【全起こし】『ラ・ラ・ランド』来日会見 隠れたオマージュは鈴木清順の『東京流れ者』

昨年から今年にかけての映画賞レースを席巻するミュージカル『ラ・ラ・ランド』のプロモーションに、『セッション』でも新たな音楽ドラマを見せたデイミアン・チャゼル監督と、私生活ではエヴァ・メンデスと幸せそうなライアン・ゴズリングが来日! 以下はその全文。

2754
デイミアン・チャゼル監督(左)、主演のライアン・ゴズリング

MC:本日は、お忙しいなかたくさんの方にお集りいただきましてありがとうございます。映画『ラ・ラ・ランド』来日記者会見をスタートさせていただきます。『ラ・ラ・ランド』はゴールデン・グローブ賞で歴史的 快挙となる史上最多の作品賞を含む7部門を受賞。デイミアン・チャゼル監督は史上最年少での受賞となりました。3日前に発表されたばかりのアカデミー賞ノミネーションで、最多の14ノミネートされるなど、まさに今年のアカデミー賞大本命で大注目の極上のミュージカルエンターテインメント作品となっております。日本でも2月24日から公開されます。この公開を記念して、監督のデイミアン・チャゼルさんと、セバスチャン役を演じ、今回が『きみに読む物語』以来13年ぶりの来日になりますライアン・ゴズリングさんに起こしいただきます。なお、今回の会場には日本の1月を代表する梅の花をご用意させていただきました。早速、来日記者会見を始めさせていただきます。では本年度アカデミー賞大本命『ラ・ラ・ランド』からデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングさんです。どうぞ大きな拍手でお迎えください。

では改めてお2人からご挨拶をいただきたいと思います。監督からお願いします。

監督:皆さんこんにちは。本当に日本に来ることができてとても光栄に思っております。私は初めて、ライアンは2度目ということですが、ものすごく素敵な歓迎を受けまして嬉しく思っております。またそういった国で映画を観ていただくことができて本当に嬉しく思っております。この映画は本当に愛を込めてつくりました。特に日本で観ていただくことができて嬉しいです。

MC:では、ライアンさんお願いします。

ライアン:日本に来れてとても嬉しく思います。特にこの『ラ・ラ・ランド』という作品で来日できたことは特別な思いがあります。というのは、日本の方はとてもロマンティックでそしてミュージカル好きだと聞いております。ですから皆さん、ぜひこの映画を楽しんでいただきたいと思います。ありがとうございます。

MC:では質疑応答にまいります。まず私の方から、先日発表になったばかりですが、アカデミー賞14ノミネートおめでとうございます。今のお2人のお気持ちを伺いたいと思います。監督からお願いします。

監督:まだショックが抜けていないんですけども、とても光栄なことだと思っています。このニュースを聞いたとき、ライアンと私は同じホテルにいたのでシャンパンで一緒にお祝いをしました。すごく特別だなと思うのは先ほども申し上げましたが、本当に心を込めてつくった映画ですし、チームでひとつとなってつくりました。多くの人がそれぞれの限界を突破するほどに頑張ってつくり上げたものですので、ノミネートう受けることによって、そういった多くの人たちが認められたといくことをとても嬉しく思っています。

MC:では、ライアンさんお願いします。

ライアン:この映画をつくったことが賞に値するような本当に特別な作品なんです。その上に観客の反応もよく当たっているということだけでも賞を与えられたようなものです。そのうえにまたノミネーションを受けたということはまったく予想していなかったことです。デイミアンが言ったように映画はチームでつくるものです。コラボレーションです。ですから大概はひとり一人がノミネーションを受けるというかたちなんですが、今回は大勢の人たちが認められた、私たちチームが認められたということで非常に感慨深いです。

MC:ありがとうございます。では質問ある方お願いします。

Q:お2人に質問です。この映画をつくるにあたってどのようにヴィジョンを確率させたか、確率させるにあたって難しかったこと、大変だったことは何でしょうか。
2714
監督:親切な言葉ありがとうございます。この映画をつくるためにとても長いプロセス、とても長い時間がかかったんですけど、この映画をつくるカギになった瞬間は、ライアンと出会ったときなんですね。ライアンと会いまして、ミュージカル好きということで話が盛り上がりまして、彼が映画に参加して、そしてエマも参加することになったんですが、それから3カ月間リハーサルをしました。と、同時に映画の準備も同じ場所でしていたんですね。ですからエマとかライアンとかほかの人たちが、ダンススタジオでダンスの練習などをしているときに、その近くでセットをしていたり、コスチュームをつくっていたりしまして、文字通り同じ場所で一緒に築き上げていったという感じがしています。

ライアン:私たちがいちばん話し合ったのは、このスタイル、このジャンルをあまりにも郷愁というかノスタルジックにしないということなんですね。これをいかに現代的にする、そして今の人たちに共感できるものにする。これはキャラクターに関しても同じで、あまり演劇的にしないで、皆さんが分かるような共感できる人にしたいということで。かと言って、ダンスのなかで空に舞い上がっていくような、その辺の部分ですね、空想の部分みたいなところもありますんで、そのバランスをどうやっていくかという、非常にチャレンジングなことだったんですけれど、落とし穴もたくさんあったんですけれど、私たちは大好きなジャンルに少しでも貢献したいという思いでいっぱい話し合いました。

MC:続きまして質問お願いします。

Q:監督に質問ですが、ライアンさんがこれまでやられてきた役を我々はすごく好きなんですが、どちらかというとダークサイドというか人間の暗黒面を描いたような役も多くてそれもすごく素晴らしいと思ったんですが、今回のセバステャンの役は今までの役とはちょっと違う気がしてですね、監督はライアンさんのどんなところに今回のセバステャンの素質を見いだしたのか教えてください。

監督:まずライアンは何でもできる素晴らしい役者さんだなと思いまして、非常に多様性のある人だと思いました。確かにおっしゃるように非常にダークなサイコパスのような役もやっていましたけれども『ラブ・アゲイン』とか『ラースとその彼女』のような非常に楽しくまたロマンティックな役もやってますよね? なので何でもできる人だなと思いました。そしてに映画の知識も豊富で、ミュージカルや音楽に大しても情熱をもっていて深い愛情を持っているんですね。つまりこういう映画をやるのに必要な素質を全部持っていたというふうに思います。そして素晴らしい役者さんですので、この役を本当に立体的に描けると思いました。

MC:今の監督の言葉を受けてライアンさんいかがですか?

ライアン:その原稿は僕が書いたのでそのままです。もう少し自発的に言ってほしかったんですけど。そういう演出指導は受けてないとダメなんですね。

MC:ありがとうございます。続いて質問ある方お願いします。

Q:最近はオリジナルの映画がすごくヒットするのは珍しいと思うんですが、なぜだと思いますか? 最近の不安の時代を反映して美しい映画に癒しを見いだしているということでしょうか。

監督:これについては僕たちも話をしていたんですけど、たしかにミュージカルにはほかにはない楽しさとか楽観的な感じというのがあって、ミュージカルならではのエクスタシーみたいな恍惚感や高揚感のようなものがあると思います。そのうちに現実的でリアルスティックで正直なストーリーが必要だったんですね。つまり花も夢もあるけれども、叶わない夢もあるといったようなところが人々に訴えかけたんじゃないかなと。私から言うのも何なんですが、そういうふうに思っています。そしてさっきライアンも言っていましたが、ミュージカルはファンタスティックな幻想的な部分と、リアルな部分の組み合わせがうまくいくといいなと願ったわけなんですけれども、たぶん私たちが思っていた以上に、観客の方はそこそすごく楽しんでいただけたのかなと思います。

MC:ライアンさんいかがですか?

ライアン:最初から監督と話し合っていたのは、映画というのは映画館で大勢の人たちと一緒に共有してそして一緒に観るものだ、そういうものがつくりたいねと言っていたんですね。スマホで観るもんじゃないねって言っていました。それが実際に公開されてからこの映画に対して多くの観客が実際に映画館に足を運んで、そして大勢の人たちと一緒に観て、そして同じ体験をするというその素晴らしさ、それをまたシェアしているということで、それが実現できたということに非常に今、満足感がありますし、ほかの人たちと一緒に僕もこの映画を観るという体験が素晴らしいと思っています。

MC:ありがとうございます。ではお時間の関係で次が最後の質問になります。

Q:監督にお伺いします。先ほども監督は愛を込めてこの映画をつくったと何度もおっしゃっていまして、確かに私たちも拝見して受け取りました。個々人が映画を観て幸せになるだけじゃなくて、映画を観終わったあと映画好きやミュージカル好きが、「あの場面はあの映画にちょっとリンクしてるね」とか、「あのミュージカルからちょっとヒントをもらってるね」とかまた盛り上がれる、2度3度盛り上がれる映画でとても希有な現象が起こっています。聞くところによるとSNSなんかでは、“この場面はこの作品から”とか、やはり盛り上がっていると聞いたんですけど、でもここは気づいていないだろう、ここはすごくシークレットに入れこんだぜっというような秘密のリンクあったらば教えていただきたいのと、この盛り上がり方っていうのはライアンさんも含めてどういうふうにお感じになってらっしゃるか教えてください。ちなみに私は、最後の方に『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』がちょっと出てきたかななんていうふうにも考えたんですけれどもいかがでしょうか。

監督:無意識にはいろんな映画のオマージュあると思うんですよね。というのも僕たちはいろんな映画を研究していて、さまざまな映画の思い出の中で“泳ぎながら”つくっていたところがあるので、それは古い映画のみならず新しい映画もあるわけなんですけれども、実は昨晩日本に来て日本の方とお話をしていたときに、こういう映画が入ってるんじゃないんですか?って言われて、実は自分では気がついていなかったんですけど、もしかしたら言われてみたら、絵コンテの段階から入っていたかもしれかったなというのは鈴木清順監督の『東京流れ者』です。彼の非常にワイドで撮っているところとか、ポップアートのような色合いとか、すごくミュージカル的なんですけれども銃が入ってるミュージカルということで、もしかしたらこれが隠れたオマージュかなと思います。少なくともアメリカでは誰もこの映画については吟味していません。今ライアンが思い出せてくれたんですけれども、私たちが使ったレコーディングスタジオは、実は『オズの魔法使』とか『雨に唄えば』などの本当にハリウッドの素晴らしいミュージカルのレコーディングが実際になされたところで自分たちもレコーディングできたということで、これは非常に素晴らしいギフトだと思っています。

(こちらは『東京流れ者』の予告編)

MC:ライアンさんはいかがですか?

ライアン:今のことは彼に教えたんで、それを言おうと思ってたんですけど。

監督:何か秘密のオマージュ考えてよ。

ライアン:今のが一番いい話だったのに(笑)。

(ここからフォトセッションへ。大ヒットを祈願して鏡開きにも挑戦!)
2776

MC:では最後にひと言ずつお願いします。監督からお願いします。

監督:お酒のいいにおいがしますね。

ライアン:飲んでいい?

監督:すべてのこと本当にありがとうございます。素晴らしい時間をずっと過ごしています。初めての来日なんですが、早くまた戻りたいと思っています。日本の配給会社の方々ありがとうございます。本当に公開できるのが嬉しいです。

ライアン:日本に来られて本当に光栄だと思います。ギャガさんにお礼を申し上げたいと思います。ぜひ『ラ・ラ・ランド』を楽しんでいただきたいと思います。どうもありがとうございます。

2017年1月27日 ザ・リッツ・カールトン東京


『ラ・ラ・ランド』
2月24日公開
監督:デイミアン・チャゼル 
出演:ライアン・ゴズリング エマ・ストーン カリー・フェルナンデス ジェシカ・ローゼンバーグ ソノヤ・ミズノ J・K・シモンズ