奥浜：大阪の空気感みたいなものも映像に映し出されている作品だなと思いました。そして松坂さん。ジャパンプレミアの際に、自分の役は共感できたら終わりだと、“水島真”と書いて“ペラペラペラ男”と読むと、そんな風におっしゃっていましたけど、なかなか共感してもらえない水島をどのように演じられましたか？

松坂：そうですね、どのように演じたか。先ほど蒼井さんがおしゃったようにライトが綺麗な所での撮影が多くて。最初は…、まあ観てもらえればわかるんですけど、後半は憎悪がわくぐらい薄いんですよ。それぐらいの落差が出ればいいなと思いながら、前半戦は一生懸命いろんなことをしゃべりました。「タッキリマカン」とか。

奥浜：「タッキリマカン」という土地の話を、水島がするんですよね。

松坂：出てくるんですよ。観ていただければわかるんですけど。

奥浜：そことかなり落差をつけるように、意識はされていたということですよね。後半と前半では。

松坂：もう、本当に進んでいくと、うすーい感じが分かってくるので、自然と（笑）。

奥浜：今のを聞いてから「タッキリマカン」を聞くと、もしかしたら笑いが起こるかもしれませんが。ありがとうございます。そして竹野内さんが演じられている黒崎も、これまた最低な男性ですけど、監督からの演出で気になったこと、印象に残っていることはありますか？

竹野内：初めて台本を読ませていただいて、本当にこういう役どころって、今までなかったものですから、なぜ私に声をかけてくれたのかなって。純粋に監督にどうやって黒崎を…、イメージ的な話をしたんですけど、「とにかく最低で最高だったら、ただそれでいいです」って監督に言っていただいて（笑）。

奥浜：監督、黒崎はなぜ竹野内さんに決められたのですか？

白石：僕も割りと今までの映画でクズをいっぱい撮ってきているんですけど、今回の黒崎っていうのは、擁護のしようもないクズなんですよ。とは言え、台本では描ききれていない黒崎の人生があって、そこには悲しみとか、いろんな感情がないまぜになっているので、描ききれないからこそ、竹野内さんみたいな方にやっていただければ、存在としていろんなものを表現できるだろうということも含めて、竹野内さんにやっていただきたいなという一心でお願いしました。

奥浜：こんな男性がいたら素敵だなと、私も一瞬落ちそうになりまして、黒崎に。なかなか危険な思いを、勝手にしてたんですけど（笑）。

奥浜：そして監督、撮影中モニターを見ながらよく笑っていらっしゃったということを伺っているんですけど、なぜ笑っていらっしゃったんですか。

白石：なんかそれぞれのキャラクターが、重大な危機に陥ったりとか、苦しい芝居とかを、だいたい想像できる中で見ているんですけど、これだけの俳優の方たちですと、斜め上いく芝居をしてくれるんですよね。そういうのを見ると“良い物が撮れてる”って実感の元、笑えて笑えてしょうがないっていう。これ、毎回言われるんですよ。暴力が酷い時に笑ってるとか（笑）。癖なんでしょうけど、直したいなって、今思いました（笑）。

奥浜：ご自身の思っていた以上のものが来た時に、笑いがでるという。決して暴力シーンが好きで笑っていらっしゃるわけではないってことですね。

白石：好きは好きなんですけど…。

奥浜：そうでしたか（笑）。はい、失礼しました（笑）。