【BD&DVDリリース!】 『ハドソン川の奇跡』を、私はこう観た

クリント・イーストウッド監督が’09年に起きた旅客機不時着水事故の顛末を映画化した『ハドソン川の奇跡』。同作のブルーレイ&DVDリリース/デジタル配信を記念した試写会が25日に開催され、トーク・ゲストとして映画コメンテーターの有村昆と、航空評論家の杉江弘が登場した。
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本作のストーリーは、2009年1月のNY、上昇中だった旅客機に鳥の群れが衝突し全エンジンが停止。機長のチェスリー・“サリー”・サレンバーガーはハドソン川に不時着することで乗員乗客155名全員の命を救うが、その判断を疑問視されることになる…というもの。

こうしたサレンバーガー機長の判断に対し、元日本航空機長でジャンボ機(ボーイング747)の飛行時間で世界一の記録を持つ杉江は、独自の視点から称賛を贈る。
「映画のような事態は、二重の意味で想定外だと言えます。鳥の大きさによってダメージは変わりますし、飛行機エンジンのメーカーも鳥に対する実験はしています。ところが映画のような大きさのカナダガンが、1匹ではなく群れで入ってきたらエンジンは止まってしまうんです。もうひとつ、この事故では2つのエンジンが両方ともダメになってしまった。どちらか片方が生きていれば上昇や着陸ができるんです。それが両方ともにダメになったときは、メーカーとしても保障できないわけです。
パイロットも、上空1万mを飛んでいるときに両エンジンが故障するようなシミュレーションの訓練はしますが、映画のように離陸後の上昇中で、高度も速度もない場合の対応にマニュアルや答えはないんです。もちろんやるべき操作はありますが、前提が違うわけです」

さらに鳥の衝突=バード・ストライクから着水まで、わずか208秒だった点にも注目する。
「ほとんどのパイロットは空港に戻ると思うんです。でもサレンバーガー機長はかなり早い段階でハドソン川(への着水)を選択肢のひとつに入れている。最後に追い詰められて川に着水したんじゃない。そこがポイントなんです。普段から地上でも、もし全エンジンがダメになったら…という場合を考えて研究していないとできないと思います。もうひとつ、トラブルが起きてすぐに補助電源装置をオンにしたことも、普段から万が一のことを考えていなければ、急にはできません」
現役時代には、鳥の被害から飛行機の安全を守るための連絡協議会にも参加していたという杉江氏ならではの重みのある解説だ。さらに同氏によれば、もしサレンバーガーのように判断できたとしても、全エンジンが止まった状態で機体をコントロールするのは非常に難しいことだという。

一方の有村昆は、イーストウッドのブレない創作テーマについて持論を述べた。
「イーストウッドは役者としても監督としても一流の、本当にレジェンドですよね。僕は彼を、〝Mr.アメリカ〟的に捉えることができると思うんです。イーストウッドの作品には常に光と影がある。『ダーティハリー』から『アメリカン・スナイパー』、『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』、そして今回の作品も。〝正義っていったい何? アメリカのジャスティスとは何なのか?〟っていう大きなテーマは、ずっと一貫していると思います」

ゲスト2人がそれぞれのフィールドから『ハドソン川の奇跡』の見どころを語る、熱いトーク・ショーとなった。

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キャストやスタッフが、イーストウッドの監督としての魅力について語る特別動画も公開中!

『ハドソン川の奇跡』ブルーレイ&DVD_JK写真
『ハドソン川の奇跡』 1月25日発売
【初回仕様】ブルーレイ&DVDセット(2枚組/デジタルコピー付) 3990円+税
【初回仕様】<4K ULTRA HD&2Dブルーレイセット>(2枚組/デジタルコピー付) 5990円+税

発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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