水谷豊、神戸をロケ地に「電話1本で決めた」『轢き逃げ -最高の最悪な日-』神戸凱旋舞台挨拶 レポート

水谷豊が『TAP -THE LAST SHOW-』(2017)に続きメガホンをとり、脚本と出演を兼ねる監督2作目となる最新作『轢き逃げ -最高の最悪な日-』が、5月10日より公開される。このほど、4月22日に映画のロケ地となった神戸の神戸新聞松方ホールにて凱旋舞台挨拶が行われ、キャストの中山麻聖、石田法嗣、小林涼子、檀ふみ、水谷豊監督、会田正裕撮影監督、テーマソングを担当した手嶌葵が登壇した。

MCの呼び込みで一同が登壇すると、満席の場内からは割れんばかりの拍手が起こった。冒頭の挨拶で、主演の中山は、「この街で生まれた作品を神戸の皆さんの前で上映できることを1年前から待ち遠しく思っていました」と神戸でのロケに思いをはせながら喜びを表現。一方、「緊張しいなので」と話す石田は、挨拶で噛んでしまう場面も。そんな石田を舞台上で弄る中山。二人の姿は、映画の秀一と輝そのものだった。

最初に、なぜ神戸をロケ地に選んだのかという質問に対して、水谷監督は「ある地方都市を探しているときに、会ちゃん(会田撮影監督)との電話で提案されて、その電話1本で決めて、神戸をイメージして脚本を書いたんです」と明かした。一方で、その電話で神戸をロケ地に提案した会田撮影監督は、「一番決め手になったのは、元港(もとこう)の中古レコード屋さんに水谷豊のLPがあったこと」と冗談を飛ばしつつ、神戸の街並みが水谷監督の話す世界観とぴったりだったから、と話した。

また、テーマソング「こころをこめて」を「歌詞もメロディもとてもやさしかったので、見てくれるお客さんに寄り添えるように」歌ったという手嶌について、水谷監督は、「手嶌さんしかイメージできなかったから、断られたらどうしようと、始まるまでが僕のサスペンスでした(笑)」と話した。

檀は、初めての水谷組の感想を聞かれると、「まだ水谷組は2度目なので…(笑)。これからは毎回出ようと思っています!監督お願いします!」と水谷監督に猛烈にアピール。また、水谷監督を「天才!世界中の監督に見習ってほしい」と大絶賛し、水谷監督が「穴があったら入りたい」と照れ笑いする場面も。

撮影中の神戸での過ごし方に話が及ぶと、中山、石田、小林は、オフの日に出かけた先のお土産をホテルの互いの部屋のドアノブに掛け合っていた、という貿易(?)エピソードを披露。そのことを知っていたかと聞かれた水谷監督は、「僕の部屋にはかかってませんでしたよ」とウィットのきいたジョークをチクリ。会場を爆笑に包んだ。

最後に、水谷監督は、次の構想はあるか、と聞かれると、「60代のうちに3本撮りたい」と、『TAP THE LAST SHOW』、そして『轢き逃げ -最高の最悪な日-』に続く次回作への期待が高まるコメントを残し、舞台挨拶は終了した。

『轢き逃げ -最高の最悪な日-』
5月10日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:水谷豊
音楽:佐藤準
テーマソング:手嶌葵「こころをこめて」(ビクターエンタテインメント)
出演:中山麻聖 石田法嗣 小林涼子 毎熊克哉 水谷豊 檀ふみ 岸部一徳
配給:東映

【ストーリー】 ある地方都市で起きた交通事故。一人の女性が命を落とし、轢き逃げ事件へと変わる。車を運転していた青年・宗方秀一(中山麻聖)、助手席に乗っていた親友・森田輝(石田法嗣)。二人は秀一の結婚式の打ち合わせに急いでいた。婚約者は大手ゼネコン副社長の娘・白河早苗(小林涼子)。悲しみにくれる被害者の両親、時山光央(水谷豊)と千鶴子(檀ふみ)。その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎(岸部一徳)と新米刑事・前田俊(毎熊克哉)。平穏な日常から否応なく事件に巻き込まれ、それぞれの人生が複雑に絡み合い、抱える心情が浮き彫りになっていく。彼らの心の奥底に何があったのか?何が生まれたのか?その悲劇の先に、彼らは何を見つけられるのか?

Ⓒ2019映画「轢き逃げ」製作委員会