【全起こし】トム・クルーズとエドワード・ズウィック監督が池松壮亮と13年ぶりの再会! 『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』来日会見

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(左から)トム・クルーズ、池松壮亮、エドワード・ズウィック

MC:『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の来日ゲストをお呼びしましょう。大きな拍手でお迎えください。まずは、ジャック・リーチャーを演じましたトム・クルーズ! 続いて本作でメガホンをとりましたエドワード・ズウィック監督! どうぞよろしくお願いいたします。ようこそ日本にお越しくださいました。トム・クルーズさんは1年と少しぶりで、エドワード・ズウィック監督は9年ぶりに来ていただきました。それでは、さっそくご挨拶いただきたいと思います。トム・クルーズさんです。

トム:今日はおいでくださいまして本当にありがとうございます。日本にまた来られて名誉に思っております。特に今日は『ラスト サムライ』でもご一緒したエドワード・ズウィック監督と日本で皆さんとお目にかかれたことを非常に名誉に思っております。本当にありがとうございます。すばらしい経験をさせていただいております。

MC:また日本に来ていただいて本当に嬉しいです。では9年ぶりに来日くださいました、エドワード・ズウィック監督お願いします!

監督:私も本当に特別に嬉しく思っております。『ラスト サムライ』で来日した“あの瞬間”というのは、プロとして、個人的にも非常に大切な瞬間でした。また、トムと僕自身にとっても、2人で築いた作品でしたし、再びタッグを組む作品を見つけるまでにはちょっと時間がかかってしまいましたけれども、日本に『ラスト サムライ』を持ってきたあの思い出は一度も忘れたことはありません。それほどに、我々のキャリアの中でとても重要だったわけで、こうやって再びまた新しい作品で日本に伺えて嬉しく思っております。

MC:それでは私から代表質問を3つだけさせていただきます。トム・クルーズさんに最初にお伺いしたいと思います。1作目の邦題が『アウトロー』でした。今回の『ジャック・リーチャー~』との共通点というのはどんなところでしょうか。

トム:日本で『アウトロー』というタイトルが付いていたことは知りませんでした。今回『ジャック・リーチャー~』になったことは嬉しいです。原作者は英国人ですが、主人公はアメリカ人という設定のシリーズです。このキャラクターも原作も大好きですが、こういうクラシックの小説というのはどの文化にもあるわけで、日本でいうと一匹狼的なものですね。『用心棒』のシリーズは大好きであのキャラクターを演じた俳優も好きです。あとは『シェーン』とかイーストウッドの『ダーティハリー』といった作品が定番的にあり、その中の一環として『ジャック・リーチャー~』もあります。リーチャーは非常にユニークな人物で、強い道徳心を持っているところが彼の特徴だと思います。

監督:ちょっと付け加えさせていただきますと、“アウトロー”という言葉は日本語に置き換えるならもしかしたら“浪人”というふうに申し上げると分かりやすいのかなと思います。『ラスト サムライ』と『ジャック・リーチャー~』は、そういう意味では何かつながりがあるのではないかと思います。ジャック・リーチャーというキャラクターは、自分がそもそも機関の中心であったにもかかわらず、今はそこから離れそして一人でさまよいながら非常に自立した存在として自分なりの道徳観、ルールを持って行動する男で、そういった意味では『ラスト サムライ』と対になる作品と考えております。

MC:そうですよね。お2人は『ラスト サムライ』以来13年ぶりにご一緒されてみて、いかがでしたか?

トム:嬉しいです。本当に良い関係です。ズウィック監督は素晴らしいフィルムメーカーで、キャラクターづくりも物語の語り口も素晴らしい技術を持った監督です。いろんな人間の視点から物語を語っていくというのが彼の特徴的な映画づくりはないかと思います。人間の感情を非常にうまく表わしてくれる。そして物語に敬意を持って語るというそういう姿勢を保ってらっしゃいます。そういう意味でも『ラスト サムライ』との共通点というのを私は強く感じています。

監督:2人にとって、あの時始めた会話が、まったく時間を隔てることなく、その続きをしているような感じがしました。それほどに当時の2人の関係性やエネルギーというものにすぐに立ち戻ることができたと思います。トム・クルーズさんというと、どの監督も一緒に仕事をするのは夢であるとおっしゃいます。それは彼の才能や名声ばかりでなく、映画づくりというプロセスに彼がもたらしてくれるものを経験したいからだと考えています。それは100%のコミットメントを、そのシーンでありアクションでありストーリーテリングスにもたらしてくださる。そして何よりも映画づくりというものに対する愛が、スタッフ&キャスト全員に広がって伝染してきます。それは共演したコビー(・スマルダース)もダニカ(・ヤロシュ)も同じだったと思いますし、こうやって映画づくりに携われるその喜び、なんて私たちは恵まれているんだという喜びは、トムに端を発し皆に伝染していった、そんな現場でした。

MC:ありがとうございます。監督に伺います。このシリーズにズウィック監督が関わるというのはすごく嬉しかったんですが、今回監督されてみて特に意識して盛り込んだことですとか、前作と異なる要素はどんなところでしょうか。

監督:私にとって重要だったのは、シリーズの1本であるということと共に、独立した作品として楽しんでいただけるものをつくるということでした。トムも1本目の監督のクリストファー・マッカリーも、最初にお話をしたときに、「自分たちはこういう作品をつくり、こういうキャラクターたちを映画ファンにまず紹介した」と、「あなたはこの作品に何をもたらしたいですか?」と、とても寛大に聞いてくださったんですね。原作者のリー・チャイルドは19冊もこの「ジャック・リーチャー」シリーズを執筆していますけれども、今回選んだこの本というのは、キャラクターの深みのある本でもあり、もしかしたら1本目の作品では時間もチャンスもなかった掘り下げができるのではないかというふうに思い、そういう部分を意識してつくりました。ですから本作『ジャック・リーチャー~』はアクションとかワクワク感とか、1本目の『アウトロー』に詰まっていたものはもちろんすべてキープしつつ、さらにリーチャーの周りの人間関係を掘り下げるということを目指しました。

MC:本当に、人間ドラマも素晴らしい作品でした。では今日は記者の方々がたくさん来ていただいていますので質疑応答に移ります。

Q:お2人に質問です。トムさんは22回目、監督はお久しぶりの来日ですけど来日の際に楽しみしているもの、お気に入りのものなどありましたら教えてください。

トム:もちろんプレミアに出たり記者会見をしたりするのも楽しみです。ホテルはいつも見晴らしがいいところで、東京の夜景が見えるのが本当に素晴らしくて、東京はライトが美しく、昨日の午前1時に到着したんですが、そこから街に入っていくと夜景が素晴らしくてさすが東京という感じでした。それに人々も素晴らしく日本の方はスペシャルだと思います。食べ物がおいしいし友人もおりますし、それが楽しみです。とにかく東京が大好きです!

監督:前の滞在中にたくさんの友達をつくることができて、何人かの方にはアメリカにいるときにもお会いすることもできたんですが、再会できることが大きなご褒美でもあり、今夜、そして明日、再びいろんな方にお会いしたいなと思っています。またそれと同時に、以前長く滞在したときに博物館や美術館に行きました。また歴史の研究家の方に日本庭園などでお話を伺ったりとか、物書きの方や脚本家の方にお会いしているんですね。自分のクリエイティブな人生にとって大きな意味がある場所、それが日本です。あの時のことをまた思い出しました。

トム:僕もまさにそうです。私はいろんな国を巡りますが、ファンからサインを求められたときに必ず『ラスト サムライ』のものがあります。そのくらい世界中の方々に観てもらっている作品で、あの役柄や自分が経験したことは本当に尊いことになっています。映画はその国の文化や国民を世界に伝える素晴らしい道具です。参加したすべてのスタッフ&キャストによってああいう映画ができたと思います。あの作品をつくれた日本に戻って来れるのは私にとって非常に意味のあることです。ブラジルでも皆、『ラスト サムライ』の写真などにサインを求めて持ってきてくれて本当に誇りに思います。そういう場面に直面すると、この仕事をしていてよかったと本当に思います。文化を勉強する、本当の娯楽を人々に伝えるという喜びを感じます。ズウィックを人間としても尊敬しますし、フィルムメーカーとしても大尊敬しています。とても面白い生き方をしていらっしゃる。そういう彼が考えていることを世界でシェアしているというのは素晴らしいことです。

MC:ありがとうございます。明日のプレミアもファンの方がお2人の来日を喜ばれると思います。それでは続いてご質問ありますか。

Q:ジャック・リーチャーは常に先を予測する男ですが、この映画を観た日本のファンがどんな反応をするか、トム・クルーズさん、予測していただけますか? 派手なアクションを期待しているファンも多いと思います。

トム:アクションもさることながら感情面のドラマやユーモアにも驚かれると思います。それがズウィック作品の特徴でしていろんなものを与えてくれます。物語を楽しみながらアクションが出てくるわけですけれども、アクションそのものも非常に面白いので驚くと思います。ジャック・リーチャーはそこがいいんですね。予期せぬ行動に出る男で、人間味があり非常に直進的に行動する男です。

MC:ありがとうございました。では続いてご質問ある方。

Q:ズウィック監督に質問です。これまでシリーズものの作品を監督していないと思いますが、今回このシリーズ作品の監督を受けようと思った理由をお聞かせください。

監督:運が良かったんです、オファーしていただいて。映像作家としてはオリジナリティというのが大切なんではないかと、実は思っていたんですが、トムさんのこれまでの作品を考えてみますと、例えば「ミッション:インポッシブル」シリーズは、それぞれに作品の性格や特徴が少しずつ違っていて、この違いは監督によるものでもあるわけなんですね。監督として自分らしい作品をつくるのはやりたいことでもありますし、トムさんの素晴らしいところのひとつは、監督が誰であるか、そしてどんなことをもたらしてくれるのかというのを信じて下さるというところなのではないかと思います。もしかしたらその部分が、彼が組む監督を選ぶ時の判断材料になっているのかもしれません。そもそも、そんな姿勢でつくられているので、僕自身も、わざわざ「監督のオリジナリティを出していただきます」みたいなこと言葉にして言っていただく必要もありませんでした。監督としてはこれ以上のことはない、自分なりの思い入れを持って作品をつくりたいし、けれども皆も楽しんでもらえるような作品をつくりたいと我々は考えています。考えてみれば映画というものは個人のものではなく、役者も脚本家、原作者、監督、ひいては観客全員のものでもあるわけですから、すでに世界観がある中で自分なりに作品をつくるということは、非常に面白いことでもありました。最初は躊躇しましたが、やってみようと考えたんです。

MC:ありがとうございました。では続いてご質問ある方。

Q:今回の映画が、身に覚えのない罪を着せられたという内容になっていますが、私も飲んでいない弟のジュースを飲んだと言われてけんかになったことがありまして、トムさん自身も身に覚えのない罪や濡れ衣を着せられたようなことはありますか?

トム:いろいろありますけど、責任を取っています。「僕がやった!」と受けて立っております(笑)。

MC:ありがとうございます。では次の質問ありがとうございます。

Q:今回、サム役のダニカさんは若手女優さんで大抜擢だったかと思いますが、ハリウッドではトムさんとの共演を夢みて頑張っている方がたくさんいらっしゃるかと思います。ハリウッドでトムさんと共演するにはどうすればいいのか、またハリウッドで成功するにはどうすればいいのか若い方にアドバイスをお願いします。

トム:適格な女優さんに出ていただいてこちらこそラッキーだと思っています。その役を十分に演じてくださる方だったので。彼女は部隊長でとても知的で行動も的確でなければいけない。コビーさんは素晴らしい素質を持っています。とても良い方でしたし、スクリーンで説得力のあるキャラクターを演じていると思います。私はいつもその役に最高だと思う女優さんを探しています。もちろん演出するのは監督なので、僕も含め女優さんも監督が演出されますが、監督が俳優を信じて段々知っていってフルなキャラクターをスクリーンに映すのは監督の腕です。

あとやっぱりハードワークな方がいいですね。1週間働き通しで休みなんかありません。私はそれが好きなんです。男性であれ女性であれ、私と同じように映画づくりに情熱を持ってすべてを注いでくれる方を求めています。映画はただの仕事ではありません。別にやらなくてもいいのです。4歳の時からこれが好きで好きでしょうがない情熱にかられてここまできています。クリエイティブな方で情熱を持っている方から毎日毎日学んでいます。私が先生になることもありますが大抵は生徒です。素晴らしい世界です。私と情熱をシェアできる方を求めていて、怠け者で情熱なんかないという方とは一緒に働きたくないです。その一番の目的はお客様を楽しませたいということです。映画はいろんなジャンルがありますが、人々が違う音楽を楽しみ好みが違うように映画も好みが違っていますが、どういうふうにすれば楽しんでもらえるかチャレンジする気持ちに掻き立てられてこの仕事をしています。映画づくりが素晴らしいのはグループでつくるということで、俳優はその場にいてほかの役者と一緒に演技をし、グループの全員が力を合わせてお客様を楽しませることに全身全力を懸けてつくっていくというのが映画の現場です。その体験が大好きです。チームワークの素晴らしさが好きです。チャレンジングでとてもやりがいのある仕事です。すべて人を楽しませるために、トレーニングもして学ぶことも休みません。自分に厳しくしているんです!

MC:これでQ&Aは終了になります。ありがとうござました。

(12歳のときに『ラスト サムライ』に出演した池松壮亮が登壇。2人に日本酒をプレゼント)
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池松:お久しぶりです。

トム:会えて嬉しいです。

池松:こちらこそ。

トム:大きくなったな!(と池松の肩をつかむ)素晴らしい俳優になっていることには驚かないです。あの頃から素晴らしい演技をしていたから。

監督:夕日のシーンでとても心動かされる撮影をしたとき、私が日没の時間に撮りたいと言い出したんです。池松さんが演じる飛原にトム演じるネイサンがさよならを告げるシーンで、どんなベテランの役者でも非常に難しいシーンでありながら、若かった池松さんにそのシーンをファーストテイクで演じてもらわなければいけなかったんです。

トム:しかも直前にそのシーンのシナリオを書いたんです。私は日本語を習わなければならなかった。覚えてる?

池松:覚えてないです。

トム&監督:(大笑い)

監督:1テイク目から完璧だったんですけれども、何テイクかやらせていただいて、毎回素晴らしかったです。

トム:本当に一生懸命、集中してやりましたし、楽しかったです。温かい映画でした。本当にコミュニケーションもよくとっていました。彼の役は重要で難しい役でしたが、とても観客の共感を呼ぶキャラクターになりました。ラッシュを見て本当に感動しました。本当に素晴らしかったです。

MC:どうですか池松さん、スクリーンデビューとなった作品で大俳優と大監督とご一緒して今こうやって13年ぶりに再会されてどんなお気持ちですか?

池松:そうですね、僕もあの頃は俳優になるとは思っていませんでしたし、お2人に出会っていなかったらたぶん東京にも出てきていないので、俳優をやるなんて考えていなかったので、やっぱりどこかお2人に出会えたことで僕の人生が変わりましたし、ずっと指標というかお2人のおかげでまだまだやれそうだなと思いました。

MC:『ジャック・リーチャー~』ご覧いただいたんですよね? いかがでしたか?

池松:お2人のその後のご活躍は、すべてではないですけど見てたんですけど、お2人のタッグというのは特別で、エドが撮るトムのかっこいい男というか、本当にかっこよかったですし、真実の正義と言いますか、ひけらかさない正義と言いますか、『ラスト サムライ』以来に、また素晴らしいキャラクターと映画を生み出してくれて日本人は皆、共感するんじゃないかなというか、皆が忘れかけていることなんじゃないかなと思いました。素晴らしかったです。

トム:毎日楽しかったですよね? この場で再会できたこと、本当に良かったです。今日はありがとうございました。いつも“サムライ”の皆のことを思っていますから。

MC:本当に夢のような再会を私たちも目撃できて、ありがとうござました。

2016年11月8日 ザ・ペニンシュラ東京

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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
2016年11月11日公開
監督:エドワード・ズウィック 出演:トム・クルーズ コビー・スマルダース ダニカ・ヤロシュ ロバート・ネッパー