MC:ジェスチャーが気になるところでしたけど、そこは置いときましょうか。滝藤さん先ほど読み合わせされていたとお聞きしましたけど、他に何か印象的なことはございました?
滝藤:岡田さんとばっかりだったんで岡田さんの話になっちゃうんですけど、車の中で「数々の方が秀吉を演じられてきたんですけど、どの秀吉が岡田さんはお好きですか?」って聞いたら「それは滝藤さんですよ」って鼻の穴を膨らませて、悪い顔して言ってました。(会場爆笑)
岡田:秀吉への愛情というか、姫路城の石垣の上で撮影してて、普通できないと思うんですけど原田監督とか司馬先生のおかげでできて、そこで控えている後姿が秀吉だったんですよ。うわ…なんか…めちゃくちゃ秀吉だなって思って。「おーい佐吉っ」て呼ばれるシーンから撮ったんですよね。それが痺れる雄姿で仕えてた長さも感じさせてもらえる感じがして。観たいですよね、滝藤さんが演じる秀吉を観たいなとすごく思います。
MC:男性キャストの皆さんは有名武将を演じられたということで、今回役作りで気を付けたことは何かありますか?
岡田:役作りは二人がすごいですから。平さんはメイクしたら本当に別人のように、現場でライオン丸って呼ばれてました。まあ、僕だけが呼んでいたんですけど(笑)。僕だけでした。心で思ってただけなんです(笑)。普段はおしゃべりできるんですけど、メイクしたら師匠と弟子っていう感じもあるし、友でもあるし、師匠でもあるし、家臣でもあるしみたいな役柄で、いつも怒られていたりするので、メイクすると話しかけない関係性になっていて、雰囲気がすごいあって、ケガをしているっていう設定ですよね。だから撮っていない時もずっと考えている平さんをすごいなって見てました。
MC:平さんは常にされていたんですか、ケガをされてる…。
平:そうですね。右を切られて不自由っていう設定にしていたので普通にしていて急にアクションの時に、こういう(ケガをしている)風にするのもないかなと思って、ずっとそうする(ケガをしている)ように気を付けていましたね。
MC:滝藤さんは今回、演じるにあたって役作りをどのようにされていましたか?
滝藤:一番はあれじゃないですかね、天下統一した人物なので臆さないというか、堂々とそこに座っているというか、どうやってやったかはわからないですけど、ビビらないように。それでも岡田さんがいて、役所さんがいて、平さんがいて、平さんはそこにはいなかったけど、そうそうたるメンツのその説得力は大事かなと思いました。あとはもう監督がどんどんアイデアをくれたので、そのアイデアを自分のものにして、すぐ出せるフラットな状態の中にいたいなとは思っていました。
MC:岡田さんが一番の秀吉ということもありましたけど。
岡田:一番というと…はい。一番、はい(笑)。以前にも秀吉公に仕えたことがあって、すごい色々怒られそうなんであれですけど、でも一番です。
MC:そして島左近の妻であり戦場でも将兵の治療に当たった花野を演じた中越さんも本日お越しくださっていますけど、『関ヶ原』には忍びですとか多くの女性が登場していて、原作にはないオリジナルの描写も多く入れられているんですが。監督、こういった描写はどのような意図で加えられたんですか?
原田:やはり『関ヶ原』を新しい切り口でやりたいっていうのと、司馬先生も原作に書いておられるんですね。今までの日本映画で時代劇、特に戦国ものでは女性の役割が蔑ろにされがちだった。だからこの作品では女たちの勢いを全面に押し出したいなと。だからあらゆる機会を掴んで女性たちの役を広げていった。特に初芽の役は三条河原で処刑されて関白秀次の宰相30数人、映画では20人ですけど、それの怨念というか怒りというか無念の思いを引きずってその歴史の語り部になるという。僕の中ではこの映画は初芽がすべて目撃したことを語っているという、それを次の世代に伝えてくれという意識でやっていましたからね。ですから女性の立ち位置というのはものすごい重要です。
MC:男性の戦いなんですけど、女性も戦っているのがよく見えてくる作品だと思います。中越さん演じられた花野はですね、どのような女性だと思われますか?
中越:たくましい、とても芯の通った方でした。そして当時女性で医学に従事している方も少なかった中、家柄というのもあったかもしれないですが、その医学を活かして旦那様についていって戦場に行かれたというのはとても光栄な人だと思いますし、とにかく肝が据わった人という風に感じていました。すごいかっこいい女性だなっていうのを佇まいから感じました。