【全起こし】黒沢清、夏帆と染谷将太のハイレベルな鬼気迫る演技を絶賛!ドラマ「予兆 散歩する侵略者」完成披露イベント全文掲載

松崎:これは僕の疑問だったんですが、出演者のお二人から監督にこれだけは言っておきたいということ、「あの演出なんだったんですか」とか。「あの言葉の真意は何だったんですか?」とか。

夏帆:なんだろう。

松崎:わかりやすい演出だったんでしょうか?

夏帆:現場で監督の演出意図がわからないってことはまずなかった。すごくわかりやすく説明してくださいますし、私がなんとなく納得いってないなって顔していると、監督もそれをくみ取ってくださって、わかりやすく丁寧に演出してくださるので、現場でわからないってことはなかったですね。基本現場ではわからないって悩むタイプなんですけど、今回それがなかったってことはそれほど黒沢さんの演出が的確でわかりやすいっていうのはありましたけど。

染谷:そうですね。自分もわからないなと思ったことはないですね。もう黒沢さんがおっしゃったことを一回やってみれば自分でわかるっていう感じでした。

八雲:監督ご自身は2人に演出する時に何か大切にしてたことありましたか?

黒沢:とにかく先ほど夏帆さんがおっしゃったようにタイトなスケジュールで、時間が潤沢にある現場ではなかったのでスムーズに悩んでいる余裕など正直ないという感じでしたので、かなり長いワンカットを含めまして、やるとなったら一気に最後まで行っちゃう、というような演出というかやり方で撮影していたんですが、東出さんを含め三人がなんていうんですか、よくついてきてくれたというか。若いからっていうのもあるんでしょう。ここではこう言ってますけど、かなりやりずらいことはあったはずです。それは一話観ていただいただけでもわかると思います。そんなノーマルな日常的なことの延長だけで済まされる芝居ではないので、かなりめんどくさいことがあったと思うんですけど、一気にやるとあるテンションというか立ちどころにスイッチが入って、何度もやらなくても二、三回やるだけでも一気にあるレベルに全員が達してくれるんですね。三人とも。それが三分あったら三分最後まで持続する。どんどん上がっていくみたいな感じで。これ本当なんですけど、よくこんなハイレベルな鬼気迫る演技を三人ともが三人よくやってくれたなっていうのが僕の感想ですね。まあ皆さん、どこか心の中でやんなきゃ終わんないぞっていう危機感があったと思うんですけど、あんまりじっくり練習なんてしていられないぞっていう危機感が良かったかなと思いますけど、あっという間に頂点に達してくれたっていうのが僕の感想ですね。だから本当に助かったという感じですね。

八雲:まだまだお話しお聞きしていきたいんですがお時間のほうが迫ってまいりましたので、最後にですね、これから二話以降ご覧いただくわけですので、これからの見どころなどを含めまして一言ずついただけたらと思います。では監督からお願いします。

黒沢:二話以降の見どころってなかなかあれなんですけど、とにかく“予兆”っていうタイトルですので何かが起こる、何かが始まる“予兆”がだんだん実体化していくドラマです。二話以降もゆっくりではありますがこの“予兆”が現実のものになっていく。そしてどういう危機がこの2人に訪れるのか、東出さんはその危機と一体どう絡むのか。本当に相当ハイレベルな緊張する瞬間が続くと思いますので、皆さんドラマをこれから二話以降楽しみにしてください。

染谷:第一話は“予兆”の“予兆”なので、本当にこれからどんどんじわじわ、ねっとりとじっとりと侵略が進み、そして出ている人たちがじわじわ面白くおかしな方向に走り出しますので、そのひりひり感みたいなものを楽しんでほしいと思っています。

夏帆:お二人が言っていたので言うことはないんですけど、本当に自信を持って面白いって言える作品になったと思います。それぞれ三人とも私の役はなんていうんですかね、最後まで……(ネタバレにつき、コメント自粛)。

黒沢:言いたくないんであれなんですけど、夏帆さんだけはそうです。

夏帆:ごめんなさい。今の忘れてください。難しいですね。本当に二話から面白い展開になっていくのでぜひ楽しんで観ていただけたらと思います。

八雲:ありがとうございます。こうやって聞くと松崎さん。説明が難しいってことはイコール面白いってことですよね。

松崎:はい。最後まで観ると必ずすべてがわかるということになっていて、人間がいかにして生きているかっていうことを考えさせられる作品にもなっているので、監督も対になっているとおっしゃってますけど、絶賛公開中なので映画版と合わせて観ていただけるとより理解が深まるのではないかと思います。

八雲:ありがとうございました。

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「予兆 散歩する侵略者」
9月7日(木)深夜0時 WOWOWメンバーズオンデマンド先行配信開始
9月18日(月・祝)WOWOWプライムにて放送スタート
毎週月曜 深夜0時~(全5話)第1話無料放送

原作:前川知大「散歩する侵略者」
監督:黒沢清(『散歩する侵略者』『クリーピー 偽りの隣人』『岸辺の旅』)
脚本:高橋洋(映画「リング」シリーズ、『蛇の道』) 黒沢清
音楽:林祐介(『散歩する侵略者』「連続ドラマW 贖罪」)
出演:夏帆 染谷将太 東出昌大
中村映里子 岸井ゆきの 安井順平 石橋けい 吉岡睦雄 大塚ヒロタ
千葉哲也 諏訪太朗 渡辺真起子 中村まこと/大杉漣
「予兆 散歩する侵略者」特設サイト:http://www.wowow.co.jp/drama/sanpo/

<関連番組>
ミニ番組/映画「散歩する侵略者」公開記念ナビ番組 8月1日(火)深夜1:15 ほか
「無料でWOWOW!」で第1話無料放送 9月19日(火)深夜0:20

STORY 山際悦子(夏帆)は、同僚の浅川みゆき(岸井ゆきの)から、「家に幽霊がいる」と告白される。みゆきの自宅に行くとそこには実の父親がいるだけだった。みゆきの精神状態を心配した悦子は、夫・辰雄(染谷将太)の勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきは「家族」という《概念》が欠落していることがわかる。
 帰宅した悦子は、辰雄に病院で紹介された新任の外科医・真壁司郎(東出昌大)に違和感を抱いたことを話すが、辰雄からは素っ気ない返事のみ。常に真壁と行動をともにする辰雄が精神的に追い詰められていく様子に、悦子は得体の知れない不安を抱くようになる。ある日、悦子は病院で辰雄と一緒にいた真壁から「地球を侵略しに来た」と告げられる。冗談とも本気ともつかない告白に、悦子は自分の身の周りで次々に起こる異変に、真壁が関与しているのではないかと疑い始める。

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