【全起こし】綾野剛が村上虹郎に企てた罠!?「しっかりと引っかかってくれた(笑)」映画『武曲 MUKOKU』完成披露試写会

『武曲 MUKOKU』完成披露試写会が5月15日(月)東京千代田区のよみうり大手町ホールで行われ、綾野剛、村上虹郎、前田敦子、風吹ジュン、小林薫、柄本明、熊切和嘉監督が登壇、舞台挨拶を行なった。今回はその模様をネタバレなしの全文掲載でお届けする。

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↑左から、熊切和嘉監督、小林薫、前田敦子、綾野剛、村上虹郎、風吹ジュン、柄本明

MC:『武曲 MUKOKU』完成披露試写会にお越しいただきましてありがとうございます。私、本日の司会進行を務めさせていただきます、奥浜レイラと申します。よろしくお願いいたします。剣を捨てた男と、剣と出会った少年。闘うことでしか生きられない男たちの、激しく熱く燃え盛る姿はまさに圧巻です。それでは、皆さま、心の準備はよろしいでしょうか?いよいよ、キャスト、監督の登場です。綾野剛さん、村上虹郎さん、前田敦子さん、風吹ジュンさん、小林薫さん、柄本明さん、そして熊切和嘉監督です。拍手でお迎えください。

(場内大歓声の中、キャスト&監督登壇)

MC:では、改めまして、ご挨拶を皆さまにいただきたいと思います。まずは本作の主人公、剣を捨てた男、矢田部研吾を演じられました綾野剛さんお願いいたします。

綾野:はい、皆さんこんばんは。綾野剛と申します。

(会場:こんばんはー!)

綾野:はい、こんばんは(笑)。本日はですね、お忙しい中、この作品を選んで、この場所に来てくださって本当に心から感謝しています。非常に男臭い作品に出来上がってます。この後、舞台挨拶が終わった後に、皆さん観ていただくわけですが、この会場は非常に音もいいですし、ここでしか体感できない『武曲 MUKOKU』を皆さんに感じていただけると思うので、短い時間ですけがどうぞよろしくお願いいたします。

MC:続いて、研吾と宿命の対決をする剣に出会った少年、羽田融を演じました村上虹郎さんです。

村上:こんにちは、村上虹郎です。えっと…。えっと…(笑)。あのー…、この作品のお話をいただいて、羽田融というのを演じました。こんな最高の役で本当に嬉しかったです。緊張の、高まりが、今来ています(笑)。こんな、最高にカッコイイ映画を僕は観たことがありません。この作品を、今日、皆さんの世界に羽ばたかせることができて、本当に嬉しいです。ぜひ体感して帰ってください。よろしくお願いいたします。

MC:ありがとうございました。続きまして、研吾の恋人役カズノを演じました前田敦子さん、お願いいたします。

前田:前田敦子です。よろしくお願いいたします。皆さんの「待ってました感」、皆さんのその高まった感情のまんま、もっとさらに、「すごいものを観た」っていう感情で帰ってもらえると思います。ぜひ楽しんでいただければと思います。ありがとうございます。

MC:ありがとうございます。続いて、小料理屋の女将、大野三津子役を演じました風吹ジュンさんお願いします。

風吹:こんにちは。熊切監督、綾野さん、おめでとうございます。本当に素晴らしい作品になってますので、皆さん、今日は楽しんでもらえると思います。カッコよすぎて、今日は女性(のお客さん)が多いので真似する方はいないと思いますけど(笑)、真似しないようにお願いしたいと思います(笑)。どうも、ありがとうございます。

MC:ありがとうございます。続いて、研吾の父親、矢田部将造を演じました小林薫さんお願いします。

小林:こんばんは。研吾の父、矢田部将造をやらせていただいたんですが、まだ映画をご覧になっていないので申し上げにくいのですが、映画のほとんど、半分ぐらい、なんでか寝ています(笑)。意識をなくして寝ています(笑)。その辺を楽しんでいただければと思います(笑)。今日はわざわざお越しくださってありがとうございます。よろしくお願いいたします。

MC:ありがとうございます。続きまして研吾と融の師匠、光邑雪峯を演じられました柄本明さん、お願いいたします。

柄本:柄本明です。本日はご来場ありがとうございました。熊切監督とこちらにいる俳優さんたちと仕事ができて、とても幸せな時間でありました。楽しく観ていただければ幸いです。どうもありがとうございます。

MC:ありがとうございます。そして最後に、本作のメガホンをとられました熊切和嘉監督です。お願いします。

熊切:本日はようこそおいでくださいました。とにかく、これだけの素敵な俳優さんたちと、本当に熱量がある映画になったと思います。今日は、全身の細胞を開いて、全身で浴びるように映画を楽しんでもらえたらなあと思います。よろしくお願いいたします。

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MC:よろしくお願いいたします。まずは綾野さん、演じられた研吾という役は命をかけた現代の侍のような佇まい、そして生き方が印象的だったのですが、どんな思いで今回、挑まれましたでしょうか?

綾野:そうですね、熊切監督と前に一度ご一緒させていただいていて、その時に熊切組に入る喜びのほうが強く出過ぎてしまい、非常に現場では地に足がついていない状態だったんです。気がついたらその撮影が終わってしまっていて、また次が許されるならやりたいなと思っていたのですが、会うたびに熊切さんが「またやろうと」とおっしゃってくださっていて、それから5年が経ち、その間の中で自分の鮮度を高めて、最高の素材として現場に突入できるようにと思っていました。今回は、その前に二ヶ月間しっかり時間がとれたので、剣の練習や肉体的なトレーニングも含めて、フィジカル面を強くし、ま、完全に発想はアスリートなんですが(笑)。アスリートな精神状態で、現場に突入でき、非常にいい状態で入れたんだなあと、今考えても思います。トレーニングもしていたので、アルコールを摂取すると筋肉の分解がすぐに始まっちゃうので、アルコールを一切摂取せずにやっていたのでそのフラストレーションみたいなものがきっちりこの作品の中で生かされていると思います(笑)。

MC:その結果、皆さん、素晴らしい肉体を…。

綾野:いやいや(笑)。

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MC:ありがとうございます(笑)。そして村上さんに伺いたいのですが、原作との出会いは綾野さんに薦められてお読みになったと?

村上:はい、そうです。

MC:実際に共演されていかがだったでしょうか?中でも10分にも及ぶアクションシーン、決闘シーンなどがあると思うんですけども、どんなやりとりを綾野さんとしたのでしょうか?

村上:そうですね、作品に入る前に「『武曲 MUKOKU』っていう原作を読んでみて」って言われて…、『仰げば尊し』(TBS系ドラマ)の撮影中だったと思うんですけど。本当はこのドラマの撮影中に、映画を撮るはずだったらしいんですけど、(ドラマが終わるまで)待ってもらってまで僕を起用してくれたとのことで、すごい……。ま、プレッシャーはないです(笑)。あの、融って役は無敵だと思いました。アクションシーンはですね、雨と風と炭が降ってきます(笑)。その中で、下がドロドロで、男2人がぐちゃぐちゃになって、なにしてんだろうって、2日間撮影して思いましたけど(笑)。でも、楽しかったです。突き指とかした時に、剛さんが誰よりも早くですよ?「ハイ!アイシング!」って言ってくれて、「こんな頼りになる人いるんだ、しかも俳優さんだ」と思って(笑)。

綾野:地獄のような現場だったからね(笑)。

村上:そうですね(笑)。

綾野:あと、先ほど(原作を)薦めたとおっしゃっていただいたんですけど、そんなことはなくて、実は半分企てていて、僕は脚本を読んでいて映画化のことも知っていたんですけど、本人は知らなかったので「『武曲 MUKOKU』っていう作品があって、ここに出てくる融っていう役がすごく虹郎に合ってると思うなあ」みたいな感じで読んでもらったら、案の定、しっかりと引っかかってくれたんで(笑)。「やりたいっす、自分」って(笑)。

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MC:では前田さんと風吹さんに伺いたいのですが、本作は宿命のライバルとの決闘、父と子、師匠と弟子と、さまざまな男性の関係性を描いているのですが、女性から見て、どの関係が印象的でしたか?

前田:男の人って、やっぱカッコイイって思いました。女の人には入って行けない熱いものがあるなと思って。現場でそれをすごく感じていて、「私、入る隙間ない」って思って(笑)。もう、すごいんですよ、熱量が。男性の、スタッフさんも含めて。皆さんが同じ部分にすごく集中されていたので。2人の決闘シーンはすごいものになっていると思いますね。すごいです(笑)。

村上:そうとしか言いようがないですよね(笑)。

綾野:そうね(笑)。

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風吹:本当に2人の男の闘いは、きっと語り継がれるのではないかと思います。迫力があります。よく、死ななかったなと(笑)。観終わった後、きっと皆さんの印象に残ると思うんですけど、だから男たちはきっと真似したくなるんじゃないか、武道がもう一度よみがえってくるっていう、剣道がね。剣道人気があがるんではないかと思いました。でも、大人目線で観ると、子供を追い詰める子育ての下手くそな父親の(笑)、小林さんの役とか、柄本さんの賢い育ての親っていう、ちょっと大人目線で観ると親の話にも観えるんですね。そういう部分でもぜひ観ていただきたいなと、感じ取っていただきたいなと思います。

MC:ありがとうございます。そして、小林さんと柄本さん。お二人が演じられた役というのが共に剣道の上段者だったので、役作りは大変苦労されたと思うんですけど、実際にいかがでしたでしょうか?

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小林:柄本さんはどんなのやったの?

柄本:そんなにやってない(笑)。いや、でもやってましたよ。いろんな道場に行ったりして。

小林:思い出したけど、子育ての時に剣道やってたんだよね?

柄本:ウチのガキが、渋谷の金王道場に行ってたから。

村上:同じところに行きました!

柄本:ウチのガキどもはそこへ行ってましたね。

小林:そこについて行ってた?経験者ですね。

柄本:経験者って(笑)。

小林:私は七段なんですよ。嘘ついてますから、カット終わるごとに監督のところに行って「七段に見えますか?」って聞いて(笑)。そのチェックだけでした(笑)。

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MC:ありがとうございます。そして、こんな豪華な皆さんが勢揃いしましたけど、監督、ゲストの皆さんにはどんな演出をされたのですか?

熊切:事前に剣道の稽古をしてもらいましたし、まあ、ごく普通の演出です(笑)。はい(笑)。できるだけここは1連でいきたいとか、カット割りでごまかしてアクションを撮るとかっていうよりは、できたら1連でいきたいなみたいな感じで、ちょっとプレッシャーをかけました(笑)。
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綾野:これ言っていいと思うんですけど、体育館でアクションをするシーンがあるんですが、まさかのワンカットで撮ったのでなかなかシビレましたね。事前に練習しましたけど。

MC:ありがとうございます。それでは皆さんに伺っていきたいと思います。本作は宿命のライバル同士の決闘を描いた物語でもあります。そんな本作にちなみまして、登壇者の皆さまライバルエピソードを伺いたいと思います。綾野さん、いかがですか?

綾野:いや、ライバル…。いやあ、さっき(カンペに)手短にお願いしますって書いてあったんですけど(笑)、非常に難しいですね。ライバルっているのかなっていう。えーっ(笑)。決してふざけているわけじゃないんですけど、今思いついたのが、今回『武曲 MUKOKU』で僕が演じたのは矢田部研吾っていうんですけど、別の作品で研さん(ドラマ『フランケンシュタインの恋』)っていうのやってまして(笑)、研さん対決だなって思ってまして、天使のように優しい研さんか、地獄のような研さんが勝つか、ちょっと楽しみですね(笑)。

MC:奇しくも研さん、研さんになりましたもんね(笑)。

綾野:ですね(笑)。ビックリしましたけど(笑)。

MC:研さんがライバルということで(笑)。ありがとうございます。村上さんはいかがですか?

村上:えーっと、両親ですね。もちろん両親がこの業界にいるってことがあるんですけども、そうじゃなくても永遠のライバルかなと思います。

綾野:いやー、ちょっと俺、恥ずかしいな(笑)。(会場大爆笑)

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MC:(笑)ありがとうございます。前田さんはいかがですか?

前田:AKB48にいた頃はライバルっていう存在は、周りの人たちが作り上げてくれたものがたくさんあったんですけど、今ではなくてはならない大切な存在になっているので、ライバルがいるってことはすごく幸せなことだなと思います。

MC:過去はライバルであっても良き理解者になるという。

前田:そうですね。それぐらい切磋琢磨してやってきたっていう、絆みたいなものがありますね。

綾野:そうか、今気がついたんですけど、僕がいまセンターに立ちゃってる(笑)。

前田:(笑)。(会場爆笑)

MC:ありがとうございます(笑)。風吹さんはいかがですか?

風吹:基本的に役者って一匹狼なんで、ライバルはその都度その都度変わっていくような気がするんですよ。私は根性がないもので、ライバルは基本たてない。今、反省してますけど、ライバルがいたらもっと伸びたと思って(笑)。

MC:性格によりますよね、ありがとうございます。小林さんは?

小林:僕も考えたことがなくて、アスリートならわかるんだけどね、僕らは自分次第っていうところがあって。ただ、年もとってきたから健康第一で。いつも先輩に「どんなことされているんですか?」って聞くんですけど、この間、たまたま仲代(達矢)さんに話を聞いて、なんか年をとるのも悪くないなあと。そういう意味ではライバルは柄本さんですね(笑)。柄本さんが病院に入るまで、俺は入らないみたいな(笑)。(会場爆笑)

MC:そんなこと思っていらっしゃったなんて(笑)。柄本さん、いかがですが?

柄本:皆さん、ライバルということでなかなか言いにくいと思いますけど、僕は具体的に名前を出します。劇団の時からですけど、佐藤B作と笹野高史です。笹野高史とはとっても仲が悪いです。(会場爆笑)劇団の時にコンビも組みましたけど、仲悪いです。(会場爆笑)

MC:ありがとうございます(笑)。熊切監督、ライバルは?

熊切:僕もあんまり…、まあ、自分の過去作がライバルですかね。

綾野:(理想的な答えに)なるほど……。(会場爆笑)

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MC:ありがとうございます。それでは最後に、綾野さんにご挨拶をいただきます。

綾野:映画『武曲 MUKOKU』は、いろんな感情が入り混じっている作品です。その中でもひとつだけ、本日挙げさせていただきますが、誰しもが誰かの子供であったということです。父や母や、どうしてもそういう風に断定してしまう関係にありますが、それでも誰かの子供だったということと、もうひとつ、生きていること自体が希望であるということです。この作品は最後まで通して観ていただいた中に、本当に生きているだけで希望なんだなと、皆さまに体感していただけると思います。そして最後、虹郎と一緒に渾身のアクションがある剣道をやっております。そこを最後まで見届けていただけたら幸いだと思いますし、この作品を一人でも多くの方に皆さまに届けていただいて、『武曲 MUKOKU』という作品を愛してくだされば幸いです。また引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

MC:ありがとうございます。

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↑全てのカメラに目線がいきわたるよう配慮してくれる綾野剛に、取材陣から「優しいなあ」の声、会場もほっこり

『武曲 MUKOKU』
2017年6月3日、全国ロードショー
監督:熊切和嘉 原作:藤沢周『武曲』(文春文庫刊)
出演:綾野剛 村上虹郎 前田敦子 風吹ジュン 小林薫 柄本明
配給:キノフィルムズ

©2017「武曲 MUKOKU」製作委員会