【ゆうばり映画祭】『トータスの旅』でグランプリを受賞した永山正史監督「映画づくりは本当に迷惑な行為だとあらためて感じています」

グランプリ受賞者の永山正史

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017も残すところあと1日となった3月5日(日)、クロージング・セレモニーが開催され、本映画祭のメインともいえる、各部門の授賞式が行われた。喜びに沸きかえる監督らに会場からはあたたかい拍手が送られ、審査員が結果発表時に、先日話題になったアカデミー賞授賞式での作品発表まちがいをパロディするなど、笑いあり感動ありの閉会式となった。セレモニーの最後には、本映画祭プロデューサーの深津修一が「来年も必ず開催します」と力強く宣言。「みなさんの熱い思いがあれば、ゆうばり映画祭は永遠に不滅で続けていけると思います」と熱い言葉を述べ閉会が宣言された。授賞作は以下の通り。

【ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門】

・グランプリ『トータスの旅』 監督:永山正史

見事グランプリを獲得したのは、永山正史監督の『トータスの旅』。主人公は、妻を亡くし不登校の息子を抱え、ペットの亀だけを心の支えにしている次郎。ある日、音信不通だった兄とその婚約者が現れ、次郎と登と亀と共に、結婚式を挙げる島へ向かう珍道中が描かれている。永山監督にはトロフィーの授与とともに、副賞として次回作支援金200万円が贈られた。

≪監督授賞コメント≫
今回の映画をまずつくってみて、映画づくりは本当に迷惑な行為だとあらためて感じています。家族にもロケの先々でも迷惑かけるので、ちょっと自分をいかれさせないとできない行為です。でもゆうばり映画祭は、右を見ても左を見てもおかしな方が集まっていて、彼らと映画を観たり自分の作品を観てもらったり、楽しい時間を過ごしてすごくいい体験になりました。賞までいただいて本当に嬉しいです、ありがとうございました。

・審査員特別賞 『ベートーベン・メドレー』 監督:イム・チョルミン
・北海道知事賞 『はめられて Road to Love』 監督:横山翔一
・シネガー・アワード(批評家賞)『ストレンジデイズ』 監督:越坂康史
・スペシャル・メンション『堕ちる』監督:村山和也

≪審査委員長 内藤誠 コメント≫
今年はオフシアター・コンペティション部門に約500本の作品が応募されましたが、多数の中から作品を審査するというのは、あらためて大変なことを引き受けたなと思いました。私は23歳で東映に入ってから80歳まで、映画の周辺を生き抜いてきたのですが、デジタルというものが考案されてから、大勢の人が映画を撮れるようになって、仲間を集めて表現することが可能になったのは素晴らしいことだと思います。今年もお世話になっているみなさんや、あたたかく歓迎してくださる夕張市民のみなさんのおかげで、「仲間を集めて映画を撮る」ことの素晴らしさを感じ、この年になって本当に感動いたしました。

【インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門】

・グランプリ『M.boy』 監督:キム・ヒョジョン

・審査員特別賞『歯』監督:パスカル・ティボウ
・優秀芸術賞①『あたしだけをみて』監督:見里朝希
・優秀芸術賞②『タコ船長とまちわびた宝』監督:飯田千里
・優秀芸術賞③『Mizbruk』監督:ダニエル・デュランロー

授賞式後は囲み会見を実施。コンペティション部門審査委員長である内藤誠が、『トータスの旅』のグランプリ授賞理由について語った。「子供と動物が出ると映画は苦労が多い。しかし、本作は両方を淘汰する(劇中で登場する)亀と少年という難物をクリアしているし、音楽も良く、ほぼ満場一致で決定した」と明かした。グランプリを授賞した永山監督は、次回作の構想について「一つはドキュメンタリー。今まではフィクションで変な大人たちを描いていたが、実在する変な大人に密着したドキュメンタリーを撮りたい。それが今のところ有力ですね」と大勢のマスコミを前に、緊張した面持ちで語った。

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