【全起こし】『沈黙』記者会見、窪塚洋介「監督にメールしたけどスルーされた」、浅野忠信「アカデミー賞取れなかったら○○○」

質問者:原作は読まれましたか?読まれた方は原作との共通点と相違点など気になる点はありましたか? 読んでいないのであれば、それはあえて読まなっかたのですか?

イッセー:若い頃、原作に挑戦して挫折しました。(会場笑い)それで今回、井上役ということで、井上を中心にもう一度読み直したんですが、心を惹かれるのはキチジローでしたね。あの小説で自分に一番近いのはキチジローでした。その中で、井上をイメージして、本の中だけではわからなかった井上を、スコセッシ監督は想像の限りを尽くして井上のシーンを書いていただいたんで、僕はとても自由に演じることができました。

窪塚:いちばん違うなと思ったのは、最後のシーンです。(以下コメントはネタバレになるため自粛)

浅野:まず台本を読みました。自分のシーンを何度も読んで、前後のシーンを何度も読んで、また自分のシーンを何度も読んで。それで自分の中で分からない部分を、自分で勝手に通詞だけのストーリーというのを書いて(肉付けし)、それでも納得いかない時に初めて原作を読ませていただいて。ただ読んだ時に、あまりにも自分の考えた話と原作というのは違うところにあったので、もう原作は読まないようにしようと決めて、もう一度台本に戻って、何度も自分のシーンを読んで、周りのシーンを読んでっていう繰り返しでした。

質問者:井上様を演じる上で、なにかモデルにした人物はいましたか?

イッセー:全部本に書かれてるんです。井上はキリシタンだったという説があるらしいんですね。(以下コメントはネタバレになるため自粛)

質問者:改めてこの映画の見どころをどなたかひとりに教えていただきたいのと、アカデミー賞への思いをどなたか教えてください。

(登壇者が無言で顔を見合わせて、「誰がしゃべる?」的な雰囲気に会場から笑い声が。窪塚が代表で話すことになり……)

窪塚:一番若造なんですけど、先輩2人に譲っていただきました。僭越ですが、僕が思うこの『沈黙』の見どころは、神が沈黙しているところだと思います。自分が自分自身の心に入って答えを見つけなければいけないということが大切なところだと思います。

イッセー:見どころですが、皆さんにもし答えられる人がいたら逆に聞きたいんですけど。神は沈黙したと。でもいつしゃべってたんですか?(会場笑い)僕はキリスト教に詳しくないんで、ぜひお伺いしたい。あと、日常生活とはかけ離れた世界、絵巻物語と言いますか過酷な物語です。まるで万力で締め付けられるような、そこから人間が絞り出されような、そんなものを人間と言えるのか?いや、これこそが人間だ。僕の中で答えは2つに分かれます。今も分かれたままです。それなのに見終わった後に清らかなものが心に残ってます。これは一生続くだろうという確信があります。そんな映画です。アカデミー賞に関しては浅野さんから詳しく(会場爆笑)。

浅野:えー……、そうですねえ、アカデミー賞には選ばれると思っています。もしこれで選ばれていないとすれば、神様が審査員に余計なことをしゃっべてんじゃないかと思います。(会場爆笑)

↓イッセーの無茶振りに困りながらも、会場を沸かせて安堵の表情を見せた浅野
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