柴咲コウ「なにかを言うことが罪になる社会にはなってほしくない」 「連続ドラマW 坂の途中の家」舞台挨拶付きイベントレポート

「紙の月」、「八日目の蟬」といった代表作で知られる角田光代の“家庭に潜む究極の心理サスペンス”と賞賛された小説を、柴咲コウ主演で映像化するヒューマンサスペンス「連続ドラマW 坂の途中の家」が、4月27日よりWOWOWプライムにて放送開始される。このほど、4月23日にユナイテッド・シネマ豊洲にて舞台挨拶付きイベントが行われ、柴咲コウ、田辺誠一、伊藤歩、眞島秀和、水野美紀、サプライズゲストに子役の松本笑花が登壇した。

無意識に娘の子育てにストレスを感じていた専業主婦の里沙子を演じた柴咲は、「無我夢中で脚本を読んで、あっという間に読み終わってしまった。内容の濃い、テーマ性のある作品に関われた思い。皆さんに観てもらえることが嬉しい」とコメント。また、演じた里沙子に関しては「共感する部分と反する部分がある。私自身はものをはっきりと言ってしまうタイプ。口に出せないもどかしもあるんですけど、言わないと始まらない」と述べつつ、「相手の反応を見てしまったり、空気を読みすぎる部分もある」と自身について語った。

母親の経験をしたことがないという柴咲は、母親像を膨らませつつ演じたと言うが、「子供がいるから、家族がいるから豊かだとか、幸せだとかは一概に言えない。閉ざされた空間で巻き起こる一喜一憂がたくさんあることを感じながら」役を演じ切ったことを明かした。

里沙子の夫役の田辺は、本読みをした時の“空気”について触れ、「すごい本だね…って、暗黙でこれからこれを撮るんだ」と思ったそうで、自身の役については「ひどい。柴咲さんにいつもひどいことを言う」と苦笑い。柴咲は「そんなことないですよ(笑)」と否定したが、田辺は「無自覚に人を傷つける役」と自身の役を分析した。

水野演じる水穂の夫役を務めた眞島は、劇中でインタビューに答えるシーンやワイドショーのシーンをあげ、「その人物をあまり知らないのに、ある瞬間の顔を見て、『きっとこういう人』と答える。その人達の受け答えにとても違和感を感じた」と語った。

イベントの最後にはサプライズで登場した子役の松本笑花から花束を受け取った柴咲。最後に柴咲は「なにかを言うことが罪になる社会にはなってほしくない。皆さんもなにか考えるきっかけになれば嬉しい」と作品に込めた思いを述べてイベントを締めくくった。

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「連続ドラマW 坂の途中の家」
4月27日(土)より、WOWOWプライムにて放送開始(全6話)
毎週土曜よる10時~放送 ※第1話無料放送
監督:森ガキ侑大
原作:角田光代「坂の途中の家」(朝日文庫刊)
脚本:篠﨑絵里子
音楽:山口由馬
主題歌:柴咲コウ「silence」
出演:柴咲コウ 田辺誠一 伊藤歩 眞島秀和 桜井ユキ 松澤匠 松本笑花 西田尚美 倍賞美津子 高畑淳子 佐藤めぐみ 滝沢沙織 利重剛 酒井美紀 光石研 風吹ジュン 水野美紀

【ストーリー】 山咲里沙子(柴咲コウ)は、三歳の娘・文香と夫・陽一郎(田辺誠一)と三人で平穏な日々を送っていた。そんな時、裁判所から刑事事件の裁判員候補者に選ばれたという通知が届く。対象となる事件は、里沙子と同じ年頃の専業主婦の母親・安藤水穂(水野美紀)が、生後八ヶ月の娘を浴槽に落として虐待死させたという衝撃的な事件だった。裁判所での面談を経て、里沙子は、裁判員の誰かが急病などで欠席せざるを得ないとき、代わりに裁判員を務める「補充裁判員」に選ばれた。同じ子供を持つ母として、我が子を殺めた水穂に嫌悪感を抱く里沙子だが、裁判の開廷後、徐々に安藤水穂という被告自身の境遇に自らの過去の記憶を重ねていくことになる。家庭という密室で、夫婦、そして親子の間で交わされた言葉は、時に刃物のように突き刺さることがある。里沙子はやがて自身の心に眠っていた混沌とした感情に惑わされていく―。

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