“無実の殺人者”たちの悲哀と誇りをユーモラスに描く人生賛歌『鉄道運転士の花束』予告編

カンヌ国際映画祭短編部門で審査員賞受賞経験もあるミロシュ・ラドヴィッチが監督を務め、バルカン地域の2大スター、ラザル・リストフスキーとミリャナ・カラノヴィッチの共演で贈る『鉄道運転士の花束』が、8月17日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

故意でなくとも何人もの人を殺してしまうという鉄道運転士を主人公に、“無実の殺人者”たちの悲哀と誇りを、深い愛情を持ってユーモラスに描いた本作。定年間近の鉄道運転士のイリヤは、現役中に28人を殺してしまったという不名誉な記録を持っている。イリヤが養子として迎えた19歳になる息子シーマは、家業である義父の仕事の後を継ぎ、人殺しになりたくないという恐怖を抱きながら無事故の運転を続け、ついにはその緊張感に耐えられなくなる。そんなシーマを助けるため、イリヤは自殺志願者の人々を探し出し、電車に轢かれてほしいと交渉するが、うまくいかない。他に良い方法が見つからないイリヤは、一人息子のために線路に横たわる。

■ミロシュ・ラドヴィッチ(監督・脚本) コメント
Q:この映画を作るきっかけは?
祖父が蒸気機関車の運転士でした。彼は“チャンピオン”と呼ばれていて、子供のころ私はこの祖父のニックネームがとても自慢でした。祖父の運転士としての技量と総合的な質の高さを示すと思っていたからです。並ぶ者なき最高の運転士だと確信していましたし…実際最高でした。ただし、運転の技量を除けば、です。というのも、彼は意図的でないにしろ線路上で殺してしまった人の数が最高だったのです、その数17でした。年を経て私は祖父のニックネームの意味を知ることになったのです。

Q:オリジナル脚本ですか?
そうです。セルビアにおける鉄道運転士の人生と不運な運命がベースです。無実の殺人と多くのアクシデントとともにある彼らの物語をどのように語ればいいのか、手がかりを見つけるまで5年以上かかりました。

『鉄道運転士の花束』
8月17日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本:ミロシュ・ラドヴィッチ
出演:ラザル・リストフスキー ペータル・コラッチ ミリャナ・カラノヴィッチ ヤスナ・デュリチッチ ムラデン・ネレヴィッチ ニーナ・ヤンコヴィッチ ダニカ・リストフスキー
配給:オンリー・ハーツ

【ストーリー】 60歳のイリヤ(ラザル・リストフスキー)は定年間近の鉄道運転士。現役中に28人を殺してしまったという不名誉な記録を持っている。イリヤが養子として迎えた19歳になる息子シーマ(ペータル・コラッチ)は、家業である義父の仕事の後を継ぐ準備をしている。そんな息子にイリヤは、事故は避けて通れないものだと折に触れて話す。シーマは人殺しになりたくないという恐怖を抱きながらも、初乗務から初殺人に至るまでどれくらいの時間がかかるのか気になって仕方がない。イリヤは「一週間のうちに一瞬で終わる」と励ます。運転士の業務についたシーマは、不安を抱き、汗をかき、夜も眠れなくなる。1週、2週、3週間と過ぎるが、シーマは無事故を続け、ついにはその緊張感に耐えられなくなる。そんなシーマを助けるため、イリヤは自殺志願者の人々を探し出し、高層ビルや橋から飛び降りる代わりに電車に轢かれてほしいと交渉する。「理解してくれ、青年の命がかかってるんだ!」と説得にかかるのだが、ぴったりだと思われた自殺志願者は生きる選択をしてしまう。他に良い方法が見つからないイリヤは、一人息子のために線路に横たわる。定刻よりかなり遅れ、ようやくシーマの運転する列車がやってくる…。

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