【全起こし】東京国際映画祭オープニング作品『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』メリル・ストリープが来日会見で夫婦円満の秘訣も語る

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MC:本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』東京国際映画祭記者会見を始めさせていただきます。本作は、絶世の音痴なのに音楽の殿堂カーネギー・ホールを満席にするという伝説をつくり、今なお愛され続けている実在の歌姫を描いた作品です。『クィーン』や『あなたを抱きしめる日まで』のスティーヴン・フリアーズ監督のもと、メリル・ストリープとヒュー・グラントの豪華共演でも話題を呼んでおります。そして、本作は明日から開幕となります第29回東京国際映画祭のオープニング作品として上映されることが決まっております。この開幕に先駆けまして、本日は主演を務めたメリル・ストリープさんが来日くださいました。さっそくご登場いただきましょう。主人公フローレンスを演じたメリル・ストリープさんです。皆さまどうぞ拍手でお迎えください。

ようこそおいで下さいました。それではメリルさんよりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

メリル皆さん、こんにちは。非常に温かい歓迎ありがとうございます。前回来た時よりも2倍ぐらい人がいるんではないかと思います。あれ、マイク入ってますか?

MC:失礼いたしました。ごめんなさい、最初からいただいてもよろしいでしょうか。本当にごめんなさい。

メリル:(笑顔で)OK!
皆さん、ありがとうございます。日本に戻ってこられて本当に嬉しく思います。前回来た時よりも2倍くらい多くの人に来ていただいたように見えて非常に嬉しいです。

MC:ありがとうございます。今回『マダム・フローレンス~』が東京国際映画祭のオープニングを飾ります。私たちはとってもワクワクしているのですが、明日のイベントを前にして、今どのようなお気持ちでしょうか。

メリル:本作がオープニング作品に選ばれたということを非常に光栄に思っております。私はこの作品は誇りに思っておりますし、この作品を代表してここに来られたということがとても嬉しいです。スティーヴン・フリアーズ監督、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグと来られなかったのは残念なのですが、皆、仕事があって忙しい、私だけ今、暇だったわけで(笑)、来られて本当に嬉しいです。

MC:ありがとうございます。私の方からひとつだけ質問させていただきたいと思います。メリルさんは『マンマ・ミーア!』『イントゥ・ザ・ウッズ』『幸せをつかむ歌』などで素晴らしい歌唱力を披露されてまして、その実力は皆が知るところなんですが、今回、演じられた役は“音痴な歌姫”で、しかも実在した人物です。役づくりで苦労されたことなどありましたでしょうか。

メリル:フローレンスという役を演じたんですが、彼女はあまり歌はうまくなかったんです。でも音楽を心から愛していたんですね。NYの街の音楽シーンを非常に支援していて、裕福だったので、カーネギー・ホールやトスカニーニのオーケストラなどに寄付をして、大変貢献していたんです。でも心の中では自分が歌手になりたかったんです。芸術のパトロンの方は、実はそういう方が多いんです。

先ほど司会の方から私の歌に関していいコメントをたくさんいただきまして、ありがとうございます。今回の作品のために2カ月トレーニングをしまして実際にオペラのコーチをつけてアリアをきちっと歌えるように練習したんです。最後の2週間でそれをちょっと崩したといいますか、ちょっと音程を外すという特訓を受けたんです。

MC:そうだったんですね、ありがとうございます。それではここからは質疑応答というかたちで進めさせていただきます。

Q:メリルさんは最近、映画界のジェンダーバランスについて発言されていますが、その観点からどうしてこの役を選ばれたのか教えていただけますでしょうか。

メリル:まず、アメリカの映画史で初めて70歳の女性が主人公という役だったと思うんですね。私の実年齢(67歳)より、かなり上の役を演じています。何とかそれはできました。年齢的なことも女性ということも、市場が何を望んでいるかということで決まることが多いのですが、でも私は58歳で『マンマ・ミーア!』を撮りました。私の今までの出演作の中で、一番人気を博した作品でした。女性の役は増えているということもありますし、それはホッとしているところです。TVシリーズものにかなり女性にとっては良い役がたくさんあって、そういう作品を観たいという観客がいるということが証明されてきていると思います。

Q:主人公のフローレンスは、歌手になる夢を追い続けていますが、メリルさんご自身が今でも追い続けている夢はありますでしょうか。

メリル:私も歌手になりたいという夢をいまだに追っていますが、あまりうまくないと思います(笑)。努力はしています。

Q:劇中でフローレンスがポテトサラダなど“食”にこだわる場面がありましたが、メリルさんは“食”にこだわりなどありましたらお聞かせください。

メリル:私は美味しいお寿司が大好きでいつも食べたいんですけど、それは日本でしか食べられないので、そのためには日本に来なくてはいけないと思っています。フローレンスは少し特異な部分がって、料理をまったくしない方だったんですね。なので彼女のアパートメントにはキッチンがなかったということもありまして、どこかに注文することになるんですが、彼女が食べるのはサンドウィッチとポテトサラダだけ、という非常に変わったエキセントリックな方でした。昨日、京都に行きまして、レストランで豆腐があったんですが、アメリカでは豆腐は一種類しかありませんが、とにかくありとあらゆる種類の豆腐があったのでビックリしました。素晴らしかったです。

MC:滞在中は是非、美味しいものをたくさん召し上がってください。それでは次に質問ある方。

Q:ヒラリー・クリントンさんが以前、「もし、誰か女優さんが私を演じるんだったら是非メリルに演じてほしい」と言ったことがありましたが、もしオファーがあったら受けますか? そして、どういうアプローチで演じますか?

メリル:すごく今驚いていますし光栄に思います。でもそれをやるのは時間がかかりますね。彼女が成し遂げることは未来のことですから。

Q:自分の演技を見て驚くようなことがありますか?

メリル:私が自分が出た作品を初めて観るときは、共演者の素晴らしさにいつも驚かされます。役を演じている間は非常に主観的に演じていますが、初めて映画を観るときは全体像が見えて客観的に見られるんですね。最初のスクリーニングで大好きなのは、監督の視点で観られることです。

Q:これまでも実在の人物を演じられていますが、スクリーン以外でも、ドナルド・トランプを演じてそれがアカデミー賞ものだと大きく報道されました。大統領選についてどのようにお考えでしょうか。

メリル:皆、重荷に思っているから、早く終わってほしいと思います(笑)。

Q:作品大変楽しく拝見しました。なかでも夫婦の絆が素晴らしく描かれていますが、メリルさんご自身もとても家族を大切にされている印象なので改めてメリルさんにとってご主人がどのような存在なのか、夫婦円満の秘訣などあれば教えてください。

メリル:夫婦円満の秘訣と言えば、すべて彼のおかげだと思っています。夫がとても理解のある人で、彼はアーティストなので、それが助かっているところだと思うんです。もし他の職業の方だったら難しかったかもしれないんですけど、役に固執したり、ムードが変わったりですとか、何かにすごくつながりを持ってやるということを彼がよくわかってくれてる。だからうまくいってるんじゃないかと思うんですけど、フローレンスとベイフィールドもそういうところで共通点があったと思います。2人は夢を共有していたんです。何かしら芸術と関わっていたいという気持ちがあって、ベイフィールドは役者として自分が不足していることに気づいていましたが、フローレンスに関しては自分の能力には気づいていないと言いますか、誤解しているところがあった。でも2人とも夢を見て芸術と関係していたい、音楽と関わっていたい、それを一緒に夢を見ていたからずっと一緒にいられたんだと思います。

Q:素敵な作品ありがとうございます。先ほど日本の食べ物や京都など名勝の地にも行かれていると聞きましたが、ちょっと先ですが2020年に東京でオリンピックが開かれます。何か期待されることはありますか? また応援のために来日してくださるご予定はありますでしょうか。

メリル:人が多いのが苦手なので、実はオリンピックというもの自体行ったことがないんですね。アメリカで開催されたときも行っていないので、ちょっと人が多すぎるところが苦手です。

MC:ありがとうございます。ではまた何かの作品で来日いただければと思います。

メリル:2020年まで待たなくても、その前に来ます。

MC:お待ちしております! それでは質疑応答はここまでとさせていただきます。メリルさん貴重なお話ありがとうございました。

メリル:皆さん、ありがとうございました。是非、映画を楽しんでいただきたいと思います。

MC:ありがとうございます。皆さまどうぞ大きな拍手でお見送りください。

2016年10月24日 六本木ヒルズアカデミーヒルズ

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話している途中に隣の花に手がぶつかり、「ちょっとジェスチャーが大きすぎて」と笑い出す一幕も
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