『沈黙-サイレンス-』窪塚洋介「この時代を生きる秘訣が、この作品に込められている」

1月21日に日本公開されたマーティン・スコセッシ監督最新作『沈黙−サイレンス−』が、およそ65万人を動員する大ヒットを続けている。本作のロングラン上映決定を受けて、2月27日(月)、キチジローを演じた窪塚洋介が都内で舞台挨拶を行った

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フォーマルな装いで舞台に登場した窪塚は、惜しくも第89回アカデミー賞《撮影賞》受賞はならなかったが、ノミネートされたロドリゴ・プエルトについて、「賞はおまけみたいなもの、作品がどうなのかが一番大事」と語った。また、「一流の人たちとの仕事がどんなものか、史上最後の巨匠とも言えるスコセッシ監督を支えるチームの素晴らしさを思い知らされた。一流のアーティストやスタッフが揃うなか、ロドリゴさんのセンスや画角、ひらめきは素晴らしかったが、それ以上に誰よりも早く日本語を覚えようとしてくれたことがすごく励みになった。それは紛れもなく、スコセッシ監督が僕ら日本人に対して払ってくれた敬意そのものだった。その一役を担っていたのがロドリゴさん」と、撮影時のエピソードを披露。また京都の時代劇スタッフが撮影開始直前で美術を手直しし、江戸時代の民家に、なんとドアノブの付いたドアがあり、全部チェックして作り直したエピソードを披露。ゆえに、完成した本編では日本人が観ても全く違和感のない映像になっている。

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続いて、長崎を訪れた経験について聞かれると「隠れキリシタンの方々とお会いして、枯松神社をはじめいろいろと案内してもらいました。彼らに伝わるオラショというお祈りに一緒に参加させてもらったのですが、(弾圧下で隠れて信仰していたため)仏教のように手を合わせながら親指をクロスさせて十字を作っていたんです。それからお墓のところに小石がバラバラにおいてあって、お参りするときはそれを十字に並べて終わるとまたバラバラに崩すんです。“隠れキリシタン”というのは現代においては一つの宗派のようになっていて、彼ら独自の祈りのスタイルが確立されているんですね。この映画がきっかけで、いろいろな人々から注目が集まっていますと嬉しそうに話してくれました。もちろんそれは僕も同じで、この作品と出会ったことで大きな力をもらって、新しいステージに辿り着いたような気がしています」と、自らが演じた隠れキリシタンの人々との交流と、本作がもたらした影響について語った。

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今後の自身の活動について、昨年10周年を迎えた卍LINEは、ついさきほど会場でミュージックビデオの撮影を行ったと明かし、音楽方面でも充実した活躍を期待させるコメント。また、待機作『リタ・ヘイワ-スと手榴弾(仮)』については、「4月からクランクインだと聞いているのですがまだスケジュールが出なくて、騙されてるのかな、とまた思ったりしています。とりあえずヒゲだけは伸ばして準備しておこうと。こんな時代ですし、1年先に何があるかわかりませんが楽しんでいければと思っています。何があるかわからないこの時代を生きる秘訣といっては偉そうですが、その答えがこの作品にたくさん込められていると思いますので、皆さんそれをたっぷりと感じていただけたらと思います」と語り締めくくった。

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『沈黙-サイレンス-』
絶賛上映中
監督:マーティン・スコセッシ 原作:遠藤周作 撮影:ロドリゴ・プリエト 出演:アンドリュー・ガーフィールド リーアム・ニーソン アダム・ドライバー 窪塚洋介 浅野忠信 イッセー尾形 塚本晋也 小松菜奈 加瀬亮 笈田ヨシ
配給:KADOKAWA