたりと、常に笑いが絶えないトークイベントとなった。

『永い言い訳』はブルーレイ&DVDが絶賛発売中。さらに、4月29日~5月5日、キネカ大森での上映も決定している。

『永い言い訳』
原作・脚本・監督:西川美和 出演:本木雅弘 竹原ピストル 池松壮亮 黒木華 山田真歩 深津絵里 
©2016「永い言い訳」製作委員会