MC：魂を抜かれた後に何か別の感情を植え付けたくなる、面白い以外の何か名前を探したくなる作品になっていると思うんですが、改めて本作をご覧になって、これはこんな映画です。こんな感想を持ちましたという話をお一人ずつ聞いていきたいんですが、吉高さんいかがですか？

吉高：短く言うと、愛は凶暴で血のつながりは残酷なんだなっていうことが剥き出しになっている作品なんだなっていう風に感じましたね。

MC：映画が進むにつれて入り口と出口で持つ感情が違ってくる、そんな愛の話だと思うんですけど、途中予告でも使われていますが「あなたの優しさは容赦がなかった」という印象的なセリフがありますが、吉高さんは、あれはどういったものだと捉えていますか？

吉高：愛情は容赦なく、その人のたった一言で明日を迎えられる、その人のたった一言で明日を断とうとするっていうような凶暴さがあるんじゃないかなって思います。

MC：その言葉を向けられたのは、隣にいらっしゃる松山さんですが、演じられている時どんな風に感じていらっしゃいました？

松山：由里子ちゃんのたたずまい、行こうとしている場所をふさがないようにしたいというのはずっと思っていて、とにかく寄り添っていたいなって思いながら演じていましたね。

MC：松坂さんは、この映画を紹介するときにどんな風な言葉で紹介しますか？

松坂：共感や共鳴っていうのはなかなか難しいなとは思うんですけど、真実にたどり着いたときに、なぜか心が揺さぶられてしまうっていうのが、なかなか共感できないのに、共鳴できなかったりするんだけれども、なぜか心をガッと掴まれて揺さぶられてしまう。最終的に観終わったときに、揺さぶられたものがちゃんと残っているっていうのが、ほかの映画ではなかなか体験できないようなものだなとは思いますね。

MC：なかなか言葉にするのが難しい作品で、終わってから出た言葉を言い合いたいなっていうそんな感情になりますよね。佐津川さんも撮影中は大変だったなと思いますが、ご覧になって、ご自身のシーンでも、それ以外のシーンでも印象に残ったところはありますか？

佐津川：私は吉高さんとずっと同じシーンでみつ子ってすごい美紗子のことが好きなので、もともと吉高さんのことが好きなんですけど、撮影中、倍増して好きになっていました。今はみつ子として好きだなって思っていて、それこそ美紗子の一言で頑張れる、優しさで頑張れるっていうところがすごいあったので、だから出来上がって観た時に役者としての吉高由里子が好きだなって思って。

松山：振られた感じになってない？

佐津川：違う違う（笑）。なんかいろんな面からすごい好きになってる。ちょっとこれ個人的なことだからあまり関係ないと思うんですけど、人間って確かにいろいろな面あるよなって日々思っていて、あんまりよくないとされている感情をこの作品では否定しないで、肯定していてくれている部分があって、それがすごい美津子みたいな役をやっていたら救われるなっていう気持ちがありましたね。人間としてこの作品を観られてよかったなって言う気持ち。ただ単に吉高由里子が好きだっていう気持ちを伝えているんですけど。はい。

MC：吉高さん、今素晴らしい告白がありましたけど、お気持ちいかがですか？

吉高：二人のシーンを観ていただいたら、『ああ、こういうことか』ってわかると思うんですけど、さっつんのお芝居に引き込まれて、あんまり楽しいって感じながらお芝居はできないのですが、すごい充実していて楽しいと思いながらやっていました。何、このレズビアンみたいな（笑）。

MC：危うい関係ですが、もうその関係性しか生き甲斐がないというところも観ていただきたいと思います。そして清野さん。清野さんは現代編に出演されていますが、改めていかがですか？

清野：さっきも言ったんですが原作を読んでいたので、原作の言葉の表現が本当にリアルで自分が体験しているような心情に読みながらなっていて、それが映像化っていうことでよりリアルに体験したなっていう。圧倒されたなっていうことが一番感じたことです。観終わった後もポカーンと口が開くというか、魂が抜けたというか何とも言えない不思議な映画でした。本当に面白いのでぜひ皆さんに体感してもらいたいです。