【全起こし】高島礼子&文音は男前、渡部秀は心の優しい仮面ライダー『おみおくり』完成披露上映会 全文掲載

MC:ありがとうございます。まずは高島さんにお聞きしようと思いますが、今回の女納棺師を演じるのは、相当難しかったんじゃないですか?

高島:大切な方を亡くした人はわかっていただけると思いますが、お亡くなりになった段階から、お葬式の準備に入るわけです。寂しいのだけど、それよりもご遺族の方はやることがたくさんある。そうなると、ご遺体は放置されてしまうんですよ。その間、納棺師の方が大切なご遺体をきれいにしたり、お着替えさせたり、化粧をしたり、ご遺族に成り代わり大切な人を管理するとう職業なんです。だから、この作品を通じて、そういうものに興味を持っていただければという思いですね。とても大切な職業だと思うんです。(原作者の)永井先生にも、本当はどういうきっかけで納棺師という仕事になったのか興味があったのですが…。今回の私の役というのは、人の不幸の上で幸せが成り立っているというのが耐えられない主人公が、納棺師の道を選ぶんですが、そういうところにも深いものがあるので皆さんに感じ取っていただければいいなと思っております。

MC:映画を観ますと死生観まで変わってしまうというか、ご葬儀の大切さにも気付かされたり、遺族の心のケアも大変なんだなというのは観ていて感じたんですけども。

高島:そうですね、今回は7つのエピソードが入っているんですけど、場面場面で私の立ち位置というか、納棺師の立ち位置が難しいんですね。自分が中心になること、そして後輩に繋げなければいけないこと、後輩に任せなければいけないこと、ご遺体のご損傷だとかも含めて、結構深いんですよ。ですから、その中で私達がどういう立ち位置にいるかというのは、現場で監督に任せました。本当に難しいんですよ、出過ぎてもおかしな話だし、かといってご遺体を守らなければいけないという自分の務めもありますし、エピソードごとに自分がどういう立ち位置なのかわからなかったので、これは現場に入って監督に任せようと思いました。

MC:高島さんはこの役を通じて、葬儀に対する今までの気持ちや死生観についてなにか変わりましたか?

高島:皆さんが思っていることは同じだと思っているんですけど、まず自分がどう見送られたいか。そして見送りたいか。そこがポイントですね。もし私が亡くなった場合、自分が死ぬのはいいんですけど、遺された大切な人たちに悲しんで欲しくないです。これから先も頑張って生きてほしい。そのうように死にたい(笑)です。

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MC:ありがとうございます。文音さんは納棺師を目指すという役を演じて、なにか感情が変わりましたか?

文音:高島さん演じる満島先生に「納棺師をするのはまだ早いから、まずは葬儀屋さんで働いて勉強しなさい」と言われて、7つのお葬式を全部出席したんですね。撮影も「今日は〜家のお葬式、今日は〜家のお葬式」って、撮影しながらいろいろなお葬式を巡る旅?みたいになっていて(笑)。いろいろなお葬式に出席していたら感じたことがあったんです。お葬式って亡くなった人の為にやるのかと思っていたんですけど、亡くなった人について親戚や友人が集まって「アイツさあ、生前はこういうやつだったよね」って話すことによって、遺された方が(故人を)送る準備をする儀式なんだなというのを初めて気づいて。それが新しい発見でした。

MC:納棺師という役は難しいと思いましたか?

文音:難しかったです。私は弟子入りするという話だったので、困惑を隠さなくていい役だったので、“戸惑ったときは満島さんに聞く”みたいな感じでやれました。その中で、礼子さんはすごくしっかりと言ったら変ですけど、感情を出さずに本当に“納棺師の先生としてそこに居た”という感じだったので、「ついていきます!」って感じでした。

MC:高島さん、そう言われてますけど?

高島:ありがとうございます(笑)。基本、ああいった場面では表情が作れないんですよ。ご遺族の前でご遺体を預かるから悲しそうな顔をするのも変だし、もちろん喜んだ顔もできるわけがないし。となると、何を考えているんだかわからない、あやふやな表情を心がけましたね。

文音:だから満島さんは、見ていても本当に何を考えているのか全然わからないので、すごい難しそうだなと思って見ていました。けどステキでした。

高島:ありがとうございます(笑)。

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