役所広司「これほどのスケールは日本では体験できない」『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』上海国際映画祭イベント レポ―ト

過酷な条件下のエベレストを舞台に描く、役所広司主演、名プロデューサーのテレンス・チャンのタッグで贈る日中合作映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』が、11月より公開される。このほど、第22回上海国際映画祭にて、日本時間6月15日に上海オペラハウス(上海大劇院)でレッドカーペットイベント、6月16日にハイアット・ザ・バンドで記者会見が行われ、主演の役所広司、プロデューサーのテレンス・チャン、共演のチャン・ジンチュー、リン・ボーホン、ユー・フェイ監督が登壇した。

役所ら一同がレッドカーペットに登壇すると、会場はひと際眩いフラッシュに包まれた。初の本映画祭への参加となった役所は、感慨深い表情を浮かべながらカーペット上をゆっくりとした足取りで闊歩。多くの海外メディアが集う中、日本メディアに対して笑顔で手を振る場面も見られ、テレンス・チャンらと共に本映画祭ならではの雰囲気を楽しんでいた。登壇を終え、「上海国際映画祭は、“待つ映画祭”だと聞いていましたが、今年はスムーズだったようです(笑)」と振り返った役所。「僕たちの映画タイトルを始めて知っていただく機会ですから、皆で励まし合いながら頑張りました」と、主演としての責務を全うした充実感を見せ、会場を後にした。

翌日の記者会見では、こちらも200人を超える多くの海外メディアが集まり、会場は熱気に包まれた。“ヒマラヤの鬼”と呼ばれ、ヒマラヤ救助隊「Wings」を率いる隊長・姜(ジャン)を演じた役所が、開口一番、「役所広司です。今回、姜を演じました」と流暢な中国語で挨拶すると、場内は盛大な拍手に包まれた。本作のオファーを受けた時の心境について、「(出演の)お話しをいただいた際、脚本にテレンス・チャンというビッグネームがあったことに驚きました」と明かした役所は、脚本を読んだ当時の想いを振り返り、「これほどスケールの大きい作品は日本では体験できないと感じました」とコメント。「ぜひ、チャレンジしたいという気持で臨みました」と力強く語り、会場を沸かせた。
 
続いて、標高8848M/氷点下50℃という過酷な条件下の世界最高峰・エベレストを舞台に繰り広げられる、濃密なドラマに触れた役所は、「劇中、私が率いるヒマラヤ救助隊“Wings”は、72時間という厳しい制限時間の中で、あるミッションを達成しなければいけない。標高8848Mのエベレストは、登るだけでもたった72時間では厳しいのですが、劇中、我々のチームは、大自然の厳しさに耐えながら実際に登っていくんです」と、本作の見どころを力説。一方で、「私は隊長役ですが、わがままな隊員たちばかりで大変苦労しました。72時間苦労しっぱなしの映画です(笑)」と役としての苦労を吐露すると、会場は大きな笑いに包まれた。そんな役所に対し、中国で大ヒットを記録し第83回アカデミー賞外国語映画部門中国代表作品に選ばれた『唐山大地震』のヒロインで注目され、最近では『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などハリウッド超大作への出演も続くチャン・ジンチューは、「役所さんと組むのは、夢のコラボでした」と笑顔でコメント。Hey! Say! JUMPの山田涼介主演ドラマ「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件」や映画『オーロラの愛』に出演のリン・ボーホンも、「私の役はヘリコプターパイロットだったので、危ない場所での撮影などはありませんでした。なので、危険な場所で撮影をした役所さん、チャン・ジンチューさんは本当に尊敬します!」と役所らに賛辞を送った。

最後に、名匠テレンス・チャンとの初タッグに加え、国際色豊かなキャスト・スタッフらとの現場は多くの刺激もあったと語る役所は、「アジアの中で、映画を通して力を合わせて作品づくりをするというのはそう沢山機会はないと思うので、本当にいい機会をいただいたかなと思います」と充実した撮影期間を振り返り、日中合作ならではの本作の見どころを力強くアピール。盛大な拍手に包まれながら会見は終了した。

『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』
11月 全国公開
監督・脚本:ユー・フェイ
プロデューサー:テレンス・チャン
音楽:川井憲次
出演:役所広司 チャン・ジンチュー リン・ボーホン ビクター・ウェブスター ノア・ダンビー グラハム・シールズ ババック・ハーキー プブツニン
配給:アスミック・エース

【ストーリー】 ヒマラヤ周辺国家は地域の平和のため地域会議を開催し、“ヒマラヤ公約”を締結することに。会議開催前、機密文書の乗った一機の飛行機がエベレスト南部に墜落。その文書はヒマラヤ地区の得難い平和的局面を脅かす可能性のあるものだった。インド軍側が緊急で派遣した特別捜査官だと自称する二人の男、ヴィクターとマーカスは、ヒマラヤ救助隊“Wings”を探し出し、エベレストに登って機密文書を取り戻す手伝いを依頼する。その依頼に懸念を覚えるWings隊長・姜(役所広司)だったが、隊は深刻な財政難に陥っていたため、再三迷った後、エベレストガイドの任務を引き受ける。しかし、過酷な雪山の頂・デスゾーンで待ち受けているものが何かを知る者はいなかった。かつてエベレストで遭難した恋人の遺体を探し出すためにWingsに入ったシャオタイズー(チャン・ジンチュー)の無謀ともいえる行動に、亡くした娘を見るような思いに駆られつつ隊長の姜はヘリパイロットのハン(リン・ボーホン)らとともに世界最高峰を登り始める。様々な思いと世界規模の陰謀がからまり、物語は思わぬ方向へ…。

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