【全起こし】『牝猫たち』TEAM NACS音尾琢真「”前貼り”情報は戸次重幸さんから、玉の方が破れました(笑)」

日活ロマンポルノ45周年を記念して企画されたリブート・プロジェクト第三弾『牝猫たち』のトークイベントが、1月25日(水)、新宿武蔵野館で行われ、映画に出演するTEAM NACSの音尾琢真、白石和彌監督が登壇。今回はそのトークイベントの模様を全文をお届けする。

↓TEAM NACSの音尾琢真(右)と、白石和彌監督(左)。めちゃくちゃ仲がいい。
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MC:それではお二人から自己紹介とご挨拶をお願いします。
音尾:風俗店「極楽若奥様」の店長・野中役を演じさせていただきました音尾と申します。ありがとうございます(会場拍手)。

白石:『牝猫たち』を監督した白石です。何度か舞台挨拶やトークショーに出たんですけど、今日は稀にみる女性だらけ。これが噂の子魚さんたち?(会場笑いと拍手)こんな女性だらけの光景は見たことないですね(笑)。
音尾:子魚さーん?
会場:「はーい!」
音尾:私は普通に観に来ただけという方は?
(数名の手が上がり)
「ようこそいらっしゃいました。貴方のことを僕は大切にしています」(会場笑い)
MC:まず監督に、音尾さんをキャスティングされた経緯をお話しいただけたらと。
音尾:聞きたいですね。
白石:高校が一緒なんですね。僕が3年生の時に、彼は2年生だったんです。僕の後輩なんです。音尾さんはTEAM NACSで早くからスターになり、なぜか私も映画監督になりまして、音尾さんに対して「先輩!」的な擦り寄り方をしました(笑)。「逃さないぞ!」みたいな(笑)。念願かなって『日本で一番悪い奴ら』に出てもらった時に、「先輩の映画はどんなことがあっても出ます」と言ってくださったので、「ポルノ映画も出るかな?」と、ちょっと忠誠心を試そうと思ってオファーしたら、これ本当ですけ即答でOKです。
音尾:ええ。
白石:本も読んでなかったでしょ?
音尾:そうですよ。ワタクシはマネージャーに言ってあります。白石監督からのオファー、いや、白石先輩からのオファーは(笑)、もうOK。全部OK。通してくださいと、言ってあります。
白石:ちなみに、この作品をもう観たという方は?
(数名の方が挙手)
音尾:ここからは観た方を中心に話を進めて行きます。(会場笑い)ネタバレすみません(笑)。
白石:音尾さんは俳優としてポテンシャルが高いですし、どんなことでもやってくれるので、僕にとってはなくてはならない俳優かなと思っております。
音尾:先輩!ありがとうございます!(会場笑い)いやでもね、ポルノと聞いて、一瞬戸惑いはありましたけど(笑)。でも逆にこんな機会をくれる人もなかなかいないので。
白石:ただのポルノ映画だったら僕もオファーしてないと思うんですけど、ロマンがあるんですよね。
音尾:そうなんですよ。出ましたね、ドヤ顔(笑)。
白石:男のロマンであり、牝猫たちのロマンにしたかったので。
音尾:ワタクシね、実はおととい映画を観にきたんですよ。ちゃんとスクリーンで観ようと思って、5時10分の回に観に来たんですよ。僕は4列目か5列目の席だったんですけど、(前方の客席を指差して)この辺に座っていた年配の女性が5分くらいたった頃、帰りました。(会場笑い)いや、まだそんなハードなものは出てきてないはずだぞ、と思ったんですけど(笑)。
白石:5分だとまだ店長が出てきてないですよね(笑)。
音尾:店長、まだじゃないですかね。
白石:そうかあ、もうちょっと早めに出しておけば良かったですね。(会場笑い)
音尾:(笑)でも、その人は何を求めて入ってきたんだろう? 日活ロマンポルノのリブート。あの企画をまたやるというもので、それを分かって来ているはずなのに、最初の濡れ場の途中で出て行ったんですよ。
白石:これから観るお客さんの前で、5分で帰った人の話しますかね?(会場笑い)
音尾:「これで帰さないぞ」っていう逆の意味です(笑)。それを乗り越えたら、皆さんにはすごいモノ(♡)が待ってますから(会場笑い)。こういう映画だから自然とイヤラシイことを言おうとしてしまう自分を今止めました、先輩(笑)。

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白石:実際、観て感想はどうでしたか?
音尾:いや、もういい映画だなっていう。というか僕は中身を知りすぎているとちゃんと観られない人なんですよ。自分もあまり観たくないから。時間を空けないと自分が出た作品とか観られないんです。普段からそうなんです。ポルノであるないに関わらず。そういう意味合いで言えば、この作品はロマンポルノ作品ですよね。映画です。非常に素晴らしい映画です。濡れ場というものも存分に描かれていますけど、そこにこそ人の性といいますか、裏表のない部分が描かれるものだと思います。だからこそ18禁になってしまうんですけども。でも、皆さんは立派なオトナだ。(会場笑い)いろんなことを知っている。いろんな経験がある。いろんな体験をした中で感じることっていうのがそこにもあると思う。皆さんは魚だ。(会場笑い)。そう思って観ていると、僕には「ここに出ている僕が余計だな」と思ったんですよ(笑)。
白石:話がわけ分かんなくなっちゃう(笑)。
音尾:わけ分かんない(笑)。落とし所を見つけられない人(笑)。自分を観るのが苦手だからね、「自分いなくても全然成立するじゃん」って思っちゃって。女優さんたちは素敵で、他の俳優さんたちも素敵で。
白石:でも、ポルノではあるけどロマンを大事に作りたいっていうのがあって、この話の中心にいるのが、もちろんデリヘルの女性たちなんですけど、その店長の音尾さんには助けられたというか、物語の骨格をある意味作ってもらったというか。イメージとしてはちゃんと営業許可をとっていないブラック気味なデリヘルという設定なんですけど、音尾さんがやってきて、風俗嬢たちが並んで芝居を始めると、「あれ?居心地いいぞ、ここ」って(笑)。
音尾:そうですね、非常にハマる感じでしたね。皆さんが観る前だから、言いたいことがいっぱいあるのに言えない。言葉を選んでおります。
白石:物語はずっと切なく続くんですけど、最後に言う音尾さんのあんなことが……、んー……(笑)。言えないけど、あそこが結構評判いいんです(笑)。
音尾:あー、そうですか。はいはい。嬉しいですね。僕の40年の男としての全てを結集した時間を設けましたので、ここにいる女性の皆さんに、子魚ちゃんたちにしっかり楽しんでいただきたいですね。(会場笑い)
MC:ちなみにスタジオ・ジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、日活ロマンポルノに造詣が深い方なんですけども、「音尾さんが非常に素晴らしかった」と、「作品も含めて傑作だ」と、非常に高い評価をいただいております。
音尾:嬉しいですね。でもここで鈴木さんに嬉しい評価をいただいても、ジブリでデリヘルの店長が描かれることはないだろうなと思うので(会場笑い)、仕事には繋がらないかあ…っていう複雑な心境はありますけどね(笑)。

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白石:ちょっとだけ作品に踏み込みますけど、(濡れ場的な)そういうシーンがあるわけじゃないですか。で、女優さんも知っている方だったりするじゃん?
音尾:そうですね。実際には初めてお会いしたんですけども話していたら、よくお世話になっている友達が、同じくすごい仲が良いということを聞いて、友達の友達は友達だってなりました。それまでは、心の中でどこかにイヤラシイ気持ちもね。俳優ですよ、仕事だし、でもなんかこう、綺麗な方だし、どんな…その…いろいろね、そんな男心もあったりするわけですよ(笑)。ワタクシは醜い人間なものですから(会場笑い)。でも友達の友達って聞いた時に、「よし仕事だ!」って思いましたね(会場笑い)。
白石:なんか準備したことはあったんですか?
音尾:前貼りとかちゃんとしたことないなあと思って。ちょうど同じ頃にTEAM NACSの戸次重幸さんが、「昼のセント酒」というテレビドラマに出ていて、ずっと風呂入るだけなんですけど、ずっと前貼りをしていたそうで。前貼りの情報を聞いたら、「そんなにグルグル巻きにして、そこから囲むんだ?」みたいな感想を持ちました(笑)。いざ現場に行って、助監督さんに渡されたのが「ガーゼ2枚」(会場笑い)。そうか、こんなもんか(笑)。くるむのはこの程度でいいのか?と思って(笑)、戸惑ったものでございます。「くるみきれるかな?これくらいで」って思ったんですけど(笑)、ま、くるまりましたね(笑)。(会場大爆笑)もう、ネタバレしちゃうから、どんな話をしていいか分かりませんよね(笑)。
白石:作戦は練ったの?
音尾:見せ場は女優さんの見せ場になると思うので、とにかく綺麗でとにかく美しく、そしてとかくにエロスを見せたいと思いました。なによりもそこをアシストできればなあと思って。実際にできたものを観てみたら、エロかったですねえ。他のシーンに比べても僕のシーンがダントツにエロかったですねえ。
白石:僕の感想を言っていいですか? 濡れ場撮影前、段取りの打ち合わせしている時の音尾琢真は、俳優を忘れて、ほぼプロの男優さんでしたよね(笑)。
音尾:あっちの(AV)男優さんの方ね(笑)。
白石:プロでしょう、「なんでこんなこと知ってるの?」みたいなこともあったし。
音尾:局部を映せないわけじゃないですか。映っちゃうとモザイクが入っちゃって、観る人は「モザイク入るんだ」っていう感想に落ち着く。じゃあ、局部を映さないでどれだけエロスを見せられるかと思ったんですよ。
白石:イク時に目を流してからの……、とか、なにアレ?どこで勉強したの?
音尾:それは先輩、40年で培ったものなんですよ(笑)。
白石:本当に参りました。言うことなし!

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音尾:白石監督はライブ感を大切にされる監督なので、ドキュメンタリータッチな、俳優がそこでいきいきと動き出す状態を見たい。カメラマンも情熱を持って撮るっていう。だからそのシーンになると、カメラが増えるんですよね。その瞬間を、どのカメラからも逃さないために。気がつけば、監督自らカメラを持ってたんですよ(笑)。3カメ体制でしたよね、あの時(笑)。
白石:僕も初めてですよ。自分の作品で、カメラを自分で持ったのは。そこにはね、ここで言えないような事情が……いっぱいあるんですよ。
音尾:そうだったんですね。でも監督がカメラでおさえたのがあのシーンだなと分かりますね。だって監督は僕が映らないとこを撮ってたから。
白石:それは角度の問題でしょ(笑)。あの時、音尾くんを映したら、いろいろ見えちゃっていたから。見えちゃいけないものが見えちゃってたから。
音尾:前貼りの限界もありますからね。それを隠そうと、必死の戦いも僕にはあったりもしてね。見えちゃう、隠さないと、みたいな。濡れ場のシーンって、イヤラシイことをひとつも考えられないすね。
白石:そうなんです。僕も助監督で初めてそういうシーンがある時、現場でもし、興奮して、……そんなことになっちゃったらどうしようみたいな(会場笑い)。そんな余裕、一個もないです。
音尾:男の子たちは、皆そんな考えで現場に行くんですけど、現場についたら全然そんな余裕がない。「どうしよう、どうしよう、こんな風に撮ってもらって、こうだ、こうだ」って、演技のことしか考えられなくなっていく。でも気づいてみれば、僕の前貼りは、玉の方がペリっと破れていました(会場笑い)。またどうでもいいエピソードだな(笑)。どう話していいか分からないエピソードが次々と(笑)。
白石:しかも玉の方っていう(笑)。なんでそっちなの?っていう疑問もあるし。
音尾:そうなんですよ。皆、もう早く一回観てきてよ!言いたいことがもっといっぱいあるんですよ(笑)。でも、白石監督っていうのは、バイオレンスなシーンが多い監督ですから、助監督さんもフラストレーションが溜まっていたのか、僕が撮影に行った日に、ちょっとバイオレンスなシーンの撮影があって、助監督が「ようやく白石組みたくなってきたなあ!」って嬉しそうにしているのを見て。
白石:あのシーンで(笑)?
音尾:そうそうそう。んー、これもまだ言えない(笑)。いやあ言いたい(笑)。吉村界人君っていう俳優は素晴らしいですよ、ということを結局は言いたいんですけど。いい役者さんが本当に揃っている。スキがない、今回も。本当にいいんですよ。何がいいってことは、うーん……(言えない)。(会場笑い)まあちょっと言うけど、界人君の顔を叩くシーンがあって、撮影っていうのは叩いていないように見せるのが定番ですよ。でも僕が下手くそなもんですから、上手に叩いているように見せられなかったんですね。「じゃあ叩いてみますか」なんてことになりましてね、「いいんすか?」って本当に叩かせてもらうことになって。「界人君、痛そうだな、ごめんね、あとで恨まないでね」なんて言ってね。その後、また違う映画の現場で会いまして、「ごめんね、あの時、叩かせてもらって」って言ったら、界人君が「音尾さん、マジで痛かったっす。ホントに勘弁してくれって思いました」って(笑)。でもあの場では、彼は本当に受け止めてしっかりそれを芝居に生かそうとしていて、すごいなあと。
白石:現場で「痛いです」とはなかなか言えないですからね。
音尾:言えないですけどもね。以前、撮影で、僕は裸足で、目の前にいる俳優さんはブーツを履いているんですけど、そのブーツで脚を蹴られるシーンがあったんです。その人が遠慮なく脚を蹴りそうだったので、「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください、あなたブーツ、僕裸足。気をつけましょうね」って言った覚えがあります(笑)。そんな情けない自分から見ると、界人君は素晴らしいんですよ。肝が座っている。役者魂のある人たちが、揃ってるんですよお、皆さん。(会場笑い)

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白石:子魚には刺激の強すぎる話だと思うんですけど。
音尾:もっと刺激を強くすることはできるんですけどもねえ(笑)。 
白石:「子魚たち」っていう続編作ります?(会場笑いと拍手)。
音尾:どんな話だろう?
白石:音尾さん主演で。「子魚たち」になるかは別として、いつか必ず音尾さん主演の映画を作るということで。(会場大歓声と拍手)
音尾:さすが先輩。頼むな白石!(会場笑い)
白石:アカデミー賞とか欲しいですか?
音尾:そりゃあ貰えるもんなら欲しいですけど。でもそんなことにこだわらなくても。
白石:器の大きい男だ。
音尾:貰えるもんならね(笑)、そりゃ欲しいですけどもね(笑)。まあ、いい作品になれば、それでいいかな。
白石:よく2人で呑むんですけども、「とにかくいい作品を作りたいんですよ」っていうのが、音尾くんの口癖で。「そうだよね」って別れて行くんだよね。
音尾:そうそう。出演したら、作品の段階をひとつ上げる、そんな役者でいたいなと思うわけですよ。もともと作品も良くて、台本も良くてっていう中で、僕がいることでさらに作品はワンランク上がるんですよ、みたいな役者でありたい。先輩、自分はそう思います。
白石:上がってますよ。
音尾:おや、ふっふっふ(笑)、じゃあ飲みに行きますか(笑)。(会場歓声、拍手)
MC:それでは、最後にこれから映画を観る方にご挨拶をお願いします。
音尾:ひとつ言えることは、5分で帰らないでください。それは確実に言えますね。最後まで観たら映画って本当にいいもんだな、と思えるところに行き着くと思います。ラストも好きです。非常に好きです。
白石:ありがとうございます。
音尾:終わり方も全部好きです。目立つ映画館で観られるタイプの作品ではないですけど、良さが詰まっていますのでしっかり確かめてください。今後とも、白石先輩をよろしくお願いします。(会場拍手)
白石:日活ロマンポルノは歴史があって、その中には名作がいっぱいあって、今回それをリブートという形でも一番端っこに名前が載ることがすごい名誉なことだったので、いい作品にしたいと。ポルノだけどロマンのある映画にしようと一生懸命作りました。応援、よろしくお願いします。今日は本当にどうもありがとうございました。(会場拍手)

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映画『牝猫たち』は新宿武蔵野館ほか大ヒット上映中!

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