椎名桔平、来年の夢は「2020東京五輪のチケットを譲ってもらうこと!」「連続ドラマW 神の手」第1話完成披露試写会レポ

安楽死をテーマに、「人の死を人が扱う」という答えの出ない問題を提起した現役医師の作家・久坂部羊の同名小説を、椎名桔平主演で映像化した「連続ドラマW 神の手」が、WOWOWプライムにて6月23日より放送される。このほど、6月20日に東京・スペースFS汐留にて第1話完成披露試写会が行われ、椎名桔平、杉本哲太、鈴木砂羽、北村有起哉、兼重淳監督が登壇した。

苦渋の選択で患者・章太郎に安楽死を施す外科医・白川泰生役の椎名と、白川の同僚で医局制度に不満を持つ山名啓介役の杉本の付き合いは四半世紀を超えるという。椎名が「付き合いは30年くらいですね。Vシネマが全盛期の頃が最初かな。哲太君が主演で僕はまだ世に出ていなかった」と回想すると、杉本も「物凄い目つきの悪い男が来たぞ、と思った」と笑わせつつ「今回のドラマでは大学からの付き合いという設定だったので、プライベートでの長い付き合いの下地があったのでやりやすかった」と笑顔を浮かべた。

章太郎の母で著名なジャーナリスト・古林康代役の鈴木は「椎名さんとの共演は久しぶりだし、対立する役柄なので緊張した」と言うも「椎名さんは話せば話すほど打ち明ける人だと思い出して『飲みに行くんですか~?』とか聞いていたら、ジンギスカンの話をしてくれた。そこから笑顔が増えた。もっと食べ物の話をすればよかったなぁ」と思い出し笑い。それに椎名は「僕はそんなに久しぶり感はなかったですね。鈴木さんは明るい人なので、勝手に親近感を持っていました」と共演の印象を振り返った。

医療行政の改革を目的とした団体「JAMO」を設立した心臓外科医・新見偵一役の北村は「演じる上でイメージしたのはスティーブ・ジョブズ」と明かしつつ「実は撮影時期は5月の大型連休でした。全部そこに撮影が入っていたので『何が大型連休だ!』と思った」と笑い飛ばし、シリアスなドラマの内容とは裏腹の明るいエピソードを口にした。

また、ドラマの内容にちなんで「大きな選択・決断」を聞かれた杉本は「酒屋に行って1000円の赤ワインを買うか、それとも5000円のものを買うか…苦渋の選択を毎日していますよ」とニヤリ。最近駅から11分ほどの場所に引っ越したという鈴木は「傘を持つか、自転車で行くか、カッパを着るか、毎日その決断」と紹介し、北村は「この撮影現場で禁煙を破ってしまいました。ある意味良くない選択ですね」と苦笑い。

健康を意識しているという椎名は、自転車を買おうとしたことを大きな決断に挙げて「初志貫徹でマウンテンバイクにしようと思っていたけれど、最近の電動自転車の機能を聞いたら…電動自転車にしました!」と見事なオチをつけて爆笑をさらった。さらに、2020東京五輪の話題になると、1964年生まれの椎名は「自分の人生にとって二度目のオリンピックなので、観に行きたいですね。どうにかチケットをもらえないですかね?どの競技でもいいから行きたい。チケットを譲ってもらうこと、それが来年の夢です!」と他力本願な抱負。一方、北村が「オリンピックの開会式のセレモニーにはその国の一大絵巻がある。それには演劇関係者が出ると思うので、自分もそこに参加して戦国時代の武将をやってみたい」と役者としての関わりを期待すると、鈴木も便乗し「私は足軽役で」とボケていた。

最後に、兼重監督は「一日で撮るページ数も多くて、難しいセリフも多かったけれど、キャストの皆さんがしっかりやってくれて感謝しています」とシミジミ。主演の椎名は「みんなにとって、避けては通れない問題を突きつけるドラマです。しかしこれは是が非でも考えていくことが大事。どうやって最期を迎えるのか、私も親をみて考えました」と実感を込めて「難しいことですが、真剣な眼差しでドラマを見ていただくのが僕から望むことです。家族同士でも触れにくい問題だけれど、このドラマが家族間での有意義な会話を生むきっかけになれば嬉しい」と期待を込めた。

「連続ドラマW 神の手」
6月23日(日)よりWOWOWプライムにて放送スタート(全5話)
毎週日曜よる10時~放送 ※第1話無料放送
6月23日(日)11時00分~6月30日(日)夜10時00分まで、公式サイトおよびWOWOW公式YouTubeのオンラインで第1話無料配信
監督:兼重淳
原作:久坂部羊「神の手」(幻冬舎文庫)
脚本:田中洋史 幸修司
音楽:横山克
出演:椎名桔平 杉本哲太 鈴木砂羽 北村有起哉 星野真里 芦名星 葉山奨之 井上肇 坂井真紀 近藤正臣

【ストーリー】 主人公の外科医・白川泰生(椎名桔平)は、21歳の末期がん患者・古林章太郎(葉山奨之)を彼の育ての母で伯母の古林晶子(坂井真紀)が見守る中、苦渋の選択で安楽死させる。しかしその処置は、ジャーナリストで章太郎の母・古林康代(鈴木砂羽)によって告発されてしまう。そして、この告発をきっかけに安楽死法案の成立をめぐり医学界、政界、マスコミ、市民団体を巻き込んだ大騒動が巻き起こる。白川の同僚で外科医の山名啓介(杉本哲太)は、日本の医療改革を企てる団体JAMO(ジャモ)の会長・新見偵一(北村有起哉)と副会長・柴木香織(芦名星)とともに安楽死法案の成立を推進していく。さらに、その背後では元内閣総理大臣の佐渡原一勝(近藤正臣)らが暗躍。一方で康代を筆頭に、医師で安楽死法案「阻止連」の代理理事・大塚彰彦(井上肇)らが法案成立の阻止を図る。賛否両論の激しい論争の中で白川の発言は世論をも扇動し、彼自身も医師として人間として葛藤し苦悩する。そんな白川に、かつて同僚だった看護師の本村雪恵(星野真里)が同志として寄り添う。白川が最後にたどり着く未来とは。