長嶋一茂「偏見を持つトランプ大統領が観るべき」、石原良純「部屋がおじさん臭い」『グリーンブック』おじさん試写会レポート

1960年代のアメリカを舞台に、人種差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストと、粗野で無教養のイタリア系用心棒兼運転手の旅を描く、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの共演で贈る映画『グリーンブック』が、3月1日より公開される。このほど、2月19日にブロードメディアスタジオ試写室にて、一般のおじさん50名によるおじさん試写会が行われ、本作の宣伝隊長である石原良純と長嶋一茂が登壇した。

本編終了後、観客であるおじさん達の感動冷めやらぬ中、石原良純と長嶋一茂が本作のポスターでも印象的な、車の書き割りを持ってドライブ風に登場。書き割りの車に仏頂面の長島に、「一茂さんが機嫌悪くなるから〜!」とフォローする石原と、冒頭から息のあった様子を見せた。約50名のおじさんを前に石原は、「部屋の雰囲気がおじさん臭いですね」と、早速笑顔で毒を吐いた。

この日は、石原が主人公で用心棒のトニー、長嶋が天才ピアニストのドクターをイメージした衣装ということで、「ミスキャストだよ!武闘派は一茂さん!」と猛抗議すると、長嶋は「天才でピアニストっていうのがいいよね。クレームは先に言わないと」と自身の役どころにご満悦。石原は「殴り合ったら負けるよ、絶対。どっちかというと守ってもらうのは僕だから」と笑いを交えながら愚痴が止まらない。そして、アカデミー賞大本命といわれている作品の宣伝隊長に選ばれたことについて石原は、「おじさんの映画をおじさんが宣伝して大丈夫なのかな。友情の話だから、おじさんにこだわらないほうがいいんじゃないかな」と、本作が年齢に関係なく楽しめる映画であることをさりげなくアピールした。

過去、アメリカに住んでいたことのある長嶋は、「1960年代の白人と黒人の友情という物語にびっくりした。当時は野球場にも黒人専用観客席があった時代。今の感覚とは全然違う」と、トニーとドクターがただ仲良くなるだけではない物語の深さについて語った。そして“友情”について「この映画には信用とか信頼とか、今の時代に欠けているフレーズがある。この歳になると新たに友達を作りたいとは思わないけれど、距離感とかを再考する必要があるのかなと思った。良純さんは仕事と割り切っている部分もあるし」と長嶋節で、最近の石原との“仲良し”イメージをばっさり。石原も、「僕たちは同業者なので、一緒に山を登っている感じ。途中で一緒になることもあるけど、バディを組んでるわけではない。楽しそうにやってるな、とそれぞれのやり方を認め合える関係」と、大人の友情に大切な距離感について述べた。

そして、本作が主人公トニーの息子であるニック・バレロンガが企画をしているということで、もしもそれぞれの父親が映画化された場合のキャスティングについて問われると、二人とも急に無言に。石原慎太郎を演じるキャストについて長嶋が「あなたがやればいいんだよ。こっちは野球が下手な人は無理だから。あ、あなたがやればいいんだよ」とまさかの無茶振り。石原が「いやいや!キャッチボールがひどいから」と答えると、じゃあ「無理だな」とあっさり撤回。結局キャスティング案は出なかったものの、「誰も当てはまらないから慎太郎であり、茂雄なんです」と長嶋が父たちの偉大さについて語った。

最後に、24日(米国現地時間)に発表となるアカデミー賞授賞式の予想を聞かれ、石原は「作品賞にノミネートされた部分は、歴史的背景とか楽しいストーリーとか、いろんな要素がうまいこと配分されてるってことなんだろうね」、長嶋は「もちろん作品賞を獲ってほしい。獲れるものなら!」と回答。宣伝隊長就任時に撮影したCMの現場では、「作品賞は『ボヘミアン・ラプソディ』!」と答えた二人だったが、石原は「特定の作品は挙げません(笑)!絶対に誰もがじわっと心温まって、人と触れ合いたくなる映画です」、長嶋は「これさ、トランプ大統領は観たのかな。偏見を持ってるから、大統領が観るべきですよ」とコメンテーターらしく鋭い意見を入れつつ、「SNSで友達が1,000人いるとか否定はしないですが、触れ合って、寝食を共にして、そこから得られるものはネットからは無理。人間と人間はこんなに熱い血が流れているんだというところを若い人にも観てほしい」と、宣伝隊長として本作を応援するコメントで締めた。

併せて、本イベントをもって、石原良純と長嶋一茂が出演するTV CMがお披露目となった。本編と同様の車に乗った石原と長嶋が本作について語り合うものの、ハイテンションな石原と、ひたすらボヤキ続ける長嶋のズレた会話がジワジワと笑いを呼ぶ、まさに本作のトニーとドクターを彷彿とさせるCMとなっている。


▲15秒バージョン


▲WEB限定ロングバージョン

『グリーンブック』
3月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ リンダ・カーデリーニ
配給:GAGA

【ストーリー】 1962年、差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)を用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに正反対のふたりは旅を始めるのだが…。

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