桜田通「映画を見た後で自分の中に灯がともるような作品」『ラ』ヒット御礼舞台挨拶レポート

映画、ドラマ、舞台のみならずミュージシャンとしても活躍中の桜田通が主演を務める映画『ラ』が4月5日より公開中。このほど、4月27日にTOHOシネマズ 川崎にてヒット御礼舞台挨拶が行われ、桜田通、福田麻由子、高橋朋広監督が登壇した。

普段はTOHOシネマズのヘビーユーザーと語る桜田。開口一番「もう今日は『アベンジャーズ』と『キングダム』の話をしようかなと」など笑いを誘いながら、「監督をはじめ自分たちが頑張ったということもありますが、やっぱりたくさんの方が本作を愛してくださり、いろんな人が見てくださって広まっていった形の一つの到達点だと思うので、すごく嬉しい。感謝しています!ありがとうございます!」と感謝を述べた。福田も本作を感慨深く振り返り「みんなで作り上げたといえる作品が、ここまでたどり着けたのはとても夢があるなと思いました。これから私たちが仕事をしていく上でも、力になる1日だと思っています」と力強い言葉で挨拶をした。桜田、福田の二人にも増して、喜びの声を上げた高橋監督は、「メチャメチャ嬉しいですね!ここまで来られたことも嬉しいし、もう感謝しかない。この作品を受け入れてくれて、愛してくれて本当に嬉しい。もっと奇跡を見たいなとも思っています。ありがとうございます!」と胸いっぱいな様子だった。

この日はストーリーの中でも大きなポイントの一つとなる慎平とゆかりとの関係、そしてそれを演じた桜田、福田のリハーサルや撮影当時の心境を振り返った。ゆかりを演じた福田に対し桜田は、「一番現場で得体が知れなかったんですよ、福田さんが」と意味深な一言。「リハーサルやテストの通りに演じるのですが、本番に入ってくるゆかりの気迫みたいなものが…その時に、僕が慎平として抱いていた恐怖というか。“この人は、自分に対して、愛の底が見えないくらい深くまである”と思わせるような気持ちにさせられて」と、役者・桜田が福田の演技に、同じように、慎平としてゆかりという女性の愛に恐れを抱いていたことを回想した。そんな桜田の様子に関して高橋監督は「昼間に黒やん(笠松)とのシーンを撮影、夜にゆかりとのシーンを撮影と重いシーン撮影が続いた時、移動中に“は〜っ”と沈んでいたよね」と当時の様子を暴露し、会場を沸かせていた。

部屋のシーンが多かった福田からは、劇中に映し出される様々な情景に「私もあの綺麗なロケーションで撮影したかった」と本音をこぼした。そして、本作で出産シーンがある福田に対して桜田は、「出産シーンの後、福田さんがすっきりした表情を見せていたじゃないですか。ちゃんとカロリーを消費している!すごいな!って思いました。撮影のはずなのに、本当は撮影じゃないのではないかと思わせられたくらいでした」と、福田が演じた出産シーンのリアリティに驚いたエピソードを明かした。

観客からの質疑応答コーナーでは、「もし慎平とゆかりの家族が10年後に(まだ)いるとしたら、どんな家族になっていたか?」と質問され、福田は「すごく暗い話にも見える時がありますが、一方では、すごく希望にあふれた話に見えることもあります。その時々によって見え方が違う映画なんです。ゆかりに関しては、慎平くんと子供への愛情が薄れるということはないと思いますし、子供ができたことで、慎平から一つ自立できたのではないかと思います。自立とともに、慎平くんとコミュニケーションがとれていたらいいですね」と答えた。

最後に高橋監督は「もっともっと『ラ』の音が広がっていけばいいなと。メインの3人だけじゃなく、役者全員が本当に頑張ってくれた。その中で特にあれだけ魂を込めてやってくれた3人の人生を、もっといろんな方に見ていただければと思います」と話し、福田は「大人になると、結果にならないことをやるとすごく馬鹿にされることって多いと思うんですよね。好きな人や仕事などいろんなことをあきらめてしまう人は多いのではないかと思います。でも、好きなことをやって、好きな人を追いかけて何が悪いのかな?と思うし、その気持ちがあるからこそ、その時幸せに感じることができるし、その思いは大切な感情だと思います。だから、皆さんの中にある“好き”という気持ちを大切にして、この映画を見たことで、綺麗な形で大切な気持ちが心の中に残ってくれたらいいなと思います」と語った。桜田は、「(この映画の登場人物は)すごくリアルなところが描かれているから、この作品から学んだことはものすごく多いです。自分の人生を真っ直ぐ、今を大事に生きてもらえるように、映画を見た後で自分の中に灯がともるような、暖かくなれるような作品になってほしいという思いを込めながら、自分は慎平を演じさせていただきました。たくさんの方に見ていただけることを嬉しく思います」と、改めて感謝の気持ちを言葉にして作品をアピールした。

『ラ』
4月5日より公開中
監督・脚本・編集:高橋朋広
音楽:クボナオキ
エンディング曲:SILENT SIREN「REBORN」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
出演:桜田通 福田麻由子 笠松将 清水尚弥 キンタカオ 連下浩隆 ヒカルヤマモト 十枝梨菜 一色絢巳 古沢一郎 小野和子 佐津川愛美 ダンカン 西田尚美
配給:アークエンタテインメント

【ストーリー】 1年前、ある出来事を機に解散してしまった音楽バンド「LACTIC ACID」。ボーカルだった主人公・慎平(桜田通)はバンド再結成を夢見て、恋人・ゆかり(福田麻由子)から“あるもの”と引き換えに、お金をバックアップしてもらっている。音信不通だった元バンドメンバーで元親友の黒やん(笠松将)を誘い再結成の夢が動き出し、失われた友情も取り戻していく。だがすっかり変わってしまった黒やんに、慎平は振り回され始める。同じ頃、ゆかりとの関係にも変化が訪れ…。若き3人の男女がぶつかり合い苦悩し、人生の転調を繰り返しながら辿り着く現実とは?

© 2018年 映画『ラ』製作委員会