第71回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞!アリーチェ・ロルヴァケル監督最新作『幸福なラザロ』予告編

カンヌ国際映画祭グランプリ作『夏をゆく人々』など、長編監督作の全てがカンヌに出品されてきたアリーチェ・ロルヴァケル監督の最新作であるイタリア映画『幸福なラザロ』が、4月19日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

2018年の第71回カンヌ国際映画祭にて、パルムドールを受賞した『万引き家族』と共にコンペティション部門で話題をさらい、見事脚本賞を受賞した本作。時は20世紀後半。純朴なラザロと村人たちは、小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され、社会と隔絶した生活を強いられていた。ところが夫人の息子が起こした誘拐騒ぎをきっかけに、村人たちは初めて外の世界へ出て行くことになる。

ロルヴァケル監督は、イタリアで実際にあった驚愕の詐欺事件を知った驚きをきっかけに本作を構想、主人公となるラザロを誕生させた。ラザロとは、キリストの奇跡によって死後4日目に蘇生する聖人で、ゴッホ、レンブラント、カラヴァッジョ、ルドンなども描いてきた存在。本作のラザロは立派な英雄でもなければカリスマ性もないが、シンプルに生きるその姿が衝撃的だ。本作はNYタイムズの2018年ベスト映画の5位に選出されるなど海外メディアからも高い評価を得ており、昨年秋の北米公開前には、本作を鑑賞した映画監督のマーティン・スコセッシがロルヴァケル監督の才能を絶賛し、映画完成後という異例のタイミングながらプロデューサーに名乗りを上げた。

主人公ラザロを演じるアドリアーノ・タルディオーロは、公立高校在学中に監督によってスカウトされ、1,000人以上の同年代男子の中から発掘された新星。それまで全く演技経験はなかったが、その無垢な瞳は見る者の心を溶かし、まさに現代に蘇ったラザロを体現し圧倒的かつ鮮烈な印象を残す。そのほか、イタリア映画界を代表する女優で監督の実の姉であるアルバ・ロルヴァケルが『夏をゆく人々』に続いて出演。侯爵夫人を『ライフ・イズ・ビューティフル』などで知られる女優ニコレッタ・ブラスキが演じる。

ロルヴァルケル監督は、本作製作のきっかけになったイタリアで実際に起こった農民達の隔離や労働搾取という驚愕の事件について、「歴史的な転換期に乗り遅れてしまったこの農民たちの物語に、私はずっと心を動かされてきました。この新聞記事は次の日には忘れられてしまうようなニュースです。壁に貼られた記事はすっかり日焼けし黄ばんでも、この記事だけが、世界が崩壊したこと、そして彼らが置き去りにされたことを示す記録だったのです」と、長く感じ続けていた衝撃について紹介。また、本作のテーマを「この映画が伝えるのは、この世で生きていく上で、誰のことも疎まず、人を信じ切ることの尊さです。生きていく方法は他にもあると思い込み、善なる生き方を拒み続けている私たちに、その事実を突きつけるのです」と語った。

併せて、ラザロが絵本の世界に迷い込んだかのような印象的な海外のアートワークを採用した特製イラストポストカード付き前売券(税込1,500円)が、Bunkamuraル・シネマほか本作の一部の上映劇場にて発売中。 ※ポストカードは限定数・先着順

『幸福なラザロ』
4月19日(金)よりBunkamuraル・シネマ他全国順次公開
監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル
出演:アドリアーノ・タルディオーロ アニェーゼ・グラツィアーニ アルバ・ロルヴァケル ルカ・チコヴァーニ トンマーゾ・ラーニョ セルジ・ロペス ニコレッタ・ブラスキ
配給:キノフィルムズ 木下グループ

【ストーリー】 時は20世紀後半、社会と隔絶したイタリア中部の小さな村。純朴なラザロ(アドリアーノ・タルディオーロ)と村人たちは領主の侯爵夫人(ニコレッタ・ブラスキ)から小作制度の廃止も知らされず、昔のままタダ働きをさせられていた。ところが夫人の息子タンクレディ(ルカ・チコヴァーニ)が起こした誘拐騒ぎをきっかけに、前代未聞の労働搾取の実態が明るみとなる。ついに村人たちは恐る恐る外の世界へ出て行くが、ラザロだけは…。

©2018 tempesta srl ・ Amka Films Productions・ Ad Vitam Production ・ KNM ・ Pola Pandora RSI ・ Radiotelevisione svizzera・ Arte France Cinema ・ ZDF/ARTE